ウクライナ、米の軍事支援停止でいつまで戦えるのか 小泉悠氏が分析

聞き手・友田雄大

 米メディアは3日、トランプ大統領がヘグセス国防長官に対し、ウクライナへの軍事支援を一時的に停止するよう命じたと報じた。ウクライナにはどんな影響が生じるのか。東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠・准教授に聞いた。

 ウクライナ軍は、米国からの支援が1~2カ月止まる程度なら問題なく抵抗を続けられるだろうが、半年ほど止まればミサイルや砲弾などの備蓄がなくなる可能性がある。

 米国は155ミリの無誘導砲弾だけで300万発ほど供与しており、欧州が年間100万発を生産できるかどうかが取りざたされているくらいなので、やはり米国の支援は大きい。

地上戦は? 防空は? 鍵を握ってきた米国の兵器群

 高い火力と防御力を兼ね備えた歩兵戦闘車両「ブラッドレー」など、重装甲車を米国ほど大量に出せる国はあまりない。これらがなくなれば、地上戦においてかなりの痛手だ。ロシア軍に押されているウクライナ東部ドネツク州などで、ロシア側の進撃がさらに速まりかねない。

 また、ウクライナの防空は相当な部分を米国製の防空システムに頼っている。高性能の地対空ミサイルシステムの「NASAMS(ネイサムス)」や「パトリオット」が代表例だ。特に、パトリオットの誘導弾は高性能で価格が高く、支援停止は厳しい。ドイツやイタリアが供与している防空システムだけでは、ウクライナの空を守り切れない。

 一方、ロシア領への長距離の攻撃能力でいえば、大きな影響はないのではないか。昨秋にウクライナ軍がロシア領を攻撃した際に使用した射程300キロ以上の米製長射程ミサイル「ATACMS(アタクムス)」は、高性能の弾頭を乗せたり、狙った場所の近くに正確に落としたりできるが、そもそも現段階でミサイルがあまり残っていないとみられる。

 飛行機から発射する長距離巡航ミサイル「JASSM(ジャズム)」を供与する話もあったが、それも立ち消えになった。最新鋭の「PrSM(プリズム)」を供与するかというと、それもしない。つまり、ウクライナはもともと長距離を攻撃するという能力を米国からあまり与えられていなかった。

 しかし支援がなくなるからといって、ウクライナがロシアの求める条件に沿った交渉に簡単には応じないとみられる。実際、2023年の冬から24年の春にかけて米国の支援が止まったが、ウクライナは戦い続けた。トランプ氏の思惑通り、すぐ停戦に持ち込めるかどうかは分からない。

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友田雄大
国際報道部
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