同性愛の専門誌「薔薇族」のバックナンバーを電子化してきた初代編集長の伊藤文學さんのX(旧ツイッター)公式アカウントが、Amazon(アマゾン)の電子書籍サービス「Kindle(キンドル)」ストアでの配信が停止された、と明らかにした。
投稿は、伊藤さんの言葉などをスタッフが代筆して発信したとされるもの。配信停止となった理由をアマゾン側に問い合わせたところ、「強いアダルトは禁止です」との回答があったという。
投稿は、「薔薇族の持つ強いアダルト要素は理解している」としたうえで、「一般のアダルト誌も電子化されている」と述べて、薔薇族の「何が悪かったのだろうか」と自問。「これだけ多様性と謳われているなか、結局はこれなのかという徒労感にさいなまれる」と配信停止を嘆いた。
一連の投稿を最初に報じたITmediaNEWSの記事は、一時ヤフーニュースでも取り上げられた。ネット上では、アマゾンが米国の企業であることから、薔薇族の配信停止が今年1月に発足したトランプ新政権が進める「多様性・公平性・包括性(DEI)」見直しの動きと関係があるのではないかとの見方も出ていた。
アマゾンは産経新聞の取材に対し、薔薇族が配信されていた「Kindleダイレクト・パブリッシングのコンテンツガイドラインが最後に変更されたのは2023年です」と回答。今回の配信停止は「アダルトコンテンツに関するガイドライン違反」が理由だとし、トランプ政権によるDEI見直しとは無関係との立場を示している。
他方、伊藤さんの公式アカウントは、アマゾンに「抗おうという気はない」と投稿。配信再開に向けて別の手段の確保を目指している。(平田雄介)