不登校の原因は「上級生の暴言・暴行」 熊本市の私立高いじめ、第三者委が報告書
熊本市の私立高の男子生徒が2022年度に不登校になった問題で、高校が設置したいじめ事案に関する第三者委員会が、不登校は上級生による暴言・暴行が原因だったとする調査報告書をまとめたことが28日、分かった。13年のいじめ防止対策推進法の施行後、熊本県内の私立校のいじめ調査報告書の内容が明らかになるのは初めて。
第三者委は、この運動部について「監督を頂点とするトップダウン体制」で監督らへの不満が下級生に向けられ、暴言や暴行につながったと指摘した。私立校を所管する県私学文書課が学校に委員の選任などを具体的に助言しなかったことを「丸投げ」と表現し、私立校への支援の乏しさを問題視した。
報告書などによると、生徒は入学直後の22年4~6月、運動部の複数の上級生から「死ね」といった暴言を受けたり、殴られたりして約40日間欠席した。高校は外部の通報を受けて部内を調査し、上級生を無期停学などの処分にした。生徒は24年度の途中まで別室登校を続けた。
生徒の欠席日数は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の目安(年間30日)を超えていた。県は重大事態として認識するよう複数回助言したが、高校は当初、応じなかった。
報告書は、高校の管理職と運動部の顧問らの連携や情報共有が不十分だったことや、高校の対応が「場当たり的」で生徒側の不信感を増大させたことを問題点に挙げた。再発防止策として▽情報共有の徹底▽保護者対応のマニュアル作成▽いじめや不登校の認識を共有し、チームで対応するための研修-を提言した。
報告書を受け取った生徒と両親は「いじめが認められて安心した。学校を信じて助けてほしいと言い続けてきたが、きちんと対応せず、被害者に寄り添う姿勢がない」と話した。高校は「報告書の指摘を重く受け止めている。学校の対応については既に改善を図っている。再発防止に注力したい」とコメントした。
第三者委は、弁護士と臨床心理士、社会福祉士の3人で構成。24年3月から約30回の会合を重ね、生徒本人や両親、運動部関係者、職員ら計17人への聞き取り調査をした。報告書は1月末、高校に提出した。(臼杵大介、上野史央里)
◆県の支援「公立に比べ不十分」
熊本市の私立高の男子生徒が上級生から暴言や暴行を受けて不登校になった問題を調査した第三者委員会は、いじめ事案が起きた学校への熊本県の支援が公立に比べて不十分だと指摘した。「生徒が不利益を被るべきではない」として、県の手厚い支援体制の構築を求めた。
県立学校でいじめが疑われる事案が起きた場合、学校もしくは県教育委員会のの第三者委が調査する。しかし、私立校では学校法人の判断に委ねられ、今回の私立高にはそもそも第三者委の設置要綱がなかった。
報告書によると、県は委員の選任に関して、県いじめ問題対策連絡協議会を構成する機関・団体の一覧表を私立高に提供しただけだった。第三者委の調査をサポートする事務局は学校に設置されず、学校関係者以外の聞き取り調査の日程は委員が自ら調整した。
熊本日日新聞の取材に、私立高は「第三者委の設置は手探り状態で、委員の人選や委員会の運営にとても苦労した。設置に向けた段取りなど県のサポートが欲しい」と答えた。
私立学校を所管する県私学振興課は「まだ報告書が届いていない」と話した。学校が県に報告書を提出する了解が、保護者から得られていないという。
報告書で、第三者委は茨城県のいじめ事案への対応を参考事例として紹介している。茨城県教委によると、いじめが疑われる事案は2023年12月から私立、公立に関係なくすべて県教委が対応し、24年1月に私立学校を所管する部署は県教委に置いているという。熊本県の私学振興課は知事部局にある。
生徒の両親は「県はいじめ対応について、私立と公立で分けるべきではない」と話している。(上野史央里、臼杵大介)
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