第34話 凍道チャンネル「祟神機関八咫烏スペシャル⑨」

「で、次の三大怨霊。これは多分ゲームとかでもよく登場するし、名前は知ってる人も多いんじゃないかな?平将門。メガテンとかでおなじみだね。でもあんまり、ちゃんと何をした人なのか知ってる人って少ないんじゃない?」


『まさかどこーなのだ』『何した人?』『魔人・加藤保憲が復活させようとした怨霊のだ』


「おっ映画オタクおるな。帝都大戦じゃなくて帝都物語の設定とは。続編の帝都大戦だと平将門公の末裔が魔人加藤を倒す側にいるんだけど、ってネタバレか。平将門の末裔は厳密にはいないような気もするけどね?だって将門討伐のあと、近親者が皆殺しにされてるよ、朝廷の命令で。さて、では問題です。将門公はどんな祟りを引き起こしたでしょうか?」


『知らないのだ』『なんか関東で反乱を起こした人』『平将門の乱起こした人』『なんか首塚を壊すと人が死んだんだっけ?』『承平天慶の乱』


「首塚や承平天慶の乱は正解!と言いたいんだけど外れだね。だって首塚は、怨霊をしずめるためのものだし、首塚の祟りって近代に首塚を壊したときのものでしょ。将門について歴史の授業でならったのを覚えてる人だと平将門の乱、関東地方で反乱を起こし平定されたって感じだろうね。詳しい人だと藤原純友の乱とあわせて、承平天慶の乱。正解は「祟りは当時は何も起こしていない」だよ。せいぜい、将門公の首を京で晒したら、首が関東まで飛んでいって落ちた、落ちた場所に首塚を作った、というくらい。特に誰も病気や事故で死んだりしてない。むしろ、平将門を討伐した藤原秀郷、別名俵藤太は百足討伐や竜神との逸話など、”太平記や御伽草子といった室町の書”では英雄として逸話が足されているくらいさ。太平記というと後醍醐天皇が関与してるとしか思えないあれね。なんで太平記にもでてくるかは後で説明するとして、将門公は本当に日本で三本の指に入る怨霊だというのなら、せめて藤原秀郷に祟るくらいはしないといけないんじゃないかい?」


『三本は無理なのだアッー』『でた太平記』『そういえば祟りって思い浮かばないね。なんか』


「というわけで具体的な祟りについてみていこう。まず、平治物語において、獄門(さらし首)にされた将門の首のまえで短歌を詠んだら、しいと笑ったという描写がある。ちなみに将門公は日本で最初にさらし首にされた人だよ。一族皆殺しといい、どれだけ朝廷から恨まれてたのかね」


『初代ゆっくりは将門公だったのかのだ』『ゆっくりしていってね!!』


「次に太平記をみてみると、朝敵のところに記述がある。呪術を使って矢や刀を弾く魔王将門の眉間を、神の加護を得た俵藤太が打ち抜き首をはねた。しかし、その後三ヶ月にわたり、目を閉じず、夜な夜な唸り声を出し、人々を恐れさせたが、その首に向かって和歌を詠むと、しいと笑い、目を閉じて声をださない普通の首になったそうだよ。つまり、平将門公っていうのは、首だけで笑ったり飛んだりしただけの人なんだよ。どこが怨霊だろうか?むしろ、日本で始めてさらし首や一族郎党皆殺しという概念を作った朝廷こそが残虐ではないだろうか?俺の知る限りは、これより前に一族郎党皆殺しっていう話は聞かないからね。それだけ、朝廷は平将門公だけを憎んだ」


『だんだん肉付けされていってるのだ』『こ!これは!ゆっくりしていってね!しっているのか雷電!うむ、古来日本において平将門公がさらし首にされた際に「ゆっくり「しい」て言ってね」と唱えたことから、生首が喋るときはゆっくりしいていってね、それがなまってゆっくりしていってねとなったのだ 民明書房 東方太平記より』


「東方太平記ww まあ、将門公の悪いことって「新皇」を名乗ったこと、これに尽きるんだよね。だって同じ時代でいっても藤原純友とセットで承平天慶の乱、つまり藤原純友も反乱をおこしてるわけだ。日本で有名な反乱というと、天草四郎時貞の天草の乱とか、西郷隆盛の西南戦争とか。歴史の転換点という意味では壬申の乱や応仁の乱があるわけで。平将門公なんて、関東で悪政が行われ、民衆が困ってるから立った義侠の人としての信仰まであるのに、最大最強の怨霊にされている。天皇という、唯一無二の権威を汚したことは、けっして許されざることだったんだよ。おそらく、首塚まで首が飛んでいったという逸話や、首が笑ったという逸話は、「朝廷の権威を守るために暗躍する朝廷の工作機関八咫烏」による工作の結果だと思う。実際に、将門公の首のあたりで夜中にモノマネで唸り声をあげたり、夜中にうなっていたという噂を流したりしたあと、首を関東まで運び、将門公の顔を知る人の家の前にでもおいておいたんじゃないかな。そうすると、何故ここに将門公の首があるんだ、とざわつくだろう。そこで、飛んできたんだと噂を流せばみんな信じる。わざわざ生首を運んで関東に捨てて、怨霊伝説をなすりつけようとする組織があるだなんて、当時の人達は想像もつかないだろうからね。祟りがないなら祟りを作った、それが首が飛んだ逸話。それこそ、首だけが飛んだというのは、首だけなら運びやすいというのもあったのかもしれないよ」


『たしかに、祟りのエピソードが弱いし人間が工作できることではある』『八咫烏は厨二病すぎるのだ、そこがなければ一応あり得るかもって思えるのに』『最初のさらし首は、死体を関東まで運べるよう軽くするため・・・さらし首トリックか』


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