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第二章 ジョン・タイターが引き起こしたマンデラエフェクト〜マンデラエフェクトの意味

知られざるジョン・タイター

ジョン・タイター(John Titor)は世界一有名なタイムトラベラーと言って良いが、その実態は全くと言って良いほど知られていない。ある程度知っている人でもせいぜい2024.8現在のwikiに載っている程度だろう。とりあえずタイターをよく知らないという人のために、一般的に知られている全体像を少し書いておこう。

2000年11月3日、アメリカの大手ネット掲示板に、2036年からやってきたと自称する男性が書き込みを行った。彼は「ジョン・タイター」と名乗ると、タイムトラベルの理論や自身のいた未来に関する状況、未来人である証拠などを提示していった。

彼はUNIXというOSを用いているコンピュータが、2038年になると正常に日時を計算できなくなる問題を解決するために過去に来たという。その修正対象にはとても古いプログラムもあり、その修正を可能にするために、IBM5100というコンピュータを求めて1975年にタイムトラベルしてきたのだ。その後、本来はそのまま帰るところが、彼は1998年に来た。実はタイターのいた世界線では、2000年問題のためにとても大きな災害が起こったため、その災害に出会わないように家族を避難させたくてこの年に来たのだ。そして無事、家族を説得して引っ越しをさせたのだが、御存知の通り、この世界線では2000年に大したことは起きなかった。

その後、しばらくタイターはこの世界線に滞在し、やがてネットに書き込みを始めた。そして、最初の書き込みから約4か月後の2001年3月に「予定の任務を完了した」との言葉を残して書き込みを止め、以降は消息を絶っている、というのが一般に知られている情報だ。

ここからが知られざる情報だが、タイターの持ち帰ったIBM5010は期待通りに動作しなかった。2002年のこのgoogleグループの書き込みで彼はそう言っている。

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タイターはこの書き込みで、マシンの影響で体調を崩し、物理学者の助けがいると書いている
別な世界線の彼が世界線を跨ぐと、彼の体調が悪化するのだそうだ

彼はこの後、今度はIBM5110を求めて、再び1975年に行ったと思われる。タイターと一番親しかったパメラ(Pamela)に彼から、この型番のラベルが送られている。また彼自身の「IBM5110」が必要で過去に来たというチャットも残っている。

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このように、一人のタイターだけでも最低二回、1975年に行っている。しかしタイターのタイムマシンは不完全で、直接の過去である世界線には行けない。なんとなくそこに近い過去の世界線に行けるだけだ。そして、少しずつズレた世界線に行ったタイターたちの中で、たまたま同じ世界線に行き着いたタイターたちがいた。そして彼らはお互いに生家を目指した結果、1999年に出会ったのだ。

この二人は1998年から2009年の間を飛び回って、世界を変えようとしていた。それが公にされたのは2009年。ラリー・ヘイバー(Larry Haber)という、タイター関連の権利を管理する弁護士がいる。その彼が、2009/11に公開するようにと、タイターの母親から預かっていたメッセージをYouTubeでアップした。

このメッセージは1999年に、二番目にこの世界線についたタイターから、他のタイターたちに宛てたものだ。このメッセージを彼が書いているのは2009年3月22日で、その時のダイバージェンス(世界線の差異を表す数値)は1.941。彼ら二人は1998年と2009年の間のいろいろな時代に行って、このダイバージェンスが変わるように、彼らが経験した第三次世界大戦のある世界線から遠くなるように操作していた。メッセージにはさらに、世界線を変える試みとして最初にFAXを送ったことなどが書かれている。

実はこのFAXに関連して、タイターと親しかった人たちの中で当にマンデラエフェクトという現象が起きた。

三通のFAX

アート・ベルがホストを務めていた超常現象関連の人気ラジオ番組Coast to Coast AMに1998年7月、あるFAXが届いた。このFAXの内容を下記に途中まで紹介しよう。

アートへ。
2500年以降から来たというタイムトラベラーたちから電話がかかってきているのを聞いて、思わずファックスしてしまいました。

説明させてください。....
タイムトラベルは2034年に発明されました。
核融合に関するある種の研究が成功したことで、CERNの科学者たちは世界初の特異点エンジンを開発することができました。
基本的な設計は、磁場の中で特異点を回転させるというものです。回転の速度と方向を変えることで、未来にも過去にも移動することができます。
時間そのものは、つながった線で理解することができます。時間を遡るときは、元の時間軸上を移動しますが、特異点エンジンをオフにすると、あなたとタイムマシンがそこにあるという事実により、新しい時間軸が作られます。
言い換えれば、新しい宇宙が生まれるのです。あなた自身の元の時間軸に戻るには、さらに一瞬だけ前の時間に移動し、エンジンを切らずにすぐに前進させなければなりません。
その結果、次のような面白いことが起こります。

1 自分と出会うのです。私はよくこの状況になりました。ときには若い自分を連れて、新しい時間軸に行ったり、私自身の時間軸に戻ったりしたことが何度かあります。
2 自分が作った新しい宇宙の歴史を変えることができます。ほとんどの場合、その変化は微妙なものです。時々、存在しなかったモデルの車や、出版が遅くなった本などに気づくことがあります。
最も古いのは、私のお気に入りのお店の近くに建てられた、ニューヨークには存在しないはずの超高層ビルでした。

面白いことに、タイムトラベルをする際には、地球の軌道に付いていかなければなりません。タイムマシンは動かないので、エンジンを切っても地球上に留まるように調整しなければならないのです。残念ながら、私の2036年から時間を進めると、2564年には壁にぶつかることも判明しました。その時間まで行った人はみな、何も存在しなかったと報告しています。マシンを止めると、暗黒と静寂に囲まれているというのです。
たくさんのタイムトラベラーが過去に行き、新しい宇宙を生み出してから2564年に行って、同じ問題が起きているかを確認し、どの時代が元で軸が悪くなってしまったのかを見出そうとしています。そして分かったのは、2000年頃から軸が悪い方に行っていたことです。私は今その時代に、未来に行く前にいくつか自分の理論をテストするためにここにいます。
さて、あなたが知りたいと思う未来についてですが、
(後略)

内容から考えるとこれはジョン・タイターからのもので間違いない。彼はここで非常に興味深いことを書いている。タイムマシンを止めることによって新しい宇宙が生み出され、その歴史を変えることができるというのだ。つまりタイターが来たことに気づいて彼と同じ世界線に分岐した人たちは、マンデラエフェクトを経験することになる。また彼は、2564年で壁にぶつかってしまう「閉じた世界線」のことを述べているが、それについてはまた後でその意味を考察する。
タイターはその後ももう一通FAXを送り、下記のことを述べている。

(前略)
ベルさん。私は1998年7月29日にこのオープニングでファックスを送りました。その時に言ったように、私はタイムトラベラーです。今年の4月からこの世界線にいて、もうすぐ旅立つ予定です。通常、タイムトラベラーは訪問先の世界線に意図的に影響を与えることはありません。しかし、今回のミッションは異例の長さで、ここで出会った何人かの人々に愛着が湧きました。
いずれにしても、個人的な理由から、この世界線を助けるために未来に関する情報を何人かの人々と共有することに決め、それが彼らの未来に役立つことを期待することにしました。あなたに連絡したのも同じ理由からです。
(中略)
もしあなたが私に連絡を取りたいのであれば、時間の性質、タイムトラベルの物理学、そしてあなたの未来の出来事について喜んでお話しします。
返信の宛先は...

二通のFAXでわかるように、タイターは2000年頃から世界線がおかしくなってきているのを知り、また、過去に来て知り合った人たちに愛着が湧き、意識的に私たちを新しい世界線に連れて行こうとしたのだ。これらのFAXについて述べられたYouTubeメッセージは当初、タイターと親しかった人たちからも偽物だと思われていた。しかし2016年、タイターの母親が彼と親しかったパメラと連絡をとり、彼女のもとに二人のタイターから荷物が届けられた。その中の手紙には、二人のジョン・タイターがいて、彼らがどのようにしてパメラと連絡を取っていたかが書かれていたのだ。
パメラは、タイターが「今までに送ってもらったメールを全部なくしてし
まったので、それを送って欲しい」といってきたこと、彼がいくつものメー
ルアドレスを使っていたことを挙げ、二人いたという話には確かに信憑性
があると書いている。

この、二人のタイターが関わっていたという事実がそれを生んだのか、当時のフォーラムユーザーの中に、はっきりと世界線が変わった人たちがいる。実は当初からタイターと関わっていた人たちにとって、第一のFAXは違う内容なのだ。ここで紹介した第一のFAXが文字として公開された際、パメラは「それは改変されたものだと思う」「特に『消えたビル』の部分は違う」とコメントしている。しかし後に、このFAXを読み上げるラジオの音声が公開されたが、それは先に紹介した内容だった。

パメラの知るFAXは、彼女自身がベルの放送を聞き取って書き起こし、同じくタイターと関わりのあったダービー(Darby)がanomalies.netという、現在はアクセスできないBBSで公開したものだ。その第一のFAXの別バージョンには、「時々、存在しなかったモデルの車や、出版が遅くなった本などに気づくことがあります」という一文や、2564年の未来に関する記述が完全に抜けていて、その他にも細かい違いがたくさんある。このオリジナルの第一のFAXを知っている人たちは、正にマンデラエフェクトを体験したのだ。

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記憶をもとに復活された当初の第一のFAX
https://web.archive.org/web/20120904112911/http://imaginativeworlds.com/forum/showthread.php?4686-John-Titor-s-FAXes-to-Art-Bell

そもそも最初に紹介したFAXは、タイターとして一般に知られている事柄から考えてもおかしい。彼の使うタイムマシンは2564年という遠い未来に行けるものではなかった。筆者は、記憶にあるFAXと第二のFAXが当初送られ、タイターたちが時代を飛び回ることによって、また別の、より進化したタイターが生まれて1998年に来て、最初に紹介したFAXを送り、世界線が変化したのだと考えている。なお、この「より進化した」タイターというのは、この記事の最後の方で重要な存在となってくる。しかし今は、そこまで入り込まないことにしよう。

届かなかったメール

タイターはすべてが終わって未来に帰る時に、親しくメッセージを交わしていた人たちにはメールを送る約束をした。2001年から2036年に帰るにあたって、なるべく元に近い世界線へと帰るには、一旦1998年に行って、それから1975年に行き、そこから最終的に2036年に帰る必要があった。そこで彼は、1998年から、もしくは最終的に2036年に戻った時点でメールを送る提案をしたのだ。タイターは、1998年に送った場合、この世界線にそのメールが届くことはないけれど、何がしかの変化が起きるはずだと言っていた。

フロリダ_ジム(Florida_Jim)はあるとき、行きは空き地だった場所に、帰りには「Rooms To Go」があるのを見つけてびっくりした。

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Rooms To Goはかなり大手の家具販売店チェーン

ジムがパメラにこの体験を伝えたところ、彼女はタイターにメールを頼んだ他の人たちも同じような奇妙な体験をしていると教えてくれた。その際、パメラと彼との間で、ひとつ一致したことがある。バーガーキングのロゴが、彼らの視点では一夜にして変わっていたのだ。パメラが問い合わせたところ、1〜2年前にロゴが変わっていたとのことだった。ジムはその後も突然できている建物を見ることが何度かあり、中に入って、そこがいつできたのかを聞いてみたこともある。その時、セールスマネージャーは10年か11年前からあると答えたという。

アインシュタイン(Einstein)のハンドル名の人も、自身と奥さんの奇妙な体験を書いている。彼は自分と奥さんの両方にメールを送ってもらった。

アインシュタインはある日の昼休みに家に戻ってきた。そして車からアパートまでの道すがら、ビルの管理人が仕事をしているのを見かけた。庭にいた彼女に近づくと、彼女はアインシュタインを見上げて、「どうやったらそんなに早く着替えられるの?」と言ってきた。その言葉の意味がわからず戸惑っているアインシュタインに、彼女は「5分前に短パンとTシャツで自転車に乗ってアパートを出て行ったのを見たのよ」と続けた。アインシュタインはそれに対して「朝からずっと仕事をしていたのに、そんなはずはない」と言った。彼女はそのとき顎が外れそうなほど口を開けて、蒼白になったそうだ。その後、彼は自転車を見に行ったが、確かになくなっていた。ただ、娘が借りていったのだろう、くらいに思って、彼はその記憶を棚上げにしていたのだ。

後日、彼と生き写しの男が確かに存在し、奥さんとも交流していたことがわかった。奥さんはその男がタイムマシンの話をし、煙草の箱より少し大きいくらいのマシンを見せてくれたと言う。アインシュタインは彼女とそのドッペルゲンガーについて話した中で、「彼と寝たか」と聞いたのをよく覚えていると言う。奥さんはそれに「でも、あなただったのよ」と答えた。

アインシュタインにはこのときの奥さんとは別に、前妻がいる。この前妻が、タイターからメールを受けた奥さんだ。彼女はアインシュタインに当時のことを聞かれて、こんな風に答えていた。

「奇妙なことがたくさん起こってるの。何かを探しに行ってもそこにはない。でも、10分か15分くらいしてから探しに行くとあるのよ。私は絶対2つの世界に生きている。お米を取りに行ったのにそれは小麦粉で、そうかと思うと実際にはお米だった。こんなことがよくあるのよ。。。」

とりあえずタイムトラベラーが関わるとマンデラエフェクトが起きるし、深く関われば関わるほど変なことが起きると言えそうだ。とは言え、その時実際には何が起きているのだろう。それを知るには、世界線の概念をより掘り下げなければならない。

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第二章 ジョン・タイターが引き起こしたマンデラエフェクト〜マンデラエフェクトの意味|冨山詩曜(Siyoh)
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