トロアとなった青年はストーリーを知っていいたが、女性だけの部屋に自分だけだと考えると非常に気まずい。
「アストレア様、俺は外で待とうと思うが良いか?」
「あら、せっかく案内したのだからゆっくりして大丈夫なのよ?」
(アストレア様~、善意で言っているのは分かるけど、男である俺の気持ちも考えて~!!)
トロアは、どうすれば良いのか考えていたら、長い黒髪の女性が
「アストレア様、この殿方が誰なのか。そろそろ、教えていただけませんか?」
「そうね。彼の名前はトロア、私も詳しくは知らないのだけれどアリーゼたちの手伝いをしてくれたみたいよ。オラリオでの拠点が欲しいと言ったらアリーゼが連れてきたようだわ」
アストレア様は、笑顔で説明をしていた。
「アリーゼが連れてきたのか。だから、そんなに変わった風貌なのか...」
「まぁ、あの団長が気に入って連れてきた人ですものねぇ」
(知っていはいたが、アリーゼはどんなことやってきたんだ…)
トロアは内心でアリーゼに対して愚痴っていた。
「二人共もう少しアリーゼを信用してあげてね?トロアも別に疚しいことを考えていたわけでないのでしょう?」
「当たり前だ。案内もしてもらったのに恩を仇で返すつもりはない。」
トロアは、当然だといわんばかりに返答した。
「そうかよ。まっ、よろしくな。」
「あぁ、よろしく頼む。えぇと...」
「ライラだ。こっちの二人はゴジョウノ・輝夜とネーゼ・ランケットだ」
「「よろしゅう(よろしく)」」
「あぁ、よろしく頼む。ところで質問なのだが、お前たちを目的で入団希望をする奴が少なからずいるんじゃないか?」
「実際にいたよ?ライラとリューが追っ払ってたけど」
「まぁな、お前は変な奴だが、そういう目的で来たわけじゃなさそうで安心したぜ。もしそうだったら、ぶっ飛ばしてたところだ。」
(怖え~...実際に言われるとマジでビビる…)
内心では、恐怖していたトロアだが、即座に気持ちを切り替える。
「そういえば、お主が私たちのファミリアに来た細かな経緯は?」
「そうだったな。細かいことは話していなかったな…」
それから、トロアは諸々の事情を全員に説明した。その説明の途中で、アリーゼとリオンが戻ってきた。
「ふーん、まっいいんじゃねぇか?私はこいつなら特に問題なさそうだし」
「私も賛成です。実力もレベル2を問題なく、制圧できつつ疚しいことをしないでしょうし」
トロアを受け入れることで、メンバーの賛成の意見で問題なく、話し合いは終わった。
「じゃあ決まりね!これからアストレア様の眷属(仮)だわ!アストレア様もいいですよね?」
アリーゼは、アストレア様に確認をしていた。
「構わないけど、少し条件があるわ。まずあなたのレベル、あとはあなたの主神、最後にあなたは何のためにここに来たのか、それを教えて」
「…………」
(まずい、レベルもなければ主神なんていないし、どうやって誤魔化すか。いや、神達には嘘は通用しなかったっけ.....)
アストレア様はこちらの真意を確かめるように青い瞳をこちらに向ける。
「分かった。まず、最初に訂正しておくと俺は、恩恵を刻んでいない...だから、レベルも主神もいない」
全員が唖然としていた。リオンが最初に口を開いた。
「あっ、あり得ません!恩恵を授かっていない人がレベル2の冒険者をたった一撃で制圧するなんて...!!」
「だが、事実だ。俺は、恩恵がなくても戦うことができる」
「あ、アストレア様。トロアの言ってることはほんとうなんですか⁉」
「えぇ、彼は嘘を一つもついていなかったわ。つまり…」
「恩恵がなくてもレベル2のポテンシャルを持っているってことだよな…」
彼女たちは、いまだに信じられないという気持ちがあるがアストレア様が嘘をついていないと判断したからには、納得せざるを得ない。
「なぜ、恩恵がなくとも戦えるのか。聞いてもいいかしら?」
「山奥で鍛錬と技を磨いていただけだ。それ以外は知らん。」
リオンは、納得できないという顔で反論した。
「なっ、鍛錬だけであれだけ強くなれるわけがない‼」
「事実、俺はこれだけ強くなっている。」
アストレア様はトロアの顔を真剣な表情で言った。
「嘘は言っていないようだし良しとしましょう。けど、いつか全部教えてもらうわよ?」
「いつかな…」
トロアは、渋々とアストレア様の言葉に同意をした。
「じゃあ最後、貴方は何のためにここへ来たの?」
「この都市に来たのは、偶然だ。通りがかりの商人の馬車に乗ってこの街に来た。せっかく、迷宮都市に来たのだからダンジョンで金を稼ごうかと考えている。」
(実際、金が全くない根無し草は、まずいしな…それに、この世界に異修羅に関係する魔剣があるかどうかすら不明な点が多い...)
本来、おぞましきトロアであるならば、魔剣を簒奪することが目的だが、中身は至って平凡な青年であることから、簒奪を考えることはないだろう。
「そうなのね!じゃあ、今は根無し草なのね!!」
「アリーゼ...本人がいる前でそのようなことを言っては…」
「リオン。フォローになってねぇからな…」
事実を直球に言われてしまって、トロアの心に突き刺さるがそのまま、彼女たちは話し続けている。
「トロア。理由はそれだけ?」
「!!」
「アストレア様、『それだけ』とは……?」
「そうねぇ……『お金を稼ぎたい』というのも間違ってはいないとは思うのだけれど、他にも目的がありそうな気がするの。どうかしら、トロア」
(……やはり、魔剣の簒奪を話していないつもりだったが。流石、女神の勘というところか…)
トロアはおぞましきトロアの目的を話すべきと考え、口を開いた。
「流石というべきか。目的はもう一つある。その目的は、俺が探している魔剣の情報だ...」
「魔剣…だと。」
リオンは魔剣という言葉を聞いて、顔を歪めた。
「あなたの探している魔剣とは、どんなものかしら」
「流石にそこまでは、教えるつもりはない...」
「分かったわ。トロア、あなたが何の目的で魔剣を探しているかは分からないけれど...いつか、私たちにも教えてくれないかしら」
アストレア様が話している途中に、トロアは会話に割り込み発言をした。
「努力はしよう...お前たちには、恩がある。ならば、俺はそちらの不利益になるようなことはしない…」
「そう...それを聞けて良かったわ。でも、無茶だけはしないこと。良いわね」
「……善処はしよう」
アストレア様が笑顔で圧をかけてきたのでトロアは、努力するといった。
こうして、トロアは正義の眷属と共に紡ぐ物語が始まった。