疾風に一目惚れするのは間違っているだろうか


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作:如月皐月樹
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7:戦争遊戯/竃火の館


「ベル様、こちらから入れます。罠の特徴や目印は覚えていらっしゃいますよね?」

 

「うん。ありがとう、リリ。多分もう少ししたらリューさん達の戦いも終わってるだろうから、そっちに合流して。城の門の前あたりにいると思うから」

 

「かしこまりました、ベル様。あのにっくき【アポロン・ファミリア】に勝ってきてください」

 

「うん。絶対に勝つよ」

 

 リリに出迎えられたベルは、城の裏口から敵陣に侵入する。

 リリとその場で別れを告げ、すれ違うようにして城に単独で攻め入った。

 

 城の中には手はず通りなら50名ほどの団員がいる筈だ。

 その全てを、ベルは自分の手で殴り飛ばすと決めていた。

 

「大丈夫、まだあの怒りは覚えてる。頭は冷静だけど、僕の心はまだ怒ってる。流石にお義母さんが降りてくるぐらいじゃないけど、まだあの熱は残ってる」

 

 走りながら、自分に言い聞かせるように呟く。

 アポロン相手に最後のメッセージも残した。

 後はそれを自分で実行するだけ。

 それだけの力が自分にはあると、少し傲慢すぎる気もするが、それだけの自信をベルは持っている。

 

 この戦争遊戯に参加できなかったアリーゼ達の分の怒りも、今は遠くにいる義母の怒りも、自分が背負ってこの場に挑む。

 胸に拳を当ててそう誓い、ベルは見えてきた【アポロン・ファミリア】の五人の小隊にそのまま襲い掛かった。

 

「なっ、いったいどこから入り込みぃっ!?」

 

「り、リトル・ルーキー!?」

 

 碌に準備も出来ていなかったのか、剣を振り下ろされる前に肉薄し、驚嘆の声を最後まで言わせることなく拳を鳩尾に抉りこませる。

 インパクトの瞬間に地肌を巻き込みねじるのも忘れない。

 声を裏返させ嗚咽を漏らすその人に、ベルはそのまま側頭部に回し蹴りを叩き込んだ。

 

 吹き飛ばす先は当然別の敵がいる場所。

 味方がいきなり吹っ飛んできたことに対応できず、そのまま巻き込まれて隙を晒す。

 そしてベルは教えられていた目印目掛けて魔法を放った。

 

「【ファイアボルト】」

 

「はっ、何処を狙って……があっ!?」

 

「熱っ!!」

 

「か、火炎石!?」

 

「一体いつの間にあんなものを仕込んで!?」

 

 炎雷は敵を素通りして物陰に着弾する。

 そしてそのまま火炎石に当たり、爆発。

 五人中二人を一瞬で戦闘不能にし、ベルは勢いのまま他の三人にも徒手空拳で攻め立てる。

 

「はあ!? 武器も取らないとはなめっ!?」

 

 振るわれる槍を最低限の動きで躱し、敵が言い終わる前に膝を横腹に突き刺し、顎に拳を叩き込み、頭を掴んで顔面を床に叩きつける。

 鼻の骨や歯が折れているだろうが、意識はギリギリ奪わない。

 激しい痛みを与えたまま放置して次の敵へ。

 

 容赦のないベルの猛攻に、残った二人は顔を青くしていた。

 それでもベルは容赦はしない。

 あの赤い少女──ダフネといった人以外には、かける情けを持ち合わせていない。

 微塵の抵抗も許さず、ただただ痛苦を与えて悶絶させる。

 

 一分足らずで五人を始末したベルの所に、爆発音を聞いたのか、恐らくは城内にいるほとんどの団員がその場に集まってきた。

 背後にもいくらか人が見えるため、おおよそ三十名から四十名だろう。

 その中にはダフネの姿もあり、やはり彼女が指揮官なのか、ベルの一番近く、集団の先頭に立っていた。

 

「リトル・ルーキー! 一人で城に入り込むとはいい度胸だな!」

 

「この数をお前一人で相手するつもりか新人風情が!」

 

「ダフネ様! 指示を下さい!」

 

 ダフネ以外の団員が口々にそんなことを言うも、ダフネは指揮棒のような剣も取らず黙ったままだ。

 そんなダフネに同じように今まで無言だったベルの方から話しかける。

 

「ダフネさん、であってますよね?」

 

「そうだけど……やっぱりそっちが普段の君なのね」

 

「そうですね。あの時は自分でもわからないぐらいに激怒してましたから。あの時は酷いことを言ってすいません」

 

「別にいいわよ。私だって君と似たような目に遭ったし」

 

「それで、ダフネさんはどうするつもりですか?」

 

「そうね。ここに来るまでに少しだけ君の戦う姿が見えたし……君のお言葉に甘えて、私は何もしないであげる」

 

「だ、ダフネ様!?」

 

 ダフネの背後にいる団員が叫ぶも、ベルはそれを無視してダフネと話す。

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「いいわよ、お礼なんて。むしろ、私の方が君にお礼を言いたいぐらいなんだから」

 

「それだけアポロン様に酷い目に遭わされたんですね」

 

「そうね。ただ悪いんだけど、私から一つだけ、見返りって訳じゃないけど、お願いを聞いてくれない?」

 

「なんですか?」

 

「私と一緒にこの子のことも見逃して欲しいの。この子も私と似たような子で、私の友達でもあるから」

 

「ダフネちゃん!?」

 

 そう言って、横に立っていた藍色の髪の少女の腕を引っ張るダフネ。

 そういえばあんな子もあの場にいたなと、ベルはその少女を見て、あっさりとそのお願いをきく。

 

「そういうことでしたらいいですよ。友達は大事ですもんね」

 

「ありがとう。ほら、カサンドラ、ボーっとしてないで行くわよ。このままじゃ戦闘に巻き込まれるから」

 

「だ、ダフネちゃん! 引っ張らなくても大丈夫だから!」

 

 唖然とする他の団員を余所に、ダフネとカサンドラの二人はその場を後にする。

 そうして二人がいなくなったのを見て、ベルは残りの団員をスッと目を細めて睨んだ。

 

「それで、貴方達はどうしますか? 別に逃げてもいいですけど……僕の方から逃がすようなことはしませんよ」

 

 彼等の指揮官がいなくなったためか、全員がどうするのかを迷っているようだった。

 武器を手に持ってはいるものの、攻めかかってはこようとしない。

 それを見たベルは最後に一言だけ告げて、戦闘を再開する。

 

「そちらから来ないなら、僕の方から行きます。覚悟だけはしといてください」

 

 そこから先はただ蹂躙するだけだった。

 流石に無抵抗でやられるわけにもいかないと、武器も持たないベル相手に襲い掛かってはくるが碌に連携も取れていない。

 

 数は多いがそれだけならリュー達の言葉も交わさない緻密な連携の方が数十倍きつかったと、彼等のバラバラな攻撃に普通に対処し、味方同士の攻撃も誘発させる。

 

 ダンジョンで基本の一対一を繰り返すなんてまどろっこしいこともしない。

 その常識すら逆手に取り、一人で同時に多数を相手に取って、そしてその全てを封殺する。

 

 更にはリリが事前に仕込んでくれた罠もフルで活用し、火炎石による爆発、ボウガンの矢、爆弾、地雷を自分もしくは敵に起動させる。

 今この城は、リリのおかげでそこら中が罠だらけだ。

 

 罠の位置の把握、罠の種類の把握、自分と敵の位置の把握、敵の人数の把握、敵の攻撃の把握。

 やることが多くて脳が焼き切れそうだったが、それでもベルは思考を止めずに敵を倒し続けた。

 敵と敵を線で結んで、次の行動を予測して、可能な限りの最適化を図り、倒し続けた。

 

 たった一人のレベル2によって、その場は地獄絵図に変えられる。

 

 炎にあぶられ、矢に貫かれ、爆発に巻き込まれ、蹴られ、殴られ、叩きつけられ、踏みにじられる。

 

 顎を砕き、(あばら)を折り、腕を曲がってはいけない方向に曲げ、脚をへし折り、頭蓋に罅を入れ、目を潰し、急所を蹴り飛ばした。

 

 たった一人で、ナイフすら使わず、徒手空拳と罠と魔法で、たったの十分足らずの時間で、【アポロン・ファミリア】の半数近くの冒険者は戦闘不能に追い込まれた。

 そのほとんどが意識すら失うことができずに嬲られ、今も痙攣しながら苦痛に悶えている。

 

 それを尻目にベルはスキルを使いチャージを始め、ヒュアキントスがいるであろう城の最上階の真下の辺り向かって歩く。

 義母がいれば「雑音を奏でるな」とでも言いそうなほど騒がしかった城内は水を打ったように静まり返り、ただリンリンと、ベルのスキルの音が鳴る。

 

 チャージ二分、威力的にも、この後の体力と精神力的にもこれぐらいかと、ベルは右腕を砲身に見立てて天井へ向けて突き出した。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 天井を突き破り、魔剣と爆弾でボロボロになっていた城が、その魔法を契機に倒壊する。

 轟音と共に崩れ落ちる城の最上階。瓦礫で足場は不安定だが、それでも今までに比べれば平になったといってもいい戦場。

 

「……」

 

 あの団長が出てくるのを、右手にヘスティア・ナイフ、左手に牛若丸を握り、ベルは一人佇んで待つ。

 この程度の衝撃と瓦礫に揉まれたところで、レベル3の彼が戦闘不能になるとは思えない。

 そしてそのベルの考えは正しかった。

 

「いったい何が起きたというのだ!?」

 

 叫び、瓦礫の中から姿を現すヒュアキントス。

 埃まみれのヒュアキントスの前へと、ベルは歩みを進める。

 

「驕りすぎですよ、団長さん。どうせ自分が出る必要もないとか、そんなことを考えていたんじゃないんですか? 他の団員に任せて悠長に構えてるからこうなるんです」

 

 あれだけの戦闘音を立てて十分近く戦闘を続けていたのに、それでも彼が出てこなかったのがその証拠だ。

 義母が乗り移ったような感覚はないので、ベルは今自分にできる精一杯の言葉を並べる。

 ヒュアキントスがベルの姿を視認すると、彼はベルの事を睨みつけ、波状剣を手に取った。

 

「リトル・ルーキーぃ、今のは貴様の仕業か!?」

 

「そうだとして、あなたはどうするんですか? もうあなたを守ってくれる団員はいませんよ」

 

「なんだと!?」

 

 焦りすぎて今の状況も正確に把握できていないのか、今になって辺りを見回すヒュアキントス。

 その彼にベルは懇切丁寧に教えてあげた。

 

「あなた以外の団員は全員倒しました。その意味がわかりますよね?」

 

「っ……」

 

 言いながら、ベルは両手に持つ武器を構えた。

 

「勝負だ」

 

 彼我の距離を一瞬で駆け抜け、肉薄し、懐に潜り込む。

 ナイフと短刀の二刀流。一撃離脱はいらない。

 そう思い、裂帛の声と共に近接戦闘で連撃を叩き込む。

 

「はぁああああ!!」

 

「!?」

 

 以前酒場でヒュアキントスと喧嘩をした際の記憶はほとんどない。

 だが神の宴で彼が無事な姿は見ており、きっと自分は簡単にあしらわれていたのだろう。

 そう思っていたが、今のヒュアキントスの反応でそれが確信に変わる。

 

 ヒュアキントスと互角以上に斬り結ぶ。

 高速で叩き込むナイフと短刀。

 それを波状剣でなんとか凌ぐヒュアキントス。

 

「誰だ!?」

 

 力はほぼ互角かあちらが若干上。

 

「誰だ!!?」

 

 『技』と『駆け引き』はまず間違いなく自分が上。

 

「誰なのだお前は!!?」

 

 速さは完全に上回っている。

 

「私はレベル3だぞ!!」

 

 遮二無二に振られた波状剣。

 それを冷静に牛若丸で弾き、できた隙にヘスティア・ナイフを胸部に一閃。

 

「がっ」

 

 さらに隙を晒した。

 

 そこで蹴りを放ち、ヒュアキントスを吹き飛ばす。

 

 距離が開く。

 

 距離を詰める。

 

 ひたすらに連撃を、間断を与えずに叩き込む。

 

 ヒュアキントスに休む暇も与えず攻め続ける。

 

 傷を増やす、隙を増やす、動きを鈍らせる。

 

 さらに攻撃を叩き込み、ただひたすらに、防御など考えずに攻め続ける。

 

 キィンっと甲高い音が鳴り、ヘスティア・ナイフが波状剣を半ばから折る。

 

 武器を破壊されたヒュアキントスは、それでも諦めず眦を決した。

 

「このっレベル2風情が私を舐めるなあ!!」

 

「あがっ」

 

 ベルの一瞬の隙を突き、蹴り飛ばされて距離が開いた。

 ヒュアキントスは自分も後退してさらに距離を放している。

 

「【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ!】」

 

 片手を上に突きあげて詠唱を始めるヒュアキントス。

 間違いなく攻撃魔法。

 この場で使う逆転の一撃。

 判断は一瞬だった。

 

「【ファイアボルト】!」

 

 速攻魔法で詠唱が完了する前に潰す。

 十の炎雷がヒュアキントスに向かい、直撃した。

 

「っ、【我が名は罪、風の悋気。一陣の突風を】……っっアア!!」

 

 それでも魔力の手綱を放さないヒュアキントス。

 詠唱を断行していたが、次の瞬間には悲鳴を上げた。

 

 魔法、だけではない。

 魔法は撹乱と囮。

 本命は投擲した牛若丸。

 

 いつもリューには魔法だけだと斬って捨てられている。

 ならば魔法とは違う遠距離攻撃を試すのもいいと、少し前に考えていた戦術を今この場で実践する。

 

 魔法の陰に隠れて時間差で迫った牛若丸がヒュアキントスの太腿に突き刺さり、それを契機に魔力暴発を引き起こした。

 

 黒い煙に巻かれるヒュアキントス。

 

 ベルは牛若丸を投擲した瞬間にはもう走り出している。

 

 接敵したベルは足元がおぼつかず倒れそうになったヒュアキントスの鳩尾に、空いた左手を握りしめ──叩き込んだ。

 

 白兎の牙(ヴォーパル・ファング)

 

 ヒュアキントスの身体が吹き飛び、大地に叩きつけられ、そして、立ち上がることはなかった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

『せ、戦闘終了ー!! なんとなんと【未完の少年】が【アポロン・ファミリア】の半数近くの団員をたった一人で倒すだけでなく!! 団長の【太陽の光寵童】を一対一で撃破ぁ!! 大番狂わせも大番狂わせ!! 今回の戦争遊戯は【ヘスティア・ファミリア】の勝利だあー!!』

 

 バベル前の広場にそんな声が響く。

 

「やったぁー! さっすがベル君! リオンの弟子なだけはあるね!」

 

 とある酒場では自分の役目もほっぽりだして、賭け事に興じる青鈍色の髪の少女が両手を上げて喝采していた。

 後で彼女の姉に説教と折檻をされるだろうに、今この瞬間だけは喜びに満ち溢れた声を上げていた。

 

「はあ~。聞いてはいたけど、ちょっとだけヒヤヒヤしたわよ。お弟子君まだレベル2なのに、半分の団員を自分で倒そうとするんだもの。それも無手で。罠があったとはいえ、よく全員倒せたと思うわ」

 

「兎のステイタスはレベル2のそれではないが……確かにそうだな団長。あの指揮官が抜けていなければ、少々危うい場面もあったぞ」

 

「まあ結果的に勝てたから良かったけどよお。あれ、アタシ達四人がかりで稽古つけてなかったら、不可能だったんじゃねえか?」

 

「そうね。四人で相手してあげて良かったと思うわ」

 

「その言い方は誤解を招くからやめてくれ団長」

 

「輝夜にだけは言われたくないわ」

 

 『星屑の庭』では、そんな風にベルの戦闘の感想戦が行われた。

 三人ともヒュアキントス相手であればベルは必ず勝つと思っていたようで、心配したのは集団戦の時のみであった。

 

 そして、バベル30階。

 そこでは二柱の女神によって、一人の男神が裁かれようとしていた。

 

「さて、アポロン」

 

「ええ、アポロン」

 

「「これから君(あなた)に沙汰を言い渡す(わ)」」

 

 二柱の女神に見降ろされるアポロン。

 その男神は戦争遊戯での自身の眷属のやられようを見て顔面を真っ青にしており、そして二柱の女神に詰め寄られて顔を蒼白とさせた。

 そのアポロンを見るヘファイストスとタケミカヅチは、この先に待ち受ける男神の運命を察し、憐れむような顔をしていた。

 そして当のアポロンはというと、この期に及んで往生際が悪った

 

「ま、待ってくれ慈愛の神ヘスティアよ。天界で愛し合った仲じゃないか。じ、慈悲を……」

 

「するわけないだろおー!! それにボクは君と愛し合ってなんかいないやい!!」

 

「そうね、ヘスティア。私だって自分の眷属を侮辱されるにとどまらず、あの子の傷口に塩を塗られるような真似をされたもの。かける慈悲なんてあるわけないじゃない、アポロン」

 

 かける慈悲も情けも容赦もなし。

 二人は代わる代わるアポロンに要求を告げる。

 

「君は戦争遊戯にボクが勝ったら何でも言うことを聞くと、そう言ったね。だから色々と要求させてもらうよ。お願いもされてるしね」

 

「そうね。まずは全財産の没収かしら、ヘスティア?」

 

「そうだねアストレア。次にファミリアの解散……と、言いたいところなんだけど、これは君の眷属の意思を尊重しよう。派閥を抜けたい眷属には脱退を認めること」

 

「そうねヘスティア。そしてアポロン、あなたはオラリオから追放するわ。二度とこの地に足を踏み入れることを許しません」

 

「そして最後に、オラリオから出てすぐに、君と君について行きたい眷属達には『エルソスの遺跡』に行ってもらう。()()()からの要求は以上だ」

 

「え、『エルソスの遺跡』だって? なぜそのような場所に私と私の眷属達が行かねばならない?」

 

 声を震わせながら問うアポロン。

 これは戦争遊戯に勝った故の命令なので、本当は答える必要はない。

 だが今この場でさらにちょっとした罰を与えるのもいいかと「うーん」と少し悩んでからヘスティアが答える。

 

「そこに君達のことを待ちわびている人と神がいるからさ。そうだな……アストレアの方からその神の名前をアポロンに教えてやってくれないかい? ボクよりも君の方が適任だと思うんだ」

 

「そうねヘスティア。あなたよりも私の方がいいでしょう」

 

 そう言って、アストレアは他の神に聞こえないよう、アポロンの耳元に顔を近づけてそっと囁く。

 

「へ・ラ」

 

「……ほぁぁ」

 

 囁かれたアポロンは耐え切れなくなったのか、顔面を蒼白にしたままその場で気絶してしまった。

 

「ありゃ、ここまで効果があるなんて。あの子、別にそんなに悪い子じゃないのに」

 

「それはヘスティアだから言えることよ。他の神々にとってはこうなりもするわ」

 

「そうなのかなぁ?」

 

「ええ、そうよ」

 

 首を傾げるヘスティアに、アストレアは微笑みながらも断固としてそう譲らなかった。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「さてベル君、ここが新しいボク達の本拠だ」

 

「そうですね神様。こんなに広い本拠に二か月ちょっとで移り住むことになるなんて、思ってもみませんでした。教会は残念でしたけど……今回の賠償金で立て直すこともできそうですし」

 

「そうですねベル様。リリも短かったとはいえ、あの教会には思い入れがありますから。立て直せそうで良かったです」

 

「それにしても、ここは『星屑の庭』よりも広いですね。あの構成員の数を考えれば当然とは思いますが」

 

「俺としては有り難かったな。本拠に自分の工房を持てたんだから」

 

「自分も大きな檜風呂を作ってもらいましたし。今度輝夜殿もお風呂に誘いましょう」

 

「ええ、そうしてあげてください、ヤマトさん。輝夜もそのうち貴女に稽古をつけにここに来るでしょうから。その時に堪能させてあげるといいでしょう」

 

「はい! リュー殿!」

 

「稽古というと……ここの庭も相当広いですし、場所には困らなさそうですね、リューさん」

 

「そうですねクラネルさん。貴方もレベル3になりましたし、より広い場所の方が訓練にも適しているでしょう。『星屑の庭』でランクアップのズレは直しましたが、その時にそろそろ本気を出さなければならないと思いましたし」

 

「うーん、どうでしょうか。僕はまだまだリューさんとの経験の差を埋められそうにないんですけど」

 

「そうでしょうか? クラネルさん程の潜在値があれば、レベル4の冒険者にも勝てる可能性は十分にあると思うのですが」

 

「それはそうかもしれないですけど、リューさんが相手となると話は別ですよ? まだリューさんに勝てるイメージができないですし」

 

「私を買い被りすぎですよ、クラネルさん。ところでヘスティア様、ここの本拠の名前は決めているのですか?」

 

「ああ、もう決めてあるぜ。ボク達の本拠の名前は『竃火(かまど)の館』だ!」

 

 

 

 ベル・クラネル

 

 Lv.3 所属:【ヘスティア・ファミリア】

 

 力  :SSS1694→H168

 耐久 :SSS1956→G225

 器用 :SSS1786→H187

 敏捷 :SSS2001→G243

 魔力 :SSS1506→H141

 

 幸運 :H

 耐異常:I

 

《魔法》

【ファイアボルト】

 

《スキル》

【英雄願望】

 

 

 

──────────────────────

色々捕捉

 

はい!

というわけでアポロン達にはお義母さんとヘラが直接制裁を加えることとなりました。

お義母さんならたぶん【アポロン・ファミリア】をアンタレスに突っ込ませることでしょう。

もしかしたらアポロンも眷属と一緒に放り込まれるかもしれませんね。

その後に送還されるかどうかはヘラ次第でしょう。

恐らくはされると思いますが、盤外のことなので読者の皆様のご想像にお任せします。

 

ダフネとカサンドラはミアハ様の所に行くかな?

ヘスティア様はミアハ様と仲が良いですし、ベル君はこれも付き合いということで【ミアハ・ファミリア】のポーションを買ってます。【ディアンケヒト・ファミリア】のも買ってますが。

ダフネはリリに指揮の仕方を教えてたりしましたし、カサンドラの予言は大事ですしね。

ミアハ様のところに行く経緯は原作と一緒ですが。

 

ベル君のステイタスですが、本当にランクアップのズレを直しただけです。

引っ越し作業で結構忙しかったので。

数値については妖精さんがこう供述しています。

 

「私はいつもやりすぎてしまう」

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