【ソフトバンク】山川穂高「リチャードに2時間説教」の真相…叩き込んだスラッガーの神髄
【取材の裏側 現場ノート】宮崎春季キャンプの取材ハイライトだった。2月18日、ランチ休憩の時間に食堂に向かう山川穂高内野手(33)に声をかけた。目的は、その前日の紅白戦で本塁打を放った後輩・リチャード内野手(25)について聞くため。大砲はゆっくりと足を止めると「まあ、言ってもいいすかね」とニヤリと笑い、せきを切ったように語り始めた。 【写真】実は「書道8段」の山川穂高 「実は昨日の夜、メシを食いながらリチャードに2時間説教したんです。2時間ですよ、2時間!。第4打席の初球真っすぐ、なんで振らないんだよって。最初の打席で初球真っすぐをホームランにしてるだけに、余計にね。お前、リチャードだろって。(将来的に)40発、50発を求められるタイプでしょって」 場面は7回二死満塁。見逃したのは真ん中付近への初球真っすぐだった。状況的にもバッテリーは初球からストライクが欲しい場面。「あれを振らないと1試合に2発、3発とはならない。打てる時に打たないと年間40本、50本は打てない。打点も増えない」。今春チーム1号を放ち、夕食の席で喜々とした表情を浮かべたリチャードに「1本で満足するな」とばかりに、スラッガーの神髄を説いた。 山川はこうも言った。「1試合4打席あるとして、12回振れるわけです。カード3連戦で36回振れる。そこで1本打てたらいい。そういうタイプでしょ」。ホームランを打てる確率をみすみす下げるな――。「あそこは振っていかないと。だって、リチャードなんだから。お客さんもそう思ったはず。野球って、やっぱりエンターテインメントで、そこってすごく大事。みんな、ホームランを見たいんですよ。当たってホームランになるかどうかは分からないけど、振らないと始まらない」。ファーストストライクへの意識、投手心理、そして自分とは何たるか――。一夜明けても、熱量はすさまじかった。 メジャー級の潜在能力があるからこそ、大きく育ってほしい。強い使命感をもって弟子を見守っている。誰よりも大砲候補の弱点を知る。オフは涙を流すほどの練習を課した。実戦が始まる前には「打席の中まではついていけない。ここまでは教えてこられたけど、実戦に入ったら結局打つのはお前だから」とリチャードの背中を押した。「人を遺す」ことに本気で取り組んでいる。後輩の育成や球界の発展に寄与する技術の伝承が、実績や名声を残すことよりも尊いという認識は山川本人の中にもある。野球人としてさらなる高みを目指していることが、日常から伝わってくる。 (ソフトバンク担当・福田孝洋)
福田孝洋