第11話 二人の想い
僕に組み敷かれながら恍惚とした表情を見せる姫華。
同時に中でハテた僕は、倒れ込むように姫華に覆いかぶさると、そのまま優しくキスを落とす。
僕の欲望をその身に受け、それでも嬉しそうにキスを返す姫華。
ちなみに全員避妊は
リナさん曰く、スキンなんてキチンと装着しても、避妊に失敗する確率が二パーセントもあるらしく。ましてちゃんとした付け方も知らない男に任せたら避妊率はもっと下がるらしい。一部のデータでは失敗率は15パーセントなんてデータもあるとか。
ただ、スキンが必要ないかと言えばそういう訳ではない。一番の利点として性病の感染リスクの低減があるからだ。
つまりスキン無しでの行為は、全員にリスクがあった。
ただ全てが初めての姫華も含めて、咲夜さんとリナさんの三人は、事前に検査を受けており問題ない事を確認していたらしい。
姫華のアドバイスもそのためだったみたいで、まつろわぬ僕の分身を、受け入れた理由でもある。
まあ、だからって全てのリスクがゼロになるわけじゃないのは分かってる。薬だって避妊率は百パーセントではないわけだし。
つまり、極論を言えば責任をとれない年齢なら、本来そういった行為は避けるべきなのだ。
そう概ね大人の言い分は常に正論だ……。
でも、そんな事は初めから分かっている事で。
だけれど、一度火が付いた僕らの衝動は、もう抑えようが無かった。
だから、あれから一週間僕らは繋がり続けた。
何度も咲夜さんとリナさんと特訓し、その成果と、姫華自身の努力もあり、僕と姫華はお互いタイミングを合わせてイケるまでにはなった。
正直あの時の姫華が、性知識が豊富だけのなんちゃって処女ビッチだったのには驚かされたけど。
どうやら咲夜さんとリナさんは気付いていたようで、本人の名誉の為あえて突っ込まなかったらしい。『処女だけに』……とは咲夜さんの言葉。
でもそんな姫華も今は、イッた後幸せそうな顔で僕に微笑んでくれている。
そんな姫華が僕に初めてを捧げてくれた理由。
それに思い至らないほど僕も鈍感では無い。
僕の方も琴海に振られ、傷ついていた心に寄り添ってくれた姫華はすんなりと入ってきた。
体を重ねれば尚更に。
だから僕は、うっとりしている姫華を抱き上げ、彼女の好きな体位、いわゆる対面座位の体勢にすると、その目を見つめながら思いを告げようとする。
「ねえ姫華、僕と……」
その先の言葉を察して素面に戻ると、僕の言葉を止めに入る姫華。
「待って、待って、まだ私はケンセイの彼女になるつもりないから」
思いがけなかったその言葉に少なからずショックを受ける。
でも、すぐに理由を聞いて納得した。
「ケンセイの心にはまだ琴海が居るから。トラウマを克服出来てないのがその証拠。だから私はケンセイを琴海から寝取ってみせるよ。ビッチだけにね」
そう言って微笑む姫華。
マジでカワイイ。
でっ、そんな彼女の背後に忍び寄る魔の手。
「おおー言うねー、先週までクソザコマ〇〇だったくせにさー」
ニヤニヤした表情で、後ろから咲夜さんが姫華の胸を揉む。
「まったくね。ちょっとイケるようになったからって調子乗り過ぎ、私や咲夜と相手してるケン君見たら分かるでしょう。イカされて喜ぶのはただの女。本物のビッチなら男をイカせてなんぼでしょう」
リナさんは僕の後ろからもたれ掛かるように抱きついてきて、僕の乳首を弄りながら目の前の姫華に告げる。
「うっリナまで酷いよ、協力してくれるって言ったじゃん」
咲夜さんに乳を揉みしだかれ泣き顔の姫華。縋るような目でリナさんに訴えかける。
「だから協力したあげてるじゃん。完全にケン君をモノにして、二度と離れないよう虜にする手伝いを……知ってるケン君イク時ね……」
リナさんが何やらいかがわしい情報を姫華に向けて囁く。何故か僕の耳元で。
「えっ、そうなの」
途端に顔を真っ赤にして分かりやすく反応する。
「あー、それなら、マツケンって責める続けるとさー、ゴニョゴニョ」
今度は咲夜さんが、姫華の耳元で僕の恥ずかしい秘密を暴露する。
「うぐっ。そうなんだ……そっか、そっかー、ゴメン私間違ってた。まだまだビッチとしては半人前だった」
ビッチとして半人前って意味分からん。
と思いつつ、何処かで姫華がビッチになるのは嫌だなと思ってしまった。
そして、そう思うと同時に僕の中のどす黒い何かが鎌首をもたげる。
それは心の中で渦巻く独占欲。
女を自分のモノにしたいという男の欲望。
それが少しづつ表面化して行く。
琴海には出来なかった事。
心も身体も自分のモノにしたい。
だって心だけじゃあ体が裏切るから。
体だけじゃ心が虚しいから。
だから僕はどっちも欲しい。
そうしないとまた裏切ってしまう。
僕の元から離れていってしまうから。
その為にはどうすれば良いのか……。
答えはシンプルだった。
それは三人から教わった事。
心を徹底的に愛し抜き、体を極限まで快楽で満たせてあげれば良い。
時間を掛けてたっぷりと……。
だから僕はより彼女達との時間を濃密にする事にした。
早々に夏休みの課題を三人で協力して片付た後、放任主義の両親といえど、一応の断りを入れて家を出る。
姫華のお父さんの方は相変わらず仕事で忙しく、今月は帰ってくる予定は無いらしいので、そのまま姫華の家に転がり込んだ。
つまり、これで夏休み期間中は、誰にも邪魔される事なく、ほぼ同棲状態と言ってもいい形で姫華の家で過ごす事が出来るようになった。
これで夏休み特別プランに集中出来る。
◇ Side姫華
ケンセイとの夏休み体験学習も一週間が過ぎた。お互い息も合うようになって、ケンセイと抱き合える時間は何よりも私を満たしてくれている。
それにケンセイの気持ちがドンドン私に傾いて来ているのが、否応なしに理解できて嬉しかった。
多分今告白すればケンセイは迷わず「うん」と言ってくれるだろう。
でもまだ完全じゃない。
だからケンセイが逆に告白してくれそうになった時は慌てて止めた。
だってケンセイの中から完全にあのクソ女を排除しきれてないから。
まだまだ足りない、もっともっと身も心もケンセイとひとつになる必要があるのだ。
それは何があっても揺るがない繋がり、それを手にするまで私は心の底から安心できない。
だってあの頃のような思いと後悔はしたくないから。
そうあの頃のような―――
中学までのケンセイは、今の姿からは考えられない脳筋系だった。
近所にあった道場で、カポエなんたらと合気道、それから太極拳だったかを融合させた、三位一体のニルなんちゃら流とかいう胡散臭い格闘技を子供の頃から習っていて。
そのせいなのか分からないけど、身体能力が高くスポーツ万能で目立っていた。
だから一部の女子には人気があって。
でも、そんな中で間違いなく、一番長い付き合いの私が、ケンセイの一番近くに居る女子だった。
けれど中学二年の時状況が変わった。
突然ケンセイが目なんて悪く無いくせに眼鏡を掛けて、髪型をダサい七三わけにし、自分のことも俺から僕に変わっていた。
そして脳筋とは無縁の文芸部に入部した。
最初は意味が分からず豹変したケンセイをやゆったりしたけど、ケンセイはそんな事気にすることなく文芸部通いを続けた。
そして訪れた悪夢の二学期。
ケンセイはあの女、白坂琴海を彼女として紹介した。
正直、完全にノーマークだった。
クラスでも地味で目立たなかったから。
ただケンセイが気になって、何度か図書室を覗いた時に見かけた事はあった。
でもその時はお互い本に集中してて、好きあってる雰囲気なんて全く感じられなかった。
でも、考えれば分かることだった。
脳筋一直線だったケンセイが突然インテリモドキになり、文芸部に入部した理由なんて。
幽霊部員だらけの中で、まともに部活に出ていたのは白坂琴海くらいしか居なかったんだから。
つまりケンセイはあの女の為に、今までの自分を変えたのだ。
それは私に足りなかった覚悟。
一番近くにいたからこそ変わるのが怖かった。
変わる事で一番近くにいられなくなる可能性に怯えた私に足りなかったもの。
私は何処かで、変わらなくても一緒に居られると根拠もなく思ってしまっていた。
でも、それは私の怠慢だった。
好きな人に振り向いてほしかったのなら積極的に動くべきだった。そうケンセイのように。
遅ればせながらその事に気付いた私は、自分を変えた。
ケンセイに見てもらいたくて。
以前ケンセイが好きだと言っていた雑誌モデルの真似をして、ギャルっぽい格好に変えてみた。
けれど手遅れだった。
ケンセイは白坂琴海の事で頭が一杯で、もう私のことなんて見てくれなかった。
変わった私に「可愛くなった」とは言ってくれたけど、それだけだった。
そこからは当然ながらケンセイは彼女を優先するようになって……いつしか、話す機会も減っていって……私の変わった意味も失われた。
あの女が悪く無いのは分かっている。
恋に臆病で怠惰だった私の失敗。
ただ、それに気付くのが遅かっただけ。
だから私は恋に敗れた。
――――それがあの頃の私だった。
何度思い返しても辛く苦しい後悔の記憶。
だからこそ、もう同じ轍は踏まない。
自分がやれることは何でもする。
このチャンスを必ずモノにするために。
もうあの頃の臆病だった私なんかじゃないから。
今の私は恋に貪欲で男を求めるビッチだから。
それこそ協力してくれている二人の為にも――。
――――――――――――――――――――
読んで頂きありがとうございます。
誤字報告も大変助かります。
続きを書くモチベーションにも繋がりますので
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もちろん率直な評価として☆でも☆☆でも構いませんので宜しくお願いします。
次話も引き続きの回想回なので本日更新します。
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