おんな城主直虎の終了から改めて見える、大河ドラマの女性を無理押しした等の駄作化と日本の政治劣化との関係性(前編)
一回おんな城主直虎最終回感想として今週19日に公開しましたが、長くなりすぎてしまったので、人には人それぞれの価値観があり、それは他人が一々どうこう言う事では無い事を頭で分かっていながら、何故私は同作を高評価する声に違和感を覚えているのか?ハッキリした理由が分かってきたけど、その続きである新たなエントリーとして公開します。
何故かこの国は政治と野球が似ている(しかし、安倍総理はアンチ巨人のヤクルトファンであると公言し、参議院議員だった堀内恒夫氏の前でも「堀内さんには悪いですが・・・・・」と前置きした上でネタにした事もあったという)のですが、特に昭和末期以降は政治と大河ドラマも似ている様に私からは見えます。どの様に似ているのか、年譜形式で以下述べます。
1986年「いのち」・・・・・三田佳子氏が主演の、現代を舞台とした医者を目指す女性の話。衆参同日選挙は自民の圧勝で中曽根康弘総理が総裁任期1年延長を勝ち取ったが、土井たか子氏が社会党委員長に。
1989年「春日局」・・・・・大原麗子氏主演、平均視聴率32.4%。前年の1988年には集英社の伝記漫画にも取り上げられる。リクルート事件もあって、参議院選挙は自民が大きく単独過半数割れ、社会党は総議席数は自民の3分の2だったが、改選数限定では第一党であり躍進、マドンナブーム起きる。宇野政権が女性スキャンダルで短命に終わった後の海部政権で初の女性官房長官が誕生。
1991年「太平記」・・・・・真田広之氏主演、戦前は逆賊認定されていた足利尊氏を主人公として南北朝動乱を描いた初めての作品。放送開始直後にバブル崩壊して、特に終盤は南朝の息の根を止めかけた筈が観応の擾乱で動乱が長引いてしまったが、世界でも湾岸戦争が勃発中で、世界平和への貢献のあり方に一石を投じる。小沢面接も見られ、年末にはソ連も崩壊する等混沌とした世の中に。
1992年「信長 キングオブジパング」・・・・・緒方直人氏主演。ミョーに当時流行のトレンディドラマを意識した様な配役が見られて、正直失礼ながら特に明智光秀は「何でマイケル富岡なの?」で、ルイス・フロイスを狂言回しにしたり、平幹二朗氏等ベテラン陣の好演等評価点もあったが、個人的には大河の駄作化・低俗化のきっかけとなった作品だと思います。バブル崩壊後初めて放送された大河ドラマでもあったけど、リクルート事件からまだ数年しか経っていなかったのに東京佐川急便事件でキングメーカー金丸信副総裁が失脚、長く政界を支配してきた田中~竹下派が分裂し始める。信長に味方した細川藤孝の子孫でもある護熙氏が代表の日本新党が結党されたが、この時あの小池百合子氏も国政デビュー。(当時は参議院議員)
1993年「琉球の風」・「炎立つ」・・・・・前者は東山紀之氏、後者は渡辺謙・村上弘明両氏が主演。それぞれ安土桃山末期~江戸初期の琉球(沖縄)、平安後期の東北地方を舞台として、太平記同様これまでの大河ではあまり取り上げられなかった題材だったが、視聴率は振るわず。(それでも直虎よりは高かったが)衆議院総選挙直前に前者から後者にバトンタッチ(後者初放送日はその公示日と重なってしまった)されるが、自民・竹下派の分裂や新党ブーム等により総選挙では自民は第一党は保つが、過半数を大きく割り、結党以来初の野党転落、非自民・非共産連立政権成立で55年体制が終焉、小池氏は衆議院に鞍替えし、友人の野田聖子氏や直後父が死去した田中真紀子氏もこの選挙で国政デビューを果たす。
1994年「炎立つ」・「花の乱」・・・・・・後者はいのち同様三田氏が主演で、平安遷都1200年を記念して、狭義の室町時代を描いたが、荒唐無稽な脚本等が微妙で20年近く視聴率ワースト記録を保持。前年成立した非自民・非共産連立政権も所詮は寄せ集めで、細川氏は女性の活躍も前面に押し出した薄っぺらい人気取りもしていたが、結局まとめきれず、祖父同様途中で投げ出してしまった。花の乱放送開始直後に羽田政権が成立したが、野党根性が抜け切れていなかった社会党が連立離脱して、少数与党に。日本国憲法下ではやはり存続日数ワーストの短期政権に終わり、自民がまさかの(?)社会党・新党さきがけと組んだ連立政権で与党に復帰(政権交代の立役者だった小沢一郎氏は政治家人生で初の野党立場となる)、田中氏もまだ議員1期生だったくせに早くも閣僚入りを果たす。
1995年「八代将軍吉宗」・・・・・・前3作が題材マイナーで不発に終わりましたが、今度は独眼竜政宗等を大ヒットさせたジェームズ三木氏脚本、山河燃ゆや翔ぶが如くでも主演した西田敏行氏の実績は十分なコンビで徳川吉宗という扱いやすい題材で勝負、若い頃から何度も大河の方にも出演されている松平健氏の暴れん坊将軍との差別化もしっかり出来ていたのは流石と言った所か。自社さ連立政権も、田中氏は8月の内閣改造で閣僚から外れたが、通商産業大臣として入閣していた橋龍が田中~竹下~小渕派では6年ぶりの自民総裁にも就任し、副総理も前任者で外務大臣も兼任していた河野洋平氏から譲られた。参議院選挙でも社会・さきがけと合わせて過半数となる。
1996年「秀吉」・・・・・・モビットのCMや軍師官兵衛でも演じた等竹中直人氏代表作の一つ。この年以降2019年のいだてんまで24作中19作が幕末・明治または戦国が時代設定の作品となるが、放送開始4日後の1月11日にはついに橋龍が総理に就任し、本格的に自民が政権与党に復帰、民間から長尾立子氏も法務大臣に起用し、10月の総選挙でも政界の光秀(この秀吉では彼とのライバル関係も強調して描かれていた。民主の鳩山ルーピーは柴田勝家か?)でもあった小沢氏率いる新進党の攻勢も交わし、単独過半数はならなかったが、社会民主(社会から改称)・さきがけと合わせた過半数は維持した。しかし、秀吉でも晩年の悪い面は描かれなかったが、村山政権下では既に消費増税が既定路線となっていた。秀吉以降視聴率が30%超えた大河は無いが、日本の経済成長率もこの年以降3%を超えたのは2010年だけである。
1998年「徳川慶喜」・・・・・・翔ぶが如く以来の司馬遼太郎原作(この時点で既に故人)で、ナレーションにも前述の春日局で主演を務めた大原氏を起用したが、視聴率は伸び悩む。(それでも20%は超えていた)放送開始時はまだ橋本政権が続いていて、社民・さきがけとの閣外協力を解消、政権基盤が強化されたかと思いきや、消費増税が響いて参議院選挙で敗北、「凡人」小渕恵三氏にバトンタッチし、当選まだ2回に過ぎなかった野田氏を郵政大臣に起用するも小渕氏も慶喜同様ネガティブなイメージが強く、不人気でアメリカのマスコミには「冷めたピザ」なんて酷評されてしまった。なお、側近だった額賀福志郎氏も防衛庁長官として入閣しながらも途中辞任を余儀なくされたが、額賀氏のHPでは主演を務めたモッくんとの2ショット姿も公開されています。また、額賀氏が途中辞任した頃にはあの江沢民国家主席が訪日して、天皇陛下にも執拗に謝罪を要求したが、慶喜が江戸城開城等戦わない道を選んだ様に小渕氏もそうした要求を拒否していずれも不人気なりにも日本の為に働いてくれました。慶喜が最後の徳川幕府将軍なのは周知の通りだけど、小渕氏も・・・・・・・・・・
1999年「元禄繚乱」・・・・・・日本人に大人気な忠臣蔵が題材だったが、仇討の動機や悪役ではなかった吉良吉央等今までとは違った解釈で平均視聴率も20%はクリア。最近も愛していたって、秘密はあるでも福士蒼汰氏の母親役で出演されていた鈴木保奈美氏は本作以降一時芸能活動を中断するも、小渕第一次改造内閣でも留任していた野田氏も後述する小泉劇場もあってしばらく閣僚から外れた。その改造内閣自体、元禄繚乱の解釈同様今までとは違っていた。そう、新進党が解党となってしまったけど、小沢氏の自由党、そして公明党との自自公連立政権を成立させたのである。これで重要法案を次々と成立させて、景気もやや回復した。
2000年「蒼徳川三代」・・・・・・前半は1983年の徳川家康では描き切れなかった関ケ原等家康による完全な天下制覇を成し遂げるまでの覇業、後半は家康亡き後、家光が独り立ちするまでの政治劇を描く。最後の本格的な大河ドラマかもしれないが、放送途中の4月には小渕氏が脳梗塞に倒れる。家康の覇業が秀忠・家光に引き継がれた様に、五人組とか選出の不透明さは強い非難を受けたが、森喜朗氏も小渕氏を引き継ぎ、閣僚も全員留任となった。葵徳川が豪華にベテラン俳優陣を多数そろえた様に、森政権も後半はあの橋龍も入閣して、宮澤・河野両氏と合わせて閣僚に総理または総裁経験者が3人もいる超重量布陣内閣となった。それだけに政策自体は概ねマトモだったし、森氏の度重なる舌禍やえひめ丸事件の対応の拙さには「もっとしっかりしろよ。」だったけど・・・・・・・・・・・・・・・・・既に橋龍内閣時の1997年には日本会議も設立されて、国歌・国旗法も成立する等やや保守化の動きは見られたが、森政権以降自民は右傾化が顕著となっていく。またまた長くなってしまったので続きは別稿にて・・・・・・・・・・
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