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第43話 まさかとは思うが有翔は女体に嫌悪感を覚えるタイプか……?

 それからマットに座って外から助けが来るのを待つ俺達だったが、残念ながら一向に救助が現れる気配はない。


「……なあ、もうそろそろ一時間くらいは経ったか?」


「残念ながらまだせいぜい十五分くらいです」


 暑そうな表情を浮かべて胸元をパタパタさせながらそんな事を聞いてくる入奈に対して俺はそう答えた。手元にスマホもなく球技大会で普段付けている腕時計も外しているため正確な時間は分からないがそんなに大きくずれてはいないはずだ。


「マジか、そろそろ出たいんだが」


「気持ちは分かりますがもう少し頑張りましょう」


 そう言って入奈を励ます俺だったが体育倉庫の中がとにかく暑いせいで正直かなりしんどくなってきていた。だから俺はこの暑さを少しでも紛らわせるために身に付けていた体操服の上を脱いで上半身裸になる。

 さっきから汗まみれで体に張り付いてめちゃくちゃ気持ち悪かったため脱いだおかげで多少はマシになった。するとそんな俺の様子を隣から見ていた入奈も体操服の上を脱ごうとし始める。


「ち、ちょっと待ってください。何をしようとしてるんですか!?」


「何って私も体操服の上を脱ごうとしてるだけだが?」


「いやいや、それは流石に不味いですって」


 男子の俺ならともかく女子の入奈が上半身裸になるのは問題しかない。すると入奈はほんの少しむっとした表情で口を開く。


「一体何が不味いのだ?」


「ここにいるのが入奈先輩一人だけならともかく俺も一緒にいるんですからそれはダメでしょ」


「ちょっと有翔の言っている意味がよく分からないんだが?」


「同性ならまだしも異性である俺の前で上半身裸になるのは問題しかないって言ってるんですよ」


 俺がそう声をあげると入奈はなるほどと言いたげな表情になった。もしかしたらこの暑さのせいで入奈は頭が上手く働いていなかったのかもしれない。

 とにかくこれで入奈も俺の言葉の意図を理解してくれたはずだし体操服を脱ぐのは諦めてくれるだろう。そう思っていた俺だが入奈は予想もしていなかった事を言い始める。


「別に私は有翔にならば見られても構わないと思ってる、だから何も問題はない」


「俺的には問題しかないんですけど」


 状況は何も変わっていないどころかむしろ悪化したような気すらする。前世の入奈はこんな大胆な事をするタイプじゃなかった気がするんだけど。いや、もしかして本性を隠してただけか?


「なあ、有翔的には何がダメなんだ? 私が良いと言っているのだから何も問題ないだろ」


「そ、それはそうかもですけど」


 上手い説明が思いつかなかった俺はそう狼狽えるしか出来なかった。するとそれを見ていた入奈は突然ハッとしたような表情になる。


「まさかとは思うが有翔は女体に嫌悪感を覚えるタイプか……?」


「どうしてそうなるんですか!?」


「これだけ頑なに拒まれるとそうとしか思えない」


 なんと入奈は完全に斜め上とも言える主張をし始めた。やはり入奈はこの暑さのせいで頭がやられてしまったのかもしれない。


「将来困る事にならないように私が矯正してやるからそこでじっとしてろ」


「いくら何でも言ってる事とやってる事がめちゃくちゃ過ぎですから」


 結局体操服の上を脱いだ入奈はそんな事を口走りながら俺に迫ってくる。ブラジャーのホックにまで手をかけているため完全に暴走状態だ。いよいよやばいと思ったタイミングで入り口の方から人の話し声が聞こえてくる。


「ほらっ、お待ちかねだった助けも来ましたし今すぐ脱いだ服を着てください」


 その言葉を聞いて入奈は我に返ったらしい。流石に今の姿を他人に見られるのは不味いと判断したらしく脱ぎ捨てていた体操服の上を着てくれた。


「……全く、酷い目にあったぞ」


「入奈先輩に変なスイッチが入った時はどうしようかと思いましたよ」


「今さっきのは忘れてくれ」


 ようやく外に出られた俺達はそんな会話をしながら校舎に向かって歩いている。入奈が恥ずかしそうな表情を浮かべている事を考えるとさっきのあれは間違いなく黒歴史になったに違いない。そんなこんなで色々なハプニングがあった球技大会は幕を閉じた。

【読者の皆様へ】


これにて第5章は終わりです。

お読みいただき、ありがとうございました!


現在四半期ランキング1位を目指しています、1人の評価が非常に重要となってくるので『ブックマーク』と下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


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