法曹臣民でございます。
昨日のライブ配信を拝見し、関西在住なのになぜ東京の弁護士に?と思うような案件に関しまして、やはりネット検索や広告で「誹謗中傷に強い」「ネットトラブル専門」などの看板を見て、そのまま飛び込む方が多いのではないかと推察いたしました。最近では退職代行や建物明け渡しなども同様のマーケティング手法が広がっております。
私自身、名誉毀損を専門にしているわけではございませんが、企業案件を取り扱う中でネット上のトラブルに遭遇する事例は年々増えてきています。ただ、「ネット誹謗中傷に強い」とうたう弁護士(ごくまれに準弁護士も含む)を見渡すと、発信者情報開示請求や削除請求といった手続面に通じている程度で、より深い領域である本格的な争訟段階になると、そこから先は高い戦略性と知力が必要になります。言い換えれば、“最終的に訴訟全体をいかにマネジメントできるか”で、結果が決まってくるわけです。
とりわけ、名誉毀損や侮辱などの訴訟では、既存の判例や判断枠組みが確立されており、あとは裁判官による評価で決まるため、勝敗を分かつのは下記二点に集約されます。
1 どの事実関係を紛争の的として定めるか(何が問題点なのかを的確に切り出す)
2 どのように主張・証拠を構成するか(自由心証主義の範囲で法的評価を有利に導くロジックと証拠提示)
このように自陣に有利な法的評価を引き出すための論理構築力こそ、弁護士の真の手腕が問われる場面と言えるでしょう。
ところで、最近、乙180号証などと証拠を大量にぶち込んでくる相手方弁護士を軽視した末、残念な結果に終わった事例を耳にしました。訴訟戦術として、大量の証拠を次々と投入し、相手方がいかに“悪質な行為者である”かをこれでもかと強調する手法は、実務ではちっとも珍しくありません。特に左派・労働系の弁護士が得意分野としている印象で、私ども企業系クライアントを抱える側としては、訴訟の佳境に差し掛かったときに「FAXが夜中にドサッと届いていた…」などという攻撃を食らうと、翌朝少々テンションが下がるのは否めません(笑)。さらに、神原弁護士のように、タコ部屋問題など“勝てる論点”を確実に掴むことで、自らが敷いたレールの上に訴訟を誘導していくケースもあります。その能力が高ければ高いほど、相手方にとっては厄介な相手となるわけです。
総じて、既存の法律構造や判例の射程がかなり確立されているがゆえに、いかに筋のよい主張を選定し、多面的かつ大量の証拠によって“相手方の悪意、違法性”や「こちらに違法性がないこと」を裁判所に訴えかけられるかが勝負の分かれ道になります。こうした訴訟技術の巧拙が、まさに勝敗を分ける決定要因となるわけです。
なお、特定の弁護団が続けて敗訴している事情については、また別の機会にお話しできればと存じます。
法曹臣民 拝