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元気ですか〜?(ハイライトオフ)

その頃、リディアとアレンは───


「うぅ…、人前に出ることなんて無かったから凄く緊張する……」


 リディア自身、あまり人前に出た経験は一度もなく、それどころかあまり外の人間と話すことすらない。

 そして、いきなりスピーチをしろと命じられた時の驚きは人生で一ニを争うかもしれない。


「はぁ……私は緊張より苛立ちが強いわ。なんでこんなことをやらないといけないのよ……生徒会って嫌いだわ」


 アレンは生徒会に対する愚痴と共にため息をこぼす


「まあね……私もあまり好きになれないかも……」


「絶対に勧誘されても承諾はやめましょう。ああいう人間と付き合ってたら疲れるだけよ」


 ああいう人間とは生徒会長のアイザックのことだろう。


「だろうね」


 その時、司会の講師の声が響いた


「それでは、新入生代表のリディア・グレイスさんとアレン・エイムズさんのスピーチに移ります」


「ひぇっ!? は、はいぃぃ!!」


 素っ頓狂な返事が入学式の会場に大きく響く

 壇上の下の新入生達のクスクスと笑い声が聞こえた


 (は、恥ずかしい……)


「リディア・グレイスさん? どうかしましたか?」


「ああ! いえいえ、なんでもありません!!」


 アレンはリディアの様子にため息をこぼす


「緊張しすぎよ。別に失敗しても死ぬ訳じゃないんだから」


「で、でも……」


「それでもやるのよ。あのダボ女に指示されたなら。私だってここ見えて緊張してない訳じゃないんだから」


 あれから彼女はアイザックのことを裏で『ダボ女』と呼んでいる。

 相当腹が立っているのだろう


「うん…わかったよぅ…」


 何度か息を整え、壇上に上がる


 (ひいっ、やっぱり無理かも!!)


 何百もの視線が集中し、まるで釘を体全体に打ち付けられたような感覚が襲う

 それでも勇気を振り絞り、原稿に目を向ける


「こ、ここここんにちは〜、おはよよよよううごごござざいいますすすおはここここんばんにちは〜。あは♡ あはははははははは」


 まるで壊れた機械のような口調に加え、口角が限界まで吊り上がり、目に光を失った顔を浮かべている


 ──シーン……


 会場は静まり返った。

 いや、静まり返るしかないのだ


 壇上のリディアは人間ではない表情を浮かべ、壊れたラジオのようだ


 その様子をアイザックは腕を組みながらじっと見ていた


「…」


 アレンは隣でその様子を見ながら、深いため息をついた。


 (これはダメね。そろそろ限界ね)


「もういいわ。交代よ」


 横の『壊れたラジオ』を優しくどかし、交代する


「新入生代表のアレン・エイムズです。緊張しすぎて壊れかけている彼女は、リディア・グレイス。どうか暖かい目で見てあげてください」


 ペコリと頭を下げると、会場から微妙な笑いが漏れる。


「私達は今日からこの学舎で新たな生活を始めます。右も左も分からないことだらけですが───」


 淡々とスピーチをする様子を見て、リディアは感心する


 (あんなに見られているのに動揺もしないなんて凄いな……なんだか申し訳ない……)


 その後、問題無くスピーチは終えた


  「──というわけで、新入生の皆さん、これからの学園生活を楽しみましょう」


 軽く会釈をすると、会場からは拍手が巻き起こる。


 (なんとか終わった……)


 壇上を降りる途中で、アレンは小声で呟く。


 「……まあ、よく頑張ったわね」


 リディアは涙目になりながら、こくこくと頷いた。


 ─────

 その頃、メリッサは───


 (どうしていきたいか、ね……)


 廊下を歩きながら、先ほど学園長に言われたことを思い出す


『君はどうしていきたい?』


 その言葉がずっと心に残っていた


 (でもまあ、それをこの学園で見つけられたらいいな……)


 メリッサは足を止め、息を吐く


 目の前の窓に広がるのは広大な学園の景色。時計塔や別の校舎、青々とした中庭


「……」


 そして、窓に反射する自分の姿───


 教師になって初めてわかったことがある


 『自分は生徒に何を教えられるのか?』


 これだった


 学園長の言葉は簡単なようでとても難しい、だが──


 (ここなら見つけられるかもしれない…!)


 そう思うと、少し足が軽くなった


 メリッサは再び歩き出す。


 (……とりあえず、今は目の前のことをやるしかないよね)


 教師として、この学園でできることを一つずつ積み重ねていこう。

 その先に、自分の答えが見つかるかもしれないから。

ふぅ……(賢者タイム)


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