次世代電池技術、機微情報が中国に流出か 潜水艦搭載を検討中 経産相「調査したい」
次世代潜水艦などへの搭載が検討されている全樹脂電池技術の機微情報が中国企業に流出した恐れがあることが分かった。固有技術を持つAPB社(福井県越前市)が中国企業と関係が深いとみられる日本企業に経営権を握られ、中国側に機微情報が漏れたとみられる。武藤容治経済産業相は2月27日の衆院予算委員会分科会で、実態について経済安全保障の観点から「調査したい」と述べた。 【グラフでわかる】中国の対外黒字、実は全面的に米国の対中貿易赤字が支え 衆院会派・有志の会の福島伸享(のぶゆき)衆院議員の質問に答えた。福島氏は経済安全保障の第一人者で、北村滋元国家安全保障局長が代表を務める北村エコノミックセキュリティ合同会社が作成した報告書などに基づきながら、政府に実態調査するよう迫った。 全樹脂電池は日産自動車出身の堀江英明氏が発明し、平成30年10月に量産に向けてAPB社を設立した。川崎重工業とも潜水艦の共同研究を行う。同社の研究開発には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から75億円の補助金が支出されている。 情報漏洩の原因について、福島氏は「量産技術の開発に向けた資金調達を行う際、ある意味、企業の乗っ取りが起きた」と指摘した。APB社の筆頭株主だった大手化学メーカー・三洋化成工業が、令和4年11月に半導体設計事業を主力とするTRIPLE-1(福岡市博多区、T社)に保有する株式を売却した点にあると説明した。 T社がAPB社の筆頭株主となってから、中国企業との接点が増えた。北村氏の報告書では取締役らは「経歴や行動の中で中国との密接な関係が見受けられる」と記されている。 中国企業への漏洩疑惑を裏付ける一例として、福島氏は令和5年3月にT社から派遣された取締役が主導した中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の技術者ら計4人によるAPB社の工場見学を挙げた。 その直前には、T社取締役はメールで「全樹脂電池の素材に大変興味がある」「中国にも色んな似たような研究がなされているようだが、量産化できるステージにはない」などとファーウェイの関心事を伝えた。 工場見学当時にはファーウェイの技術者たちは、APB社の電池材料や生産設備などを視察した。それ以降もT社取締役から詳細な技術情報を問い合わせが頻繁にあり、この過程で中国側に情報が漏れたようだ。