◆伊藤さんの性被害の一連の経緯 伊藤監督は、米国の大学に在籍した13年12月に元TBS記者の男性と知り合い、同氏が15年4月3日に帰国して会食した際、意識を失いホテルで暴行を受けたと主張。準強姦(ごうかん)容疑で警視庁に被害届を提出した。一方、男性は合意に基づく性行為だと反論し、東京地検は16年7月に嫌疑不十分で不起訴とした。翌17年5月に同監督は不起訴不当を訴えたが、東京第6検察審査会も同9月、不起訴を覆すだけの理由がないとして不起訴相当と議決した。

伊藤監督は、同年9月に男性を相手に民事裁判を起こし、19年の東京地裁での1審は勝訴。男性の控訴を受けた22年1月の控訴審でも勝訴した一方で、男性の反訴も一部、認容。双方が上告して迎えた22年7月の上告審で、最高裁は双方の上告を棄却。男性に約332万円の賠償を命じた一方、同監督の17年の著書「Black Box」などでデートレイプドラッグを使われた可能性があるとされ名誉を傷つけられたとして、1億3000万円の損害賠償を求めた男性の反訴について、真実性が認められず名誉毀損(きそん)に当たると判断し同監督にも55万円の支払いを命じた。

伊藤監督は、男性との裁判に加え、20年にはSNSによる誹謗(ひぼう)中傷の投稿をした2名、拡散した2名に名誉毀損(きそん)、賛同を意味する「いいね」ボタンを押した自民党の杉田水脈元衆議院議員には名誉感情侵害で、それぞれ損害賠償請求訴訟を起こした。1審で請求が棄却され、控訴審で逆転した杉田氏との裁判含め、いずれも同監督が勝訴した。