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第一回 【"政治家vs一般人”の名誉毀損 。投稿の削除・消滅による問題収束。 公人として耐えるべき許容度とはー裁判官は「訴訟の継続に大きな意味がない」と判断 、取下げ】 2月27日10:00 投稿記事削除請求事件 原告 丸尾牧 被告 X Corp. 令和7年ワ略 609  ※部 田中寛明裁判官 東京地裁  兵庫県議丸尾牧氏(原告)による、被告が行ったXの投稿に関する削除請求の民事。丸尾氏の名前を東京地裁で見たのは初。公判時点で「問題となっている投稿はすでにアクセス不能になっている」旨について、裁判官は原告代理人に同意を促し、原告側も実際に投稿へのアクセスができなくなっていることを確認。そのため、訴訟の目的が失われていると考えられ、本公判で原告代理人が口頭により訴えを取り下げた。  被告代理人は被告本人の意向かは別として、「投稿者アカウント自体が消えている、もしくは投稿が何らかの理由で見られなくなっている」とも陳述。この時点で、本件における当事者間の紛争対象が事実上消滅したと本件裁判官は判断したのか。本来ならば「被告投稿の拘束力(違法性)」「削除請求の可否」などが教科書的な争点となっていくと思うが、政治家を巡る名誉毀損は表現の自由に関する微妙な問題が絡むため、“削除されてもう残っていない発言”に対してわざわざ裁判を継続させる意義を認めにくい、という思慮がされたのか。  裁判官は「訴えを維持する必要性がないとみる」と申し述べ、原告代理人に取り下げを促した。裁判を長期化すれば、請求の詳細が明らかになる。「言論弾圧だ」など逆風を受けるリスクもあり。原告代理人は早期に認諾したのか。他方、原告政治家は削除済みを把握していながら、訴訟で“見せしめ”にする意図もあった可能性もある。しかし裁判官から「実利がなく時間の無駄」と諭され、「政治的メリットもないし早期終了を」と示唆された可能性もある。このため、この日11時10分から同旨の削除請求(第二事件)も開廷前に取り下げとなった。  本件は社会的影響が大きい政治家事案ながら、「名誉毀損が既に解消された」と裁判所がみなした。政治的問題に発展すると面倒だという裁判官の配慮なのか。こうした取り下げの事例は初見である。専門家の意見を待ちたい。 各代理人はウェブ参加。被告代理人は事務所から、原告代理人は自宅から参加した。 2月27日11:10 第一回 削除請求事件 ー取り下げ 原告 丸尾牧 被告 X Corp. 令和6年ワ略 ※部  開廷前担当書記官が傍聴席に駆け込んできて、同日11時10分の期日の取り下げを報せてくれた。
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