回り道? 人生の糧? 「多浪」を選んだ東大生が伝えたいこと

東京大学赤門前に並ぶ多浪交流会のメンバーたち。指で自身の浪人年数を示している=東京都文京区で2021年6月12日午後0時37分、金志尚撮影
東京大学赤門前に並ぶ多浪交流会のメンバーたち。指で自身の浪人年数を示している=東京都文京区で2021年6月12日午後0時37分、金志尚撮影

 日本一の山といえば富士山であるように、日本トップの大学と聞いて一番に思い浮かぶのは東京大だ。最先端の研究・教育機関として、社会を引っ張る人材を多数輩出してきたことは誰もが認めるところだろう。一方、山頂にたどり着くまでのルートが一つでないように、東大までの道のりもまたそれぞれ。現役や1浪だけではない。2浪、3浪、4浪……とじっくり時間をかけて合格をつかみ取る人たちもいる。東大にはそんな多浪生が集うサークルがあり、長い浪人生活で培った経験を学外に向けて発信している。そこで当事者たちに聞いてみた。多浪は回り道ですか、それとも人生の糧ですか――。【金志尚/デジタル報道センター】

最長浪人期間は12浪

 最難関の東大とはいえ、学内で多数派を占めるのはやはり現役合格者だ。東大の入試には、主に一般選抜の前期日程と学校推薦型選抜がある。大学広報によると、今春の前期合格者2985人のうち、現役は71・8%だった。以下、1浪25・7%、2浪1・5%、3浪以上が1%と続く。現役と1浪を合わせると9割超に達し、2浪以上は2%台という圧倒的「マイノリティー」である。

 そんな多浪生のサークルとして、今から5年前に誕生したのが「東京大学多浪交流会」。入会条件は2浪以上で、現在は約80人が所属している。最長浪人期間は医学部に在籍する12浪の男子学生という。とはいえ、肩身が狭く、ひっそりと隠れるように過ごす人たちの集まりかといえば、そんなことは全くない。

 活動の一つが体験記「多浪たちのメッセージ 東大多浪 不合格の裏側」の発行だ。メンバーらが浪人時代を赤裸々につづったもので、新型コロナウイルスの感染拡大前は学園祭で毎年1000部以上を売り上げるほどの人気を集めてきた。一般向けの書籍としても今年2月に「多浪で東大に合格してわかった本当にやるべき勉強法」(KADOKAWA)を刊行。合格の決め手や生活リズムの作り方、受かる勉強と落ちる勉強の違いなどを実体験に基づいて紹介している。さらに公式ツイッター(アカウント名は「@uT_ARO」)でも浪人生らの疑問や質問にユーモアも交えながら答えており、実に幅広く情報発信しているのだ。

 では実際のところ、メンバーたちはどのような浪人生活を送ったのだろうか。

気づいた家族のありがたみ

 2浪して入学した…

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