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ラブホテルで働く“ギャル女子大生”が泣きわめく事態に…フロントで遭遇してしまった“まさかの人物”とは

休憩室に居続けて、なぜか更衣室に行きたがらない

「5400円です……」 そう言って部屋代を受け取って鍵を渡した後、彼女はその場に突っ伏してしまった。どうしたのか聞くと、いち早く早退したいとのこと。さっきまであんなに元気そうだったのに。早退や欠勤した従業員を社長直々に叱りに来る嫌な文化があったため、ひとまず休憩室で休ませて様子を見ることにした。 結局仕事終わりの18時まで彼女はフロント業務をこなすことなく、休憩室で横になっていた。早退したがっていたくせに、何故か屋上にある更衣室にも行きたがらない。でも、その日は男だけが出勤していて誰も荷物をとってくることができないので、僕が彼女を半ば引きずるように更衣室に連れて行こうとした。 すると「お母さんが私にお金を渡して知らない人と部屋に入っていったんです……」と言うなり泣き出してしまった。なるほど、母親の不倫現場を見てしまったわけだ。更衣室には客室フロアを通っていかなければいけないから、今の時間では母親と鉢合わせる可能性があって休憩室から出られないのだろう。

知り合いに遭遇することは数あれど…

「お母さんは不倫なんかする人じゃなくて!!!」と叫び、泣きわめく彼女の背中をさすりながら話を聞いた。母親が料理上手な優しい人であること、父親とはいつも仲が良く言い合いすらしていたのを見たことがないこと、母親との思い出などをひとしきり聞き終わったころ、彼女の母親が若い男とフロントに鍵を返しにきた。その姿を見て、確かにそこにいたのは母親なのだと確信した彼女は、また一時間ほど泣き、背中を丸めて家に帰っていった。 聞く限り円満な家庭だったのだろうし、知らなくてもいいことを知ってしまった地獄のような苦しみは生涯彼女を傷つけ続けることだろう。 実際のところ、知り合いに遭遇してしまうスタッフは少なくないし、これまでに何人もいた。大学の同級生が入っていったとか、よく飲み屋で一緒になるおじさんが嬢と部屋から出てきたとか、従業員の間で時々話題にあがる話のネタだ。僕自身もダブルワークで働いていたコンビニの客をしょっちゅうフロントから眺めていたぐらいだ。だが、ラブホに肉親が知らない異性を連れて来たという従業員は今までいなかったし、この出来事以降も現れなかった。
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不倫する母を直視した衝撃は、とてつもなく…
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小説家を夢見た結果、ライターになってしまった零細個人事業主。小説よりルポやエッセイが得意。年に数回誰かが壊滅的な不幸に見舞われる瞬間に遭遇し、自身も実家が全焼したり会社が倒産したりと災難多数。不幸を不幸のまま終わらせないために文章を書いています。X:@Nulls48807788
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