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順位発表と勧誘

アテナ魔術学園の教員達は実技試験の件を議題に会議を開いていた


「リディア・グレイス…あの七大魔女最強のセリア・グレイスの妹だとな…」


 リディアの資料とアレンの資料を見つめる


「グレイス家の落ちこぼれと聞きましたが、あのようなものを見せられて落ちこぼれとは言えません。まさか身体能力のみで試験を突破するとは…」


「それにもう一人…アレン・エイムズ。一般家庭の生まれ。そして9歳で特殊魔術を発現させた若き天才で卓越した剣術…今年は規格外の若者が二人も出てきた」


「どうしましょう…後日の順位発表の際にどちらを一位にするか…」


 ――――――

 そして試験からしばらく経ち、順位発表の日が訪れた。リディアとメリッサは一緒に来ていた


「先生、ありました!」


「お〜、ホントだ…あれ?」


 順位表を見てみると、一番上にはリディアの名前がある。だが、その横にアレンの名前があったのだ


「これは…同率一位ってことかな?」


「そうですね…正直私はあまり自信がなかったのですが、まさか同率とは思いませんでした…」


 安堵した表情を浮かべる。アレンに越されたのかと思ったのだろう。


「でもよかったね! 二位よりはずっと良いよ」


「はい、ちょっと安心しました…ん? あれは…アレン?」


 周りを見渡すと、遠くでアレンの姿があった。彼女の表情は嬉しさのあるものではなく、寧ろ悔しそうなものだった。


「先生。なんだかアレン、悔しそうな顔をしてますね…」


「う〜ん、同率だったことに満足してないんだろうね。あの子ははっきりさせないと気が済まない性格なのかな?」


「そうでしょうね…私、ちょっと行ってきます」


「うん、行ってらっしゃい」


 リディアはアレンの方に駆け寄る。


「はぁ…はぁ…アレン!」


 その声に気づいた彼女は、声のした方に振り返る。


「ああ、あなたはあの時のリディアさん?」


「そうだよ。順位表は見た?」


「ええ、見たわ。急で悪いのだけど、あなたはこの結果をどう思うの?」


 そう言うと順位表に指をさした。


「え?」


 唐突な質問にリディアは首を傾げる。


「う〜ん…一位で嬉しいな〜って…」


「そう…私は満足してないわ。寧ろ何故あなたと同じなのって思うの」


「え…そうなの?」


「ええ。私は入学試験で一位を取るために受けたんじゃない。この学園で強くなるために受けたの。これで満足していたら、強くなれない」


「確かに…」


 彼女の言葉はどこか説得力を感じる


「若き天才なんて言われているけど、私は元々天才なんかじゃないし、ただのそこらの凡人と一緒よ。あの剣術もただ努力を積み重ねた結果」


 アレンはマメができた手を強く握る


「そういうことだから。次はあなたを一位の座から引き摺り下ろしてやるわ。私はどこまでも上をいく。たとえあなたが相手でもね」


 その言葉はリディアの胸に強く響かせ、彼女の決意の強さを思い知らされた。


 (そうだ…私も頑張らなきゃ…一位で満足しちゃいけない。やっぱり説得力が違うな…)


「うん…! 私も負けない。その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ!よろしくね!」


 手を差し出すと、アレンは少し戸惑いながらも握手を交わす


「…よろしく」


 ため息をつき、そっけなく返事した


「君達もう仲良くなってるね〜」


 するとメリッサが横から入る


「先生、良いライバルができました!」


「おー、それは良いことだよ! これからも精進するようにね!」


「…すみません。あなたがリディアさんの先生ですか?」


「そうだよ? メリッ…じゃなくてエリィ・アウェルだよ!」


「メリ?」


「ち、ちょっと噛んじゃっただけだよ!」


「そ、そうですか…」


 アレンは「メリって何かしら…?」と呟くが、気にしないことにした

 

「キャー!! アイザック会長よ!!」


「フェンリス副会長もいるわ!!」


 突然黄色い声が三人の鼓膜を突き刺す


 振り返ると、二人の容姿端麗な男女がこちらに歩み寄るのが見える。もう一人はエルフの耳を持っている


「リディア・グレイスとアレン・エイムズかな?」


「は、はあ…リディア・グレイスです…」


「アレン・エイムズです」


「突然ごめんなさいね。私の名前はアイザック・リストン。こちらのエルフは副会長のフェンリス・エルトーナ」


 深くお辞儀をする姿はまるで一輪の花のように美しい


「こちらの方は?」


「エリィ・アウェルだよ〜。リディアの先生で〜す」


 ピースをしながら答える


「すごい軽い方ですね…」


「会長、こんな軽薄な人間と話すのは時間の無駄です。早く事を済ませましょう」


「エルフさん!? ちょっと傷ついたんだけど!?」


「会長の前で失礼だぞ。この無礼者が」


「いや一番の無礼者は君だよ!?」


「フェンリス、流石に失礼よ。無礼だって言っておきながらあなたがよっぽど無礼者よ?」


 アイザックはなんとかメリッサをフォローするが、フェンリスは納得がいかず反論する


「しかし会長!この女は――」


「謝りなさい、さもないと副会長の座を降りてもらいます」


 ピシャリと言い放ったその言葉と彼女の表情は、彼を驚かせた。滅多に怒ることはない会長が冷たい表情を浮かべている。それは彼だけではなく、周囲の生徒達も静まりかえる


「ぐっ…!」


 フェンリスは苦虫を噛み潰したような顔をする。しばらく沈黙が続いた後、彼は深く頭を下げる


「先ほどは無礼な態度をとってしまったことを、深くお詫び致します…」


「大丈夫大丈夫、そんなに気にしてないよ」


「私からも謝らせてください。無礼な言動や態度をお許しください。彼にはしっかりと言っておきますので」


「うんうん、わかってるよー」


 メリッサは手をヒラヒラと振り、全く気にしてない様子を見せる


 (この女…何者だ?)


 彼にはメリッサの行動に、何かを感じていた


 (完全には言い切れないが、まるで修羅場を潜り抜けてきたような…)


「フェンリス…?」


 だが、その推測もアイザックの低い声で中断される


「は、はい!?」


「少し…『お話』しましょうか♬」


 その笑顔は永久凍土のように冷たく、目が笑っていない


「か、会長…?」


「大丈夫、すぐ終わるわ。ただあなたには理解してもらいたいことがあるの」


「り、理解…?」


「そう。あなたには副会長としての礼儀をわかってもらいたいの」


「……」


 青くなった表情のまま、正座させられている。彼女はため息をつく


「忠誠心が強いのは確かに良いことよ?でもそれが強すぎたら他人の気持ちを害することがあるの。一番傷つくのはこの私よ」


「はい…ごもっともです」


「それができないなら、また別の人を探さないといけないわね…?」


 フェンリスの方をチラリと見る


「…っ!」


「あなたの代わりはいくらでもいるのよ?嫌なら私の指示に従い、今すぐに態度を改めなさい。いいわね?」


 代わりはいくらでもいる…その言葉に彼は顔を青ざめる。


「はい、申し訳ありませんでした…」


 そう言って土下座をした後、アイザックはメリッサの方に振り返る


「お見苦しい所を見せてしまい、大変失礼しました」


 再び彼女は頭を下げた


「もうわかったって〜。私は気にしてないよ」


「それならいいのですけど…」


 アイザックはフェンリスの方を見てため息をつく


「フェンリス、これからは人との関わり方を知りなさい。次はありませんからね」


「…肝に銘じておきます」


「それでは、私はこれで…あ、忘れてたわ」


 リディアとアレンの方に歩み寄る


「リディアさんとアレンさんは、生徒会に興味はない?」


 二人は顔を見合わせる。そして即答で


「「お断りします」」


「即答!?」


「いや…私、事務作業とか苦手で…」


「そこはちゃんと教えてあげるわよ!?」


「う〜ん、でも…」


「私は少しでも実力を磨きたいのでお断りさせていただきます」


 リディアが戸惑う中、アレンはキッパリと断る


「そ、そう…?」


 アイザックは少し肩を落とすが、気を取り直して優雅に微笑んだ


「まあ、無理強いはしないわ。気が向いたら、生徒会室にきてください」


「はい、その時は…」


 リディアは愛想笑いをするが、アレンは興味無さそうに視線を逸らしている


「フェンリス、そろそろ行くわよ」


「はっ、会長!」


 フェンリスはアイザックの後ろに立ち、メリッサを一瞥する。


「貴様にはまだ納得がいかんが……会長の言葉には従う」


「はいはい、素直でよろしい」


 メリッサはニヤリと笑い、フェンリスは不機嫌そうに目を細めた。


「なんだかすごい人に絡まれちゃったね…アレン」


「全くだわ。無駄な雑務を長々とやるより、鍛錬に注いだ方がよっぽどマシよ」


「まあ、そうかもね…」


 ――――――

「リディア・グレイスさんとアレン・エイムズさんね…」


 生徒会室に戻ったアイザックとフェンリスは資料を見ていた


「リディアさんは七大魔女最強のセリア・グレイスの妹…アレンさんは9歳で特殊魔術を発現させた若き天才…」


「あのセリア・グレイスの妹ですって…!?」


 フェンリスの方をチラリと見る


「ええ、そうよ。セリアさんは七大魔女のリーダー的な存在…資料を見た時は目を疑ったわ」


「アレンさんも大した人ね…一般家庭の生まれでありながら、特殊魔術を最年少で発現させた天才よ?」


「バランスブレイカーのような二人ですね…」


 フェンリスは冷や汗をかく


「ふふ…今年は楽しみね」


 アイザックは微笑みながら椅子に座り、静かに目を閉じた


 ――――――

 学園の門前にて


「いや〜、まさか生徒会に絡まれるなんてね〜」


「めんどくさいことになりそうです、先生…」


「……」


 アレンは何故か黙ったまま、メリッサを見ていた


「アレン?どうしたの?」


 リディアが声をかけると、口を開く


「エリィ・アウェル先生…でしたっけ?」


「うん、そうだけど…?」

 


「一度私と手合わせしてもらえませんか?」



「へ…?」


 アレンから突然の宣戦布告を告げられた

はい、大変長らくお待たせしました。ついに次回、メリッサの私TUEEE!!します

他の七大魔女も登場させたい…!(今の所主に出てるのは二人だけ)

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