米アカデミー賞授賞式がスタートした。長編ドキュメンタリー部門に、日本人の監督の作品として史上初めてノミネートされた「Black Box Diaries」の伊藤詩織監督(35)が、レッドカーペットで授賞式を生中継したNHKの取材に応じた。

衣装を褒められると「一昨日、見つけていただいて。何も着る予定がなかったので」と笑みを浮かべた。レッドカーペットに立った思いを聞かれると「この製作には本当に8、10年の時間がかかった。私1人だけではなく、こんなに多くのチームと一緒に、この時間を過ごせたということが私の心の支えになった。本当に皆さんに感謝で、ここに皆さんで立てたことが最高の思い出です」と答えた。

「Black Box Diaries」は、伊藤監督が性被害について、自ら調査に乗り出す様子を6年にわたって記録したドキュメンタリー映画。24年1月にサンダンス映画祭(米国)で行われた上映を皮切りに、50以上の映画祭で上映され、18個の賞を受賞。30以上の国と地域での配給も決まっている。また、伊藤監督は“ドキュメンタリー界のアカデミー賞”とも称されるIDAドキュメンタリー賞で、新人監督賞を受賞。英アカデミー賞ドキュメンタリー賞にノミネートされたが、受賞は逃した。

一方で、日本国内では、公開が決まっていない。一連の民事裁判をサポートしてきた元弁護団から、裁判手続き以外の場で使用しないと誓約して被害現場とされるホテルから提供してもらった防犯カメラ映像、情報提供した捜査官、タクシー運転手とのやりとりの映像などが承諾を受けないまま使用され、取材源の秘匿が守られておらず人権侵害の問題があると批判されている。