公認会計士論文式試験に於ける武蔵理論の類推適用可能性-「訓ゲチ式」Googleスプレッドシートを活用した非人道的勉強法
Interviewer:「狙撃の秘訣は?」
Simo Häyhä:「習熟だ。」
注) 本記事は12月短答合格者あるいは論文過年度生が令和7年度公認会計士試験・論文式試験において「全科目」で「科目合格レヴェル(偏差値56以上)」の成績を「確実に」叩き出すための「非人道的」方法論をまとめたものであるため、時間的に制約のある5月短答合格者や、合否ギリギリのスリルを味わいたいというバグった効用関数をお持ちのリスク愛好的受験生の方々においては、いいねリツイート後にブラウザをそっ閉じすることを推奨する。また、筆者の本試験成績、開示答案については下記の記事を参照されたい。
零:はじめに
〜🎵(けたたましく鳴り響く起床ラッパの音)
お早う諸君。帝国勅許計理士・監査審査会第3師団団長、訓練されたゲチ🟰ピエロこと訓ゲチだ。この度令和7年度公認会計士試験・第1回短答式試験を突破し、新しく入団したrookieの諸君、ひとまずcongratulationsだ。血で血を洗うような、非常に厳しい戦いであったかと思う。
戦場は良い。射撃練習では味わったことのない武者震い、鼻腔を満たす砂塵と血の匂い、サイレンサー越しに耳朶を打つ乾いた銃声、数分前まで談笑していたはずの上官や戦友の死。その経験の全てがお前らを強くする。鏡を見てみるが良い。半年前とは面構えが全く違う、精悍な顔付きをした1人の「兵」がそこにはいるはずだ。
一方、先の令和6年度公認会計士論文式試験の戦禍で深い傷を負い、来年こそはと再起を誓ったveteranの諸君。ファイティングポーズを崩さない限りお前らはまだ負けていない。そもそも合格が1年遅れたから何だというのか。「こちとら精神は3年遅れだし1年くらいは瑣末事」のメンタリティで一笑に付して毎日ガシガシ(某川穂高?)臥薪嘗胆、来年こそは必ずや合格の栄華を手中たらしめろ。
さて、この度集まってもらったのは他でもない、第3師団伝統の「新兵訓練」を貴様らヒヨッ子共に施すにあたって、その心構えを伝授するためである。脅すつもりはないが第3師団の新兵訓練は毎年過酷を極め、遵法精神とは無縁の非人道的とも言えるスケジュールの下で実行される。生半可な覚悟で臨んだが故に再起不能の廃人状態となった者も後を絶たない。これだけは覚えておけ。戦場では誰もお前を助けてはくれない。強いて言うならばお前が勝手に助かるだけだ。新兵訓練に於いては日々の鍛錬を惜しんだテイカー気質のマゾヘコ野郎から淘汰されていくということをゆめゆめ忘れるな。覚悟はいいか野郎共、返事はYesかYes, sirだ。せいぜい注意事項を聞き漏らさないようにケツの穴をかっぽじってよく聞いておけ(普通に汚い)。
壱:「まず、武蔵理論とは…何か(ネットリ」
各科目の具体的な学習方法に移る前に、「訓ゲチ式」基本理念の根幹をなす武蔵理論(Acme,2021)について解説せねばならないが、紙幅の都合上、詳細な内容は各自Acmeの論文「予備試験最強戦術『武蔵理論』」を参照して頂くこととして、ここでは端的な要約に留めておこう。すなわち武蔵理論とは、自動車教習所演習ソフト「ムサシ」になぞらえて、ただひたすら教科書を読むことなく過去問を解き続けることで試験に合格してしまう最強戦術のことをいう。
※追記 「予備試験最強戦術『武蔵理論』」は2024年12月現在絶版となっているが、特別ルートではまだ入手可能である。
なぜ、この授業も聞かずに今までろくに受験勉強を経てこなかったような地頭のやつらがやすやすと合格最低点9割の最終試験突破できているんだ。なんで高卒の友人は大型車運転できてるんだ。いろいろ考えた結果授業を聞かないDQNが一体どこで勉強しているのかを私は研究することにした。世間一般では頭が悪いとされる層でも受かる試験の攻略法を彼らから盗めば京大法学部の私は自動車免許試験において圧倒的なアドバンテージを得られると考えたからだ。そこで教習所の待合室で朝から晩まで人間を観察して気づいたことが運転を終えたDQNたちが熱心にあるパソコンの前に向かっていく様だった。とてもじゃないがパソコンが似合うようではない長いネイルをしたお姉ちゃんや金髪チリチリパーマの職人っぽいオッサン、勉強が得意には見えない彼らが一心不乱にマウスをポチポチする先に「ムサシ」は有った。
自動車教習所に行ったことがない人の為にお伝えしておくと、ムサシとは効果測定や修了検定前に自動車教習所のパソコンで解けるマルバツ問題のサイトで、一般的に教科書を読まずにこれをひたすら繰り返せば自動車免許は通過できると言われている。このときに追い越しが出来るか、追い抜きは大丈夫か、警笛を鳴らして良いのかなどが肢別で出てきてひたすらパソコンの前でマルバツを過集中していくうちに気づいたら解きながら暗記事項を習得し、過去解いた似たような事例から応用問題にも適応できると言う優れものだ。
当初、武蔵理論は予備試験短答式への適用がもっぱら想定されていたが、実証研究により司法書士試験、センター世界史、簿記2級、TOEIC等、ペーパーテストの形式をとる様々な選抜試験でその効果が覿面であることが確認されている。「過去問」という回転教材から転じて「条文ムサシ」「短問ムサシ」「判例六法レールガン」等の派生系も次々と開発されており、この理論の持つ無限の可能性には日々驚愕の念を抱くばかりである。
ここで話を公認会計士試験に戻すと、確かに短答式試験では武蔵理論が有効であるという「事実」は、つい最近まで受験者であった諸氏にもお分かりになっていただけると思う。公認会計士短答式試験においてはコンパクトサマリー回してWeb問題集を一心不乱にポチポチすることが「最適解」であるとのコンセンサスがすでに取れており、CPA会計学院ディプロマミル日吉校の自習室でタブレットに向かって過集中する受験生の姿は武蔵理論が想定するDQNのそれと何らの差異もないはずだ。
さて、ここで一つの疑問が生じる。「論文式試験においても武蔵理論は適用可能なのか?」という問いだ。確かに、論文式試験では肢別から記述へのパラダイムシフトが起こる以上、武蔵理論を直接適用することは不可能であるようにも見える。しかし、公認会計士論文式試験は見かけこそ格調高い「論述問題」の形式をとってはいるものの、本質的理解を捨象したいかにも「短答的」な脳筋勉強法でボーダー超えはおろか大台とも言える「総合偏差値60over・100傑入り」を高い再現性で達成できることは本官がすでに実証済みである。ここで、武蔵理論の趣旨が「本質的理解は後回しにして兎にも角にも打席に立ち、斗いの中で強くなる」ことにある以上、武蔵理論は公認会計士論文式試験に類推適用可能であると言えよう。(余談ではあるが「斗」は「闘」の簡字体として全共闘で使用されており、これによると発狂界隈公認評論家・岡田斗司夫は「斗いを司る夫」となるわけである。いくら何でもいかつすぎないか。)
思うに、短答式試験では高スコアを叩き出したものの論文式試験で成績が振るわない受験生の特徴は、論述問題を何か高尚なモノだと勘違いした結果アカデミア学問厨と化し鉤括弧理解(笑)に努めようとして回転数が圧倒的に不足してしまっているだとか、大学受験でロト6しかしなかったが為に論述問題という形式にそもそも抵抗があり短答式と同じような勉強法で足りるということに気づいていないだとか、そういったところであろう。
「論文式試験では制度趣旨の本質的な理解が必要!短答式試験と同じような勉強法では通用しない!ポケット論証集のみの使用は推奨しない!」と宣う講師をしばしば見かけるが、絶対に耳を傾けてはいけない。これは受験生と長期的契約関係を形成しようと目論む予備校の悪質なプロパガンダである。
いいか、これだけは覚えておけ。お前らはクオリアの伴わない出来損ないの哲学的chatGPTだ。決して自我を持つな。お前らの役目は一心不乱に論証ディープラーニングして試験会場で統計的に妥当性が高いと推測される文字列を無難に生成することだけだ。
有名な哲学論考のひとつに、「中国語の部屋」というものがある。「中国語の部屋」とは、中国語が全くわからない英国人を部屋に閉じ込めて完璧な翻訳マニュアルを与え、部屋の外から中国語で質問を投げかけたならば、外観上部屋の中にいる英国人は中国語で完璧に返答できているように見えるが、果たしてネイティブの中国人と同じレベルで中国語を理解していると言えるのか、という問題である。
この論考は、アメリカの哲学者ジョン・サールがチューリングテストへのアンチテーゼとして考案した思考実験で、AIには意味論的・言語学的な理解が欠乏していることを手厳しく批判したものであるが、本官から言わせてもらえば単純に試験を突破するという目的の下においては意味論的な理解は全くもって不要・思考停止でマニュアルまんまる上等である。そもそも採点官のもとに届くのは成果物たる答案のみであり、彼らはその筆致から答案の作成者がネイティブの中国人かマニュアルを使った英国人かを判別することはできない。ゆえにchatGPT的な帰納的学習方法を推奨しているわけである。尤も、各予備校の論文対策講義においては、コンパクトサマリーのような一切の無駄を捨象した回転用教材は存在しておらず、年1回開催であるため利用できる過去問・答練の数もそこまで多くない。ではどうするか。
答えは簡単。自分で回転用教材を創出すればよいだけである。
そこで活用したいのがGoogleのスプレッドシートだ。ここまで明言を避けてはいたが、「訓ゲチ式」とは即ち、「スプレッドシートを活用し、シス単や透視図周回するノリでロジカルフローや条文操作を思考停止で丸暗記、現場ではそれらに従い無難で妥当な文字列をchatGPTの如く生成する」という、有機的な知的生命体として繁栄した人類の尊厳を踏み躙りかねない穢土転生レヴェルの禁術である。あまりにも非人道的な学習方法であるため副作用として思想の先鋭化、感受性の欠乏、無意味な具体性、遅すぎた青春要件の実現、権謀術数主義、非現実的な浪漫主義等が高い確率でみられ、不運にも本官は論文式試験の超上位合格と引き換えにその全てを発症した。
さて前置きが随分と長くなったが、いよいよ以下の章では、論文式試験の一色いろはについてミリしらのrookiesにも配慮し、当日のスケジュールに従って各科目・各大問ごとに軽めのガイダンスを行うとともに、「訓ゲチ式スプレッドシートムサシ」の適用方法を解説していく。なお、各予備校のガイダンスすら受講していないホンモノの「ちいかわ」共においては、実際の本試験問題や各大問の配点、合否を左右する「偏差値」の算出方法について以下のリンクを参照されたい。
弍:監査論(1日目午前)
信じがたい話ではあるが、公認会計士論文式試験において「監査論」という科目は実のところ存在しない。それにもかかわらず、受験生の間では「監査論とかいうクソみたいな科目を1日目の午前に受験させられた」という鏡花水月レヴェルの大規模なマンデラエフェクトが毎年のように観測されている。そもそも存在しないため対策も不要なのではあるが、昨今の論文式試験の傾向の流動性を踏まえると、いつ実際に「監査論」の試験が抜き打ちで課されるとも分からないため、受験生の体験談を基に仮に出題された時の形式を予想してその対策を記しておこう。
伝聞によると監査論は第1問が主に典型論証吐き出しの理論問題で50点満点、第2問が事例問題で50点満点である(R3のように第1問でも事例問題が出題されることはある)。第1問は4〜10行で答える理論問題が7題程度、第2問はさらに小問2つに分けられ、それぞれの事例に対してアサーションや監査手続、固有リスク要因等が問われるというスタイルが近年のトレンドだ。採点方法がブラックボックスであり高得点を狙うのが大変難しい(例年、監査論の偏差値52ライン、即ちボーダー素点は30~40点代に留まっている)ことに加え、R4や本年度のように事例問題が激難化した場合は足切りリスクまで孕むというかなり厄介な科目である。
しかし「圧巻」答案はともかく、「科目合格レヴェル」の答案を目指すならその対策は明確である。素点が伸びにくい低レベルの戦いであることに鑑み、第1問の典型理論に関しては地頭メモリを圧迫するガチガチの論証暗記は避け、素点ベースで各設問4〜5割程の得点率を目標とすれば偏差値60は余裕で超え得るし、そもそも第2問は日本語さえ書ければ科目合格レヴェルは確保できる(らしい)。また足切りに関して、タイムライン上で恰も不運と踊っちまったかのような振る舞いを繰り返す、存在しないはずの監査論で足を切られた過年度論文生が不安を煽るような投稿をしているが、彼らは普通に日頃の準備不足が祟っただけであり、十分な対策をして臨めば足切りリスクを合理的に低い水準まで抑えることは可能であるため安心して欲しい。
第1問(典型吐出し)
突然だが人の記憶力には限界がある。かく言う本官も東京帝國大學の学徒であり記憶力に関しては一般人より担保されているはずではあるのだが1年前、毎晩のようになかよししていたセックスフレンドの名前はおろか顔すら思い出せない。況や「投資者による合理的な意思決定により資金の効率的な配分を実現することで成長企業により多くの資金が提供されるとともに衰退企業が市場から淘汰されるという金融市場のシステムを有効に機能させることにより国民経済が発展する」みたいな謎論証を丸暗記することは到底不可能であり、地頭メモリを有効活用するためには少しばかり工夫が必要となる。それ即ち、論証の「圧縮=zipファイル化」である。これは「訓ゲチ式」各科目の理論対策に共通する非常に重要な方法論であるため、ここからはリーディングの1.5倍速ボタンを解除して等倍で精読することを推奨する。
さて、以下で具体例を見ていこう。例えば報告論において、「監査報告書に経営者の責任を記載する理由は?」という問いに対し、
「財務諸表を作成する責任だけでなく、内部統制を整備及び運用する責任、継続企業の前提に関する評価や開示を行う責任も監査人ではなく経営者が負うが、こうした二重責任の原則に関する利害関係者の理解を促進するとともに、監査人の責任を明確化するため。」
という論証があったとする。正直なところ、この論証も原型からかなり削った方ではあるが、地頭メモリ解放のためにはさらなる圧縮が必要である。さて、百聞は一見に如かないということで、さっそく圧縮後の論証を見ていこう。
「F/S作成・内統整備運用・GC評価開示は経責→二重責任原則につき利の理解促進、監責の明確化」
なんと。4行に及ぶ冗長な論証が匠の手によって1行半に「圧縮」されているではないか。実際このような工夫を施すだけで、暗記の負担だけでなく、暗記に取り掛かるまでの心理的な抵抗も軽減し良いことづくめである。「圧縮」の際に気を付けることとしては、不要な逆接、順接、並列は全て削り「・」「→」で表現すること、アルファベットの略称をフル活用すること、自分が後から見て理解できない単語・略称は絶対に使用しないこと、等であろうか。論証圧縮はあらゆる資格試験に共通利用できるポータブル・スキルであるため、ぜひ人に頼らず自力で圧縮体験アンビリバボーを積み「経験値」を貯めることを勧めたい。
ちなみに報告論において記載理由を問う質問に対する解答は、「〜に関する利害関係者の理解を促進するとともに、監査人の責任を明確化するため」というお定まりの形で締め括られるため、慣れてくれば「いつもの」としてさらに短縮することもできる。つまり、先ほどの論証は
「F/S作成・内統整備運用・GC評価開示は経責→二重責任原則いつもの」
となるわけである。
このように、「想定される質問」と「圧縮論証」を一対一対応させ、シコシコとスプレッドシートに打ち込めば、お前さん達専用・世界に一つだけの最強論証集が完成する。あとはコンパクトサマリーを回すのと同様の感覚で、ロジカルフローを意識しながら各圧縮論証を思考停止で詰め込んでいくだけである。
冗長な論証は適当な長さに分割し、短い圧縮論証の集合として処理する
ところで、パソコンに詳しい方はもうお気づきかもしれないが「圧縮」作業があるということは「解凍」作業もあるということであり、この解凍作業が試験会場での論証展開・答案作成にあたる。こちらも具体例を活用しながら、本官の思考過程を詳らかにしていくことにする。
例えば、「精査により監査を実施しても、財務諸表上に、不正による重要な虚偽の表示がないことについて、必ずしも絶対的な保証が得られるわけではないが、その理由を説明しなさい(令和元年第1問-問題1問2、解答欄5行)」という問題に出会ったら、地頭メモリに保存した 「監査_合理的保証.zip」「精査を検索し「①低い水準:F/S信頼×②高い水準:監査には固有の限界、絶対的保証×→合理的な水準」というコードを問題用紙に書き写せ。これに関しては文章という形を取らずとも、図のような形で書き出してもよい。いずれにせよ重要なのは見切り発車で解答を書き始めないことである。かかるメモ書きが答案構成の骨組みの役割をも果たすのが「訓ゲチ式論証圧縮」の知られざる利点なのである。
そして次に忘れてはならないのが、法令基準集(監査基準報告書等)の該当ページを開くことである。監査論の採点はブラックボックスであると先程述べたものの、開示答案と素点偏差値の分析から監査基準報告書の表現と乖離した用語を使ってしまうと大幅な減点を喰らうことはほぼ確定であるため、なけなしの記憶力に頼った自力での論証展開という余計なプライド案件は避け、法令基準集の表現を拝借するのが賢明な判断であろう。また、監査基準報告書の各報告書の冒頭には用語の定義が記載されているため、とても解答欄を埋められそうにない時は、とりあえず設問で取り沙汰されている用語の定義を冒頭に貼り付けておけば答案の「外形」は整えることができる。つまり、折角試験場に「得物」を持ち込めるのであるからこれを利用しない手はないというわけである。
今回の例題で言えば、参照すべきは監基報200-A44~A51(監査の固有の限界)、監基報240-10(財務諸表監査における不正:定義)あたりであろうか。
圧縮論証と法令基準集が用意できたら、いよいよ答案構成である。今回は「監査_合理的保証.zip」の後半部分、「監査には固有の限界、絶対的保証×」を設問に対する直接の解答とすればよいだろう。また、監査の固有の限界は、監基報200-A44によると①財務報告の性質、②監査手続の性質、③監査を合理的な期間内に合理的なコストで実施する必要性だが、問題文にわざとらしく「精査」による監査、「不正」による虚偽表示、と書かれていることから、②監査手続の性質の面で制約があることを書けばよいだろう。あとは監基報の文章を拝借しながら、前半部分でそれっぽい理由を誂えるだけである。答案構成は以下のようになる。
「精査→全ての情報が提供されるわけではない→強制的捜査権なし、情報の網羅性に限界(200-A46)→不正は意図的な行為(240-10)→隠蔽するための巧妙なスキームを伴うことがある(200-A46)→このように監査手続の性質の面で監査には固有の限界があるため(圧縮論証)」
ここまで来たら、あとは日本語として違和感のない文章にするために、接続詞等に注意しながら外形を整えるだけである。
「たとえ精査によって監査を実施しても、強制的な捜査権を有しない監査人が利用できる情報の網羅性には限界があり、経営者等によって全ての情報が提供されない可能性もある。また、意図的な行為である不正は、隠蔽するための巧妙なスキームを伴うことがあり、監査証拠を入手するための監査手続が有効でなくなる可能性がある。このように、監査手続の性質の面で監査には固有の限界があるため(精査によって絶対的な保証が得られるわけではない)。」
といった感じであろう。勘のいいガキであるところの皆さんはもうお気づきかもしれないが、法令基準集にある表現を拝借するだけで随分と「肉付け」することができるものである。正直なところ、予備校が想定する模範解答には到底及ばず、この解答の獲得素点は5~6割と言ったところだろうが、それでも科目合格の水準は余裕で超えうる。訓ゲチ式の趣旨が「最小の労力で最大の効果をあげる」ことである以上、論文式監査論ではこの方法が「最適解」であると本官は強く信じている(そもそも人類の技術的進歩はかかる横着精神によってなされたものではなかったか)。
さて、長くなってはしまったが、それだけ対策の余地があるという事だ。基本的に、各セクションの文章の長さと試験での得点のしやすさは比例すると思って欲しい。ではこのあたりで切り上げて監査論第1問のまとめに入ろう。まとめまで長々と書き連ねても仕方がないので、日本人にはお馴染みの三種の神器方式、サザエさんの次回予告方式で簡潔に済ませようと思う。その後に、本官の実際の使用教材も併記しておくので参考にしてほしい。
監査論第1問
①論証の圧縮(地頭メモリの節約)
②法令基準集の精読(「肉付け」に必要)
③答練・過去問(「解凍」作業の練習)
使用教材:論文対策講義 松本レジュメinput編(サッカーボール論点)
第2問(事例問題)
日本語を書くだけである。
で終わらせてしまっては、科目合格確保を謳っている以上重大な信義則違反(民法1条2項)があると認められかねないため、一応の勉強法は記すのであるが、正直なところ事例問題に関してはこれといった対策方法は存在しない。
先日、とある科学の予備校講師Fにより「X上に蔓延る過去の合格者の勉強法のnoteを買って参考にするのは絶対にやめてください」というセンセーショナルな投稿がなされたことを覚えているだろうか。予備校講師としての立場から、教え子の競業行為に釘を刺すという意図もあったのだろう。当の競業者である以上、本官はこの投稿に真っ向から反対の立場を取るのだが、こと監査論第2問に関しては、この発言も強ち間違いとは言えない。というのも、監査論第2問はそもそも事例から「事実」を抽出してそれを解答に盛り込む必要があり、第1問のような暗記一辺倒の対策では手も足も出ないからだ。したがって、「傾向にバラツキがあるのに、1年分の問題でいい点が取れたからといってその学習法を鵜呑みにするのはあまりに危険」だというFの意見には賛同するし、そもそも第2問に関しては本官も大した対策はしておらず大学受験で培った駄文生成能力でなんとかしていただけである(なお本官は全大問の中で監査第2問が2番目に不出来で、なんとかなったとは言ってない)。
そのため、事例問題の得手不得手は個々人が今までの人生に於いて、論理的な文章を書く訓練をどれだけ積んできたかに依存するといえよう(このような言い方をすると方々から批判が来そうではあるが、そもそも大学受験でちゃんと勉強した奴が有利になって何が悪いんだという話である。そんな批判してる暇があったら天声人語写経しろ)。つまり、事例問題において本官から伝えられる有用なアドヴァイスは、足切りの回避方法しかない。
アサーション・監査手続・固有リスク要因を全力でまんまるしろ。
これに尽きる。
開示答案分析によると、今年の監査論で足を切られてしまったちいかわの多くは、どうやらアサーションを答える事実上の客観問題をしょっぱなから取りこぼしているようなのである。中にはアサーションの定義すら理解していない答案もあり、そのような答案は後の記述の方向性は間違っていないにもかかわらず大問の偏差値が大きく凹んでいた。すなわち、「誘導」とも取れるアサーションや監査手続、固有リスク要因についての客観問題を正答しなければ、大幅に減点、もしくはその後の設問は一切採点しないという非情な処置を施される可能性が高く、アサーションと虚偽表示リスクを混同し、「売上の発生」と答えれば済むところを「売上が過大計上されるリスク」等と答えてしまうのは御法度なのである。
そのため対策としてはまんまるに尽きるのであるが、 事実上の客観問題であるため知識の定着にはスプレッドシートが大いに役立つ。本官は次のようにまとめて高速周回していた。
周回するべきはアサーション・監査手続・重要な虚偽表示リスク(F/S全体レベル、アサーションレベル)・固有リスク要因・基本原則とその阻害要因(倫理規則)あたりであろうか。なお、アサーションに関しては監基報315-A178、阻害要因については監基報500-A41,620-A18で参照できるため、名称の暗記は不要である。
以上が監査論の事例問題を耐え抜くためのたった一つの冴えたやり方である。このような「下拵え」を済ませれば、監査第2問については「日本語を書け」くらいしか言うことはない。余裕合格を謳っているくせに話が違うじゃないか💢と憤慨される御仁もいるだろうが、仮に監査第2問で凹んでも演習量がモノを言う租税法や経営学で訓ゲチ式を凡事徹底すれば十二分にカバーできる。そもそも本官が「天賦の才」に頼って事例問題を解いていた節もあり、信頼できる再現性を備えたアドヴァイスを生成することが難しい。
許せサスケ🙏😅(最近ナルトでも読んだんか)。
監査論第2問
①アサーション等、客観部分のまんまる(足切り回避)
②法令基準集の精読(メモリ節約、「肉付け」)
③Twitterでお気持ち表明大発狂(文章力の涵養)
使用教材:なし
参:租税法(1日目午後)
時の米国政治家、ベンジャミン・フランクリンはこのように言った。
Nothing is certain but death and taxes.(死と税金からは逃れられない)と。アメリカ合衆国はその独立前、大英帝國の重税政策に苦しめられており、この格言はシステムとしての国家の存在条件たる「租税」についてユーモラス、あるいはサーカスティックに表現したものであるが、生きている間に支払わざるを得ない以上、死より税金の方がタチが悪いのかもしれない。
さて、話を戻すが、残念ながら公認会計士試験においても租税法から逃れることは不可能である。計算科目であり対策が明確であるのに加え、演習量がそのまま成績に反映されやすいことから、毎年多くの受験生が一定のレヴェルまで仕上げてくる。近年の公認会計士試験の受験者数の増加を踏まえると、12月短答合格者や過年度生はともかく、5月短答合格者ですら消費税法は3点セットのみとは言わずリバースチャージまで履修するのが望ましい。また、そのブルシット性や、あまりの無味乾燥さに戦意を喪失し、毎年租税法の対策を怠る受験生が一定数発生する。すなわち、租税法は「科目のブルシット性に意気消沈せず、しっかりと回転数をこなせば容易にアドバンテージを取ることができる割と良心的な科目」なのである。是非ともこのイメージは持っておいてほしい。なお、勇ましくも第3師団に入団した訓練兵である諸君はこのブルシット性に耐えうる精神力を持ち合わせていると本官は信じている。幸せはコウリッチューに置いてきた。
租税法は第1問が条文指摘の理論問題で40点満点、第2問が計算問題で60点満点である。第2問はさらに法人税法、所得税法、消費税法の設問に分かれ、それぞれの配点は「例年なら」、30点、15点、15点(1問1.5点)という説が有力である。なお、「例年」を強調しているのは今年大きな傾向変化があったためであり、来年度以降形式がどのようになるのかはonly God knows…である(涼宮ハルヒとかいうマニック・ピクシー・ドリーム・ガールどうなんだゲチで。儂は好き)。配点からも分かる通り、法人税法が圧倒的に重要である。そのため、対策としてはまず法人税を固め、その後所得税と消費税を詰め込んでいくことになるだろう。また、これは勉強を進めれば自ずと分かることであろうが、公認会計士試験の租税法、実は全科目の中で1番武蔵理論が適用しやすい。というのも、条文趣旨は顧みずひたすらに処理と条文操作を詰め込んでいくだけだからだ。すなわち「訓ゲチ式スプレッドシートムサシ」がその猛威を振るうこととなる。では各大問の対策を見ていこう。
第1問(理論)
百聞は一見に如かずということで、実際の本試験の問題を見てみよう。
お分かり頂けただろうか。理論問題ということで、同じ法律科目である企業法のようなゴリゴリの記述を想定していたかもしれないが、蓋を開けてみれば拍子抜けもいいところである。問題2に関しては、選択肢の記述が正しければ根拠条文を、間違っていれば根拠条文と正しい処理を記載するだけである。なお、今回紙幅の都合で掲載を断念した問題1は、問題2でいうところの✖️の設問と全く同じである(根拠条文と正しい処理)。すなわち、理論問題である第1問は事例に適合する条文をサーチすることさえ出来ればよく、その対策は、「スプレッドシートによる条文カルタ」に尽きる。条文カルタとは武蔵理論の派生系であり、百人一首で「ひとは」と読まれたら3マナでディメンジョン・ゲート唱えて「はなぞむかしの」を決まり字確定サーチする要領で、想定される事例に対して根拠条文とその操作を反射的に吐き出すために行う訓練である。以下で具体例を見ていこう。
例えば、「個人による完全支配関係のある内国法人間の寄付金の取り扱い」という事例に対しては
「37条2項(個人による完全支配関係=一般寄付金)→22条3項2号(限度額までの金額:損金算入)→37条1項(限度額を超える金額:損金不算入)」
という具合、
「国内における土地の譲渡に対して消費税は課されるか」という事例に対しては
「2条1項8号、4条3項1号(国内において行われる資産の譲渡等)→6条1項(非課税取引となり消費税を課さない)」
といった具合で、テキスト・問題集・過去問・答練で出会った「条文操作」を1対1対応でスプレッドシートにまとめるのである。あとはこれらを利用して「セルフ百人一首」をプレイしていけば、事例を見るだけで根拠条文が朧げながら浮かぶようになるだろう。
本試験での対応力を高めるために順番のシャッフルを行なった
なお、ショットガンシャッフルは論証を傷める虞があるので注意されたい
あと、回転させる時の注意事項であるが、可能なら毎回法令基準集を引くようにしてほしい。慣れてくると条文番号を確認して終わりになりがちであるが、それで済ませていると模試や答練で法令基準集を使用したときに意外と条文が見つからなくて結構焦る。本官は焦った。少々話は逸れるが、やはり単語帳や参考書などが「馴染む」という現象は実際に存在すると思う。これは、同一の単語帳などを何回も周回していると、ふと思い当たった単語を探したいときに一発で該当のページを開けるだとか、単語帳を見ずにどのページにどんな単語が書いてあるかが大体分かるだとかそういった類のものであり、似たような経験がある方も少なからずいると思う。大学受験とは違い、公認会計士試験においては法令基準集の参照が認められており、本試験では学習用の法令基準集とほぼ同じものが配布される。租税法は非常に時間の制約が厳しい科目である。普段から法令基準集をめくっていたという身体的な経験が、思わぬ形で時間短縮につながるかもしれない。浮いた時間で計算問題を1問でも多く解けたらばんばんざいるなである(ガキには勉強させた方がいいと思う)。もっとも、これは本官の個人的なsuperstitionであるため信じるか信じないかは貴様ら次第だ。健闘を祈る。
租税法第1問
①条文カルタ
②過去問・答練・問題集(カルタのストック収集)
③法令基準集さわさわ(本番の時間短縮)
使用教材:理論対策テキスト 理論問題集
第2問(計算)
令和6年8月16日、人類の敗北を綴る歴史書に新たな1ページが刻まれた。
公認会計士試験・租税法試験委員により白昼堂々と遂行された人道に悖るジェノサイド–。法人税法において長らく取り上げられていなかった別表一、別表五が何の前触れもなく出題され、試験会場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。いや実際のところ、前触れはあったのかもしれない…。というのも、今年の公認会計士試験開催の丁度1ヶ月前、税務考査においても反社会的勢力・会計教育研修機構実務補習所により同規模の大量虐殺が公然と断行され、無辜のジュニアスタッフ達が1万5千円という決して安くはない金員を「頂かれた」のである。このような短期間に大量虐殺が連続することはあまりにも不自然であるため、「虐殺の文法」を操る何者かが暗躍しているとの見方もあるが、いずれにせよこんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかない。
これは我々に対する侮辱であり、そして突きつけられた挑戦状でもある。令和7年度公認会計士試験においては、是非とも「訓ゲチ式」新兵訓練の1期生である諸君に租税法の計算で超高得点を獲得してもらい、公認会計士が税理士の完全上位互換たる所以を証明して欲しい。我々の将来の税理士バッジは君たちの双肩にかかっていると言っても過言ではないだろう。
酷い、事件でしたね…
モチベーションを上げるだけ上げてその方法を伝授しないというのは酷というものである。そのため租税法の計算についても秘伝の「虎の巻」について包み隠さずお伝えしようと思うのだが、計算に関しては予備校教材が大変優秀なので、「訓ゲチ式」のように新たにスプレッドシート等をまとめる必要はない。そもそも、「訓ゲチ式」は理論科目を効率良く攻略するための勉強法であり、計算科目にも若干の適用可能性は残されてはいるものの、結局は論点を集約した問題集を愚直に回転することが点数を上げる一番の近道となるだろう(「訓ゲチ式」の計算科目への適用は本官の意思を引き継いだ訓練兵の諸君に託すこととする)。論文式とは言っても計算科目の性質は短答式と大きく変わらない。択一、記述の違いはあれど、結局は最終数値を電卓でカタカタカッターンと弾き出さなければ点数は来ないのだ。計算科目の対策に関しては、短答式と論文式で大きな齟齬は無いと言えよう。
もっとも、ただ問題集を愚直に回すだけで成績が上がるわけではないことは、諸君もよくお分かりかと思う。
さて、それではどうするか。ここで登場するのが先ほど述べた「虎の巻」、すなわちコンパクトサマリーである(以下、「コンサマ」とする)。便宜上、本官が利用していたcpa会計学院の教材を挙げたが、どこの予備校であっても冗長な解説は捨象し、結論のみをまとめたコンサマ的なsomethingは存在していることかと思う(本官は租税法のコンサマではなくコンプリートトレーニングに付属していたinput集を利用していた)。
すなわち、租税法計算における「訓ゲチ式」とは、問題集・答練をひたすら周回し、間違えた箇所や注意書き等を演習の都度コンサマに書き込んでいき、適度なタイミングでコンサマを見直して知識のメンテナンスを図るという、極めて短答的なアプローチなのである。
読者の大部分は苛烈を極める昨今のインフレ短答式試験を突破してきた猛者である以上、短答期にこのような勉強法に自力で辿り着いた者も多いかと思う。一番恐るるべきは、「論文式」という荘厳な響きにmesmerizeされて短答で身に付けた「正解」の勉強法を自ら手放してしまうことである。繰り返すが、論文式試験の計算科目においては短答期以上の特別な対策を要しない。論文期から新たに追加された租税法の計算もその例外ではなく、短答期の財務・管理と同様の勉強で十分なのである。
租税法第2問
①問題集・答練の周回(答練は解き捨てで十分である)
②コンサマ的なsomething(多方面への配慮)への書き込み
③定期的な知識メンテナンス
使用教材:租税法コンプリートトレーニング
肆:会計学午前(2日目午前)
バオッキー。リトルラヴィン。ウラガンキン亜種。林家三平。大納言あずき。そして管理会計。各種コンテンツにおいて、映えある人気ランキング最下位を獲得した錚々たる面子の中でも、管理会計の存在は一際異彩を放つ。それもそのはず、この管理会計という科目、短答式試験においては持ち前の資料の多さと理不尽な制限時間で多くの受験生の地頭を崩壊させ、再起不能にもなりかねないトラウマを植え付けてきた。無論、論文式試験においても管理会計の魔の手から逃れることは不可能で、会計学午前と名称を変えては2日目の午前に居場所を与えられ堂々と鎮座している。
しかしこと足切りのリスクに関しては、会計学午前ではそこまで気にする必要はない。というのも、合否を左右する総合偏差値の算出においては、まず会計学午前と会計学午後を合算した偏差値を計算し、それを他の科目と加重平均することになっているからである。すなわち会計学午前(管理会計)で偏差値40を割ってしまっても即座に足切りとなるわけではなく、会計学午後(財務会計)と合わせた偏差値で40さえ超えればよいのだ。会計学午後の配点は午前の2倍となることから、午前の管理会計でやらかしてしまっても午後の出来次第では挽回可能であるため安心してほしい。もっとも、足切りを気にするような軟弱者は新兵訓練にお呼びではないのだが。
そんな会計学午前であるが、第1問は原価計算分野の問題で50点満点、第2問が管理会計分野の問題で50点満点である。各大問は大きく2つの設問に分かれるため、4問構成になっているという認識でよいだろう。会計学午後とは対照的にどちらの大問も計算問題の比重が大きく、素点ベースでいくと計算が6割強、理論が4割弱というのが大体の目安である。つまり、理論で得点を安定させるのは思った以上に難しく、会計学午前の成績はどうしても計算の出来に左右されてしまうということである。しかし、計算が難化した回で泥臭く素点を積み重ねれば大きく偏差値を稼ぐことは可能であるし、裏を返せば理論の負担は比較的小さいことから、受験生の目線からすれば良心的な科目と言ってよいだろう。少なくとも短答期よりは随分と良心的である。
長々と御託を並べても仕方がないため、早速ではあるがここから会計学午前(管理会計)の各論に入っていく。説明の都合上、これまでとは趣向を変え「計算」と「理論」というチャプターに分けて解説していくためご了承されたい。
計算
単刀直入に言おう。論文管理の計算において短答期以上の知識は必要ない。そもそも近年のインフレ短答式試験においては、管理会計の計算においても5〜6完が要求されることから、短答合格者である以上一定の計算力は担保されていると言える。これが一昔前の短答合格者であれば、本官は心を鬼にして短答対策問題集の解き直しを命じたことだろう。特にボーダーが57%まで暴落した令和2年度短答合格者のお粗末な計算力を目の前にしたら何らかの「実力行使」に訴えていたかもしれない。この「最悪の世代」の是非については公認会計士・監査審査会に問い合わせたいところである。聞くところによれば実務補習所のeラーニングで倍速視聴禁止規定が設けられたのはこの57%世代が狼藉の限りを尽くしたためであるとか。世代間の対立を煽る意図は全くもって無いのだが、先輩である以上「職業的専門家」として最低限の知性と品性は身に付けておいてほしいというのが正直なところだ。
さて話を戻すと、近年の短答合格者の計算力は非常に高いため、知識の面で新たに学ぶべき内容は存在しないだろうということであった。そのため、論文管理会計に臨むにあたってやるべきことは定期的な知識メンテナンスと解答戦略の立案となるだろう。前者については、短答期に使用していた問題集を使用してもいいし、レギュラーテキストに立ち返るのも悪くない。いずれにせよ定期的に計算知識を網羅する機会を設けることが大事なのである。後者の解答戦略については、現場におけるタイムマネジメント能力とも換言できる。短答管理ほどシビアではないものの、論文管理においても時間の制約は存在するのだ(時間制約は短答管理より緩くなったとはいえども、それでも租税法のそれよりは全然厳しい。何なら全問解き終えることの方が珍しいまである)。特に難易度の高い回であれば、前半の大問に手こずったが故に、後半の設問が1つ分まるまる空白となってしまう…といった事態も起こりかねない。制限時間を意識しながら、落としてはならない典型問題を確実に正答し、そこからプラスアルファで応用問題の正答数をどれだけ積み重ねることができるかに論文管理の成績はかかっていると言っても過言ではないだろう。また実際のところ、大問の最初の問題の答えを出すのに要する手数と最後の問題の答えを出すのに要する手数には大きな隔たりがあることから、頭から順番に解いていくというプリミティヴな戦略は得点最大化の観点から見れば悪手なのである。
したがって、計算知識のメンテナンスが一通り終わったら、論文対策集(計算編)などで論文管理計算の形式にまず慣れ、答練・過去問を利用してこの設問にはここまで踏み込んでよいという時間的な「感覚」を養成する必要がある。参考までに、R6のような難易度が「標準的」な回であれば、計算部分は2完2半が「偏差値60」ライン、1完3半弱が「ボーダー」ラインとなるだろう。あとは標準的年度との主観的な難易度の差を考慮して、得点を最大化すべく各設問に投下する時間を適宜決定していくのである。そしてそのようなタイムマネジメントの感覚は本試験と同じ制限時間・プレッシャーの下で行う問題演習によることでしか涵養できないのである。
会計学午前 計算
①計算知識のメンテナンス
②論文管理、形式への「慣れ」(論文対策集)
③問題演習(答練・過去問による解答戦略の試行錯誤)
使用教材:論文対策集(計算編)
理論
理論問題と聞いて監査論や財務理論のような長々とした論証展開を想像し身構える方も多いかもしれないが、こと管理会計の理論に関しては短文で完結に解答する設問がほとんどであり、長いものでもせいぜい4行程度である。しかも、そのような長めの論述問題は計算過程に絡めて聞かれるものがほとんどであり、根拠となる数値を指摘していけば行数は忽ち埋まってしまう。つまり、管理会計の理論は、簡潔な表現を心がけ、問われていることに対して端的に答えるだけで十分なのである(これは他の科目も究極的には当てはまるのだが、管理会計の理論ではその傾向が一段と顕著だということである)。このイメージは是非持っておいてほしい。そしてこのような問題形式の場合に猛威を振るうのが(もはや様式美)、「訓ゲチ式」というわけなのである。そのため論証をシコシコ圧縮してzipファイルをダウンロードし現場で解凍するという大まかな流れは監査論と全く同じである。むしろ管理会計理論はその性質上「解凍」作業がほぼ不要であることから、監査論と比べてその負担は幾分か小さいかもしれない。
さらに朗報が続く。管理会計の理論に関しては覚えるべきロジカルフローをすでに「圧縮」状態で示した神教材がすでに存在しているのだ。その名も論文対策集(理論編)である。何を隠そうロジカルフロー勉強法はこの教材が発祥であり、cpa会計学院の受講生であれば追加購入をしなくてもデフォルトで利用できるはずだ。そのため、わざわざ自力で圧縮作業を行わなくとも論文対策集のロジカルフローを利用すればよく、浮いた時間でより配点の高い計算問題の対策をするというのが賢明であろう。
会計学午前 理論
ロジカルフローの暗記(これに尽きる。「解凍」練習も必要ない)
使用教材:論文対策集(理論編)
伍:会計学午後(2日目午後)
野球におけるOPSという指標をご存知であろうか。これはOn-Base Plus Sluggingの略で、出塁率(On-Base Percentage)と長打率(Slugging Average)の単純和で表される。野球についてミリしらの方々のために誤解を恐れず簡単に説明すると、出塁率とはバッターが出塁する確率(正確な計算式を覚えるのは面倒であるため打率が高ければ出塁率も大体高い、と覚えておけば大丈夫である)、長打率はその名の通りバッターが長打を打つ「確率」…ではなく、塁打数を打数で除した値、つまり野球を計4コマの双六と見立てた際に、サイコロを振ることによって進むことができるマスの「期待値」である(ちなみに長打率が確率であるという勘違いから生じた「TBS式長打率」という概念もあるので、興味のある方はぜひ調べてみてほしい)。
そもそも、なぜ出塁率と長打率を足すのか。特に根拠はない。出塁率と長打率をテキトーに足してみたら、なぜかチーム得点との相関係数が0.9をゆうに超えていた…OPSが有用な打撃指標として重宝されている理由は、ただそれだけなのである。
ここで少し頭の体操と行こう。次の2選手の成績のうち、打撃貢献度とも言えるOPSが高いのはどちらか。計算はせずに直感で答えてみてほしい(ちなみにどちらも実在する選手の指標であるため、野球に詳しい方は誰の成績か予想してみるのも一興であろう)。
A:打率.321(647打数208安打)長打43本 四死球73
B:打率.197(585打数115安打)長打67本 四死球132
お答えいただけただろうか。
正解はなんとB:OPS.817(カイル・シュワーバー、PHI、2023)である。
一方で、AはOPS.813(イチロー、SEA、2002)であった。
ぱっと見の打率の高さからAを選んだ方も多いのではないか。なんと言っても驚きなのは、打率が1割以上離れているのにもかかわらず、単純な打撃貢献度という観点では1割バッターのBに軍配が上がるのである(非常に僅差ではあるが)。これは、打率3割が強打者の証とされてきたジャパニーズ・トラディショナル・ベースボールの「直感」に反する事実であろう。なぜ、打率という観点では隔絶していたAとBの打撃貢献度がここまで縮まるのか?その秘密は「長打」と「四死球」にある。Aのイチローの長打の内訳は、二塁打:27 三塁打:8 本塁打:8 である一方、Bのシュワーバーの長打の内訳は、二塁打:19 三塁打:1 本塁打:47であり、長打率の計算において大きく評価される本塁打の数がBは圧倒的に多いというわけである。また、四死球の数はBがAに大差をつけており、1割以上あった打率の差が出塁率の計算では四死球によって縮まったのだ。即ち打撃貢献度という観点では、打率もある程度は大事だが、それ以上に長打、特にホームランを打てて、フォアボールもしっかりと選べる選手が望ましい、という話になる。
アヘアヘ単打マンからウホウホ長打マンへ。レベルスイングからアッパースイングへ。「フライボール革命」とも称されるこのパラダイムシフトは決して一朝一夕で成り立ったものではなく、野球をマルコフ決定問題として定式化することも示唆し、統計学を利用した長打率における独自の重み付けや盗塁の損益分岐点を研究してセイバーメトリクスの礎を築いた第93代内閣総理大臣・鳩山由紀夫や、イチローを腐す指標をどうにかして見つけてこれないかと日々試行錯誤を繰り返し、遂に地上波で独自開発した「ギャロ率」という指標を披露するに至ったイチアン松井オタの名誉なんj民・林修など、多くの人々の尽力によって達成されたものなのだ。
では、先ほどのOPSクイズの要領で、公認会計士論文式試験についても同じような出題をしてみよう。今回はより分かりやすく、一方は合格、もう一方は不合格である。さて、AとBのうち、ボーダー偏差値が52だとして、合格するのはどちらであろうか。こちらも電卓は叩かずに「直感」で答えてみてほしい。
A:会計学62 監査論44 企業法45 租税法44 経営学45
B:会計学41 監査論60 企業法60 租税法60 経営学 60
お答えいただけただろうか。
こちらの正解はAである(総合偏差値52)。一方で、Bは偏差値60の科目が4つあるのにもかかわらず、不合格となってしまった(総合偏差値51.86)
この2人の明暗を分けたものは何か。それ即ち、会計学の出来である。
論文式試験の合否を左右する「総合偏差値」は、会計学・監査論・企業法・租税法・選択科目の偏差値を出したあと、それらを加重平均することによって算出される。そして会計学は、他の科目の実に3倍もの重みづけをされるのだ。また、会計学の内訳は会計学午前(管理会計)と会計学午後(財務会計)であり、後者には前者の2倍の配点が与えられている。つまり、公認会計士試験における財務会計の重要性は論文式においても健在だというわけである。
子曰く、忘れたいことばっかりの春だからひねもす財務計算演習。「1日24時間財務」という狂気じみた言説は強ち間違いではなく、本当に財務会計で全てが決まる。財務会計に比べれば他の科目は茶番である。それは、最終問題の配点だけハイパーインフレーションを起こすご都合主義的な昭和のクイズ番組にも似ているだろう。
会計学午後は第3問が個別論点で60点満点、第4問が理論問題で70点満点、第5問が連結会計に関する問題で同じく70点満点である。つまり、第4問・第5問は大問1つだけで他科目の0.7倍ものインパクトを総合偏差値に与えるわけであり、ここからも会計学午後の重要性が察せられるというものである。特に第5問の連結会計は計算問題の占める割合が非常に大きく、その難易度もかなり高いものとなるため、得手不得手によって差が付きやすく、まず対策をするならこの大問になるだろう。また、第3問・第4問は典型的な問題が多いがゆえに、それらを取りこぼせば偏差値を大きく落とすこととなるが、そういった取りこぼしも下手をすれば財務会計以外の科目の2倍以上のインパクトを以て総合偏差値に影響するわけである。このように、財務会計は絶対に落とすことが許されない「本丸」であることを諸君に重々承知していただいたところで、各大問の対策について掘り下げていくこととしよう。
第3問(個別)
結論だけ、書く。
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
あたしは失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したあたしは失敗した失敗(本試験第3問偏差値「45.83」)
第3問は設問が2つに分かれ、個別論点につき計算と理論の両面から出題される。基本的には総合問題形式でそれぞれの設問に資料が与えられ、計算については7〜10箇所、理論に関しては5〜10行程度の解答欄を埋めることとなる(なおR4の概念フレームワークのように、設問がまるまる理論問題という年度もある)。計算問題の配点に関しては、基本的に1問につき2点または3点というのが有力であるが、素点偏差値分析によれば、経営学の財務管理や租税法の計算と異なり、埋没問題には全く配点が振られないなど、回によっては柔軟な傾斜配点が行われることもあるという。そして、計算問題も平易な傾向があることから、第3問においては周りの受験生の出来を意識し、正答率が高いと予想される典型問題は絶対に落とさないように細心の注意を払うことが必要となる。この心得は、相対評価である論文式試験全体に通ずるものであるかもしれないが、①配点が大きく②難易度が比較的平易で③傾斜配点の可能性もある第3問においてはより一層意識した方がよいだろう。
さて計算問題の対策であるが(理論の対策については第4問と全く同じであるためそちらを参照されたい)、第3問のためだけに特別な勉強をする必要は全くない。答練や模試で出題された論点をその都度復習しておけば、足を引っ張らない程度の計算力を本番まで保つことができるだろう。逆に、第3問の対策にのめり込みすぎるのはおすすめしない。というのも、毎年出題される論点は2つ、論点横断的な複合問題が問われた場合でもせいぜい3つであるため、ある分野を完璧にしたとしてもそれが徒労に終わる可能性が高いからである。もっとも、出題される分野には「周期」があるため、予備校が予想する分野の論点に関しては完璧な状態にしておく方が好ましい。ただ、それらも7月の模試シーズン頃を終えた頃に浚えば十分であるため、今から積極的に対策する必要性は低いだろう。したがって、第3問は答練、模試で出題された分野の復習を怠らないことを至上命題とし、大方が正答すると思われる典型問題を落とさない、という意識を忘れなければ安泰である(逆に、短答期からの知識の抜けが酷く典型問題すらも取れるか怪しい、という方は答練シーズンが本格化する前に一通り腰を据えて復習しておいた方がよいだろう)。
会計学午後 第3問
①答練・模試で出題された分野の見直し
②予備校が予想する出題分野の対策
③(必要であれば)テキスト等を用いた短答期の「復習」
使用教材:答練・模試
第4問(理論)
あなたが受験生時代に最も力を入れた科目はなんですか?
「はい、私は監査論に力を入れました。公認会計士の独占業務たる監査についての理論は合格した後も…
不合格。
「はい、私は経営学に力を入れました。IPOに興味があり、経営管理はもちろん、ファイナンスの知識は将来IPO業務を行う上でも…
不合格。
「はい、私は租税法の計算に力を入れました。納税意識が高く、税金のことを考えずにはいられないから…
どいつもこいつも不合格だ。
財務理論を死ぬ気で仕上げろ。仕上げないなら帰れ。
会計学午後において、理論問題は主に第4問で問われるが、第3問・第5問の実に半分程度が理論問題であり、その配点は決して小さくない。計算問題を1問2点と仮定し、第3問の解答箇所が9✖️2の18箇所、第5問の解答箇所が20箇所であったとすると、理論問題に割り振られる配点は第3問が24点、第5問が30点となる。計算問題が1問2点という仮定は、近年理論問題の行数が徐々に増加している実情からも妥当であると言えるだろう。そして、これらに第4問の配点70点を足してみてほしい。なんということでしょう。公認会計士論文式試験の天王山たる会計学午後、その配点200のうち実に124点(62%)を財務理論が占めることになる。すなわち、財務理論を制する者は公認会計士試験を制すると言っても過言ではないのである。
So you listen to me and you listen well.
Are you behind on your cram school's schedule?
Good‼️ Pick up the textbook and start memorizing.
Is your teacher trying to stop you?
Good‼️ Pick up the textbook and start memorizing.
Does your girlfriend think you're a fucking worthless loser?
Good‼️ Pick up the textbook and start memorizing.
I want you to deal with your problems by copying & pasting arguments‼️
And I want you to go out there, I want you to ram Katsumi Watanabe's incantations DOWN your graders throats till they fucking CHOKE ON IT. Till they choke on it and they give you top marks, that's what I want you to do‼️
さて、財務理論の具体的な勉強方法であるが、その設問の形式が3類型ほどあるため、それぞれの類型ごとに詳しく解説していこう。
即ちその3類型とは①制度趣旨説明型 ②会計処理説明型 ③特殊型である。
①制度趣旨説明型
財務理論の設問の中で一番多いのがこの制度趣旨説明型である。会計処理はなにもお気持ちで決まっているわけではなく、複数の代替的な処理のメリットとデメリットを比較衡量し、会計基準全体の整合性や首尾一貫性にも配慮して決定されている。そういった各会計処理のメリット・デメリットを踏まえ、なぜその会計処理が採用されているかを説明しなければならないのが、この制度趣旨説明型であるというわけだ。制度趣旨は法令基準集にほとんど掲載されていないため、ここは予備校の論証集などに頼った丸暗記が必要なのである。もうお分かりであろう。「訓ゲチ式スプレッドシートムサシ」の出番である。
圧縮、解凍のやり方は監査論のパートで説明した通りである。もっとも、財務理論の採点は監査論ほど厳密ではないため、文意や表現の差異にいちいち神経質になる必要はないだろう。したがって、監査論の時よりも大胆な圧縮が可能である。ロジカルフローだけ見失わないようにしながら、無駄な部分をどんどん切り捨てていこう。ただし、論文式試験は相対評価であることに鑑み、多くの受験生が仕上げてくると予想されるAランクのド典型論証…例えば退職給付会計において期間定額基準が認められている理由や、減損損失を認識するにあたり帳簿価額と割引前将来CFの総額を比較する理由などは、文章ごと丸暗記してしまった方がよい。勿論ロジカルフローを解凍してそれなりの文章を生成することも可能ではあるが、相対評価の試験においては、埋没問題を正解してアドバンテージを取るより、典型問題で失点してディスアドバンテージを取る方がよっぽど痛いのである。冗長なBランク論証はともかく、Aランクと短めのBランク論証は大人しく覚えてしまった方がよいだろう。本官は太古からこの言説を提唱しているがこの際に「相対評価試験におけるプロスペクト理論」とでも名付けようか(今年の経営学でプロスペクト理論が出題されたらぜひ私を崇めてください)。
②会計処理説明型
財務理論における2つ目の類型が会計処理説明型である。これはその名の通り現行の会計処理を説明するだけの設問であり、法令基準集の参照が可能であるため、一見、基準集を丸写しするだけのサービス問題かのように思われる。しかしこの会計処理説明型、意外と受験生の出来は芳しくない。
というのも、試験本番特有の過集中によって法令基準集の存在を綺麗さっぱり忘れてしまうのに加え、なまじ財務計算の知識を有しているが故に文章を「書けて」しまうため、中途半端な知識に頼って独り善がりな述語論理を展開してしまいがちなのである。
この惨状を目の当たりにして、とある予備校講師Oは次のような苦言を呈している。
そのため、会計処理説明型の対策は「法令基準集の存在を忘れない」といういかんせん間が抜けたものになる。実際答練や模試などで体感することになると思うが、自分が思っている以上に法令基準集の存在は綺麗さっぱり忘れるものである。本試験ですらその存在を忘れていた本官が言うのであるから間違いない。したがって、どんな手を使ってでもいいから「会計処理が問われたら法令基準集を引く」という習慣をオペラント条件付けよう。今日からお前らは法令基準集を引くように条件付けされた可哀想なパブロフの犬だ。
③特殊型
最後に残った類型がこの特殊型であり、計算過程の説明問題など、上記の2類型に分類できない設問が含まれる。その中でも特に注意すべきなのが収益認識の事例問題である。R6こそ出題はなかったものの、R2、R4、R5で立て続けに出題されており、向こう数年、或いは半永久的に収益認識の事例問題が会計学第4問の「トレンド」となりそうな予感である。この事例問題、問題の難易度が非常に高く、さらに最近適用された新しい会計基準であるため例題も充実していない。そのため、多くの受験生が解法をストックしないまま事例問題に臨むこととなり、また実際難易度も高いことから埋没問題になりやすい。したがって、収益認識をはじめとする特殊型に対する特別の対策を講じる必要は毛頭なく、時間に比較的余裕がある場合に資料を一瞥してみて、解けそうであったら余力で解くというアプローチで十分であろう。
さて、ここから先は独り言だが(エッジを導く枕詞)、この収益認識問題にも勿論「虎の巻」が存在している。その名もASBJ設例集である。ただ、それなりにボリュームがある上に、素人が安易に手を出すと廃人状態にまで追い込まれる可能性もある非常にピーキーな代物であるため、ご利用は計画的に願いたい。これはあくまで財務理論で積極的にアドバンテージを取りたいと目論むトップ層の受験生が余暇で読むべきものであり、そもそも論証暗記が間に合っていない者が手を出すべきではないことは肝に銘じておきたい。
会計学第4問
①論証の圧縮(地頭メモリの節約)
②会計処理説明型→法令基準集のオペラント条件付け
③特殊型の事例問題対策(①②が終わり余裕があれば)
使用教材:論文対策講義渡辺レジュメ(ポケット論証集) 収益認識設例集
第5問(連結)
第5問は連結会計(組織再編)についての問題が出題される。しかし、短答式の連結会計の問題とは全くの別物であることを予め断っておこう。そもそも計算問題の解答箇所は6箇所→約20箇所と3倍以上になるし、子会社・関連会社は基本的には3〜4社、多い時は7~8社が登場する。また取り上げられる論点は個別の減損損失の戻入れ、国際会計基準からの修正、連結除外など、難易度の高いものが多い。そして極め付けには合計25〜30行の理論問題も出題される。他の大問との兼ね合いを考えると、これらを1時間強で解かなければならないという中々シビアな「事実」に最初は絶望感すら覚えるかもしれない。しかし前述したように、会計学第5問は極めれば偏差値70以上も積極的に狙うことの出来る、非常に勉強しがいのある科目である。偏差値70とは言わずとも大問4と合わせて偏差値60以上を確保した時点で、他科目で足切りの悲劇に見舞われない限りは高らかに勝利を宣言してよいだろう。
では、勝負の会計学第5問、いかにして点数を取るべきか。使用教材としては、応用的なものも含め幅広い論点を総浚いできる総合問題形式の回転教材が望ましいだろう。そのような要望にバッチリと応えてくれるのがcpa会計学院のコンプリートトレーニングである(決して案件ではない)。コンプリートトレーニング(以下、「コントレ」とする)は、総合問題を解きながら連結・組織再編の重要論点を総復習できる優れものであり、連結除外、子会社に対する社債、持分法から連結への移行なども収録され、「痒いところに手が届く」つくりとなっている。
もっとも、これらの論点はレギュラーテキストにも収録されていることから「コントレに頼らずともテキストだけで合格に必要な知識は十分に得られる」という、テキスト原理主義者の声高な主張もSNS上で散見される。確かに、網羅性という観点ではレギュラーテキストに軍配が上がり、わざわざコントレを周回する意義は見出しにくいかもしれない。しかし、ここからは本官の持論であるが、レギュラーテキストによる論点毎の学習では瑣末主義に陥ってしまい、連結会計という広大な財務会計論の一分野を悉く双眸の中に収める「大局観」は養成されないと思うわけである。そして、R4以降の新公認会計士試験の会計学第5問を概観してみると、単なる論点の詰め合わせから、論点同士の有機的な繋がりを意識した良問へと確かに傾向の変化が起こっている。すなわち、現状の新公認会計士試験、そして程なく到来するシン・公認会計士試験はすでに「ゲームチェンジ」を終えた後の姿であり、レギュラーテキストのみで十分であるという言説はR3以前の「旧時代」でしか通用しない極めて牧歌的な発想に基づくものと言えるだろう。
さて使用教材の話はここまでにして、連結の問題を解く時の心得について話していこう。長々と御託を並べるのも面倒であるためいきなり切り出すのであるが、諸君にはタイムテーブル(下書き)に対して徹底的にこだわってほしいのである。この画期的な方法が多くの受験生に膾炙した現在、仕訳のみで戦うというストロングスタイルを貫く者はまさか存在しないとは思うが一応説明しておくと、連結のタイムテーブルとは資本連結の過程を時系列順に並べた図表であり、親会社株主・非支配株主それぞれに帰属する当期純利益、のれん残高、非支配株主持分などを局所的に算定するのに重宝する。連結会計の問題を解くにあたっては、いちいち合算して連結財務諸表を作成することはせず、タイムテーブルを用いて各数値をスマートに算出するのが近年の「トレンド」なのである。
ここで少し考えてみてほしい。連結の計算問題で失点する原因とは果たして何であろうか。1つ目はそもそも論点を知らなかった場合である。これに関しては仕方ない。連結会計基準に規定されている会計処理はまさに無数にあるため、全ての論点を網羅するのは不可能であるからだ。2つ目は繰延税金資産、利益剰余金などの集計項目における集計ミスである。これも無くした方が好ましいものの、人間である以上ある程度の抜け・漏れは仕方がないことに加え、正答率の低い項目に関するミスであることから合否に大きな影響を及ぼす可能性は低いため不問としてよいだろう。そして最後に残る3つ目がタイムテーブル(下書き)由来のミスであるが、これは、いけない。 タイムテーブルは資本連結の処理を定型化し、インプット(子会社の純資産、持分比率、税率、のれん償却年数などの諸条件)を入力すれば半自動的にアウトプット(のれん償却費、資本剰余金変動額、非支配株主持分)を出力する非常に洗練されたシステムであるため、前提となる初期条件の入力を間違えれば芋づる式に失点してしまう可能性が高いのである。では、このような連鎖的なミスを防止するためにはどうすればよいのか。その答えとして、誤謬を事前に防止するための「内部統制」をタイムテーブル内に構築するということがあるだろう。
例えば、税効果を考慮するタイプの問題で一番恐れるべきである、評価差額への(1-税率)掛け忘れ…(掛け忘れるとのれん、のれん償却費、非支配株主持分などが全部ズレてしまう)これを防ぐために、本官は下書き用紙の左上にまず税率をメモ書きしていた。これに加えてのれんの償却年数、その他減損の戻入れ等に関する特別な指示があるなら、計算の都度問題用紙に戻るのも面倒であるためそれも左上に書き留めておくのがよいだろう。また、繰延税金資産に関しては簡易B/Sを用いて集計していたのだが、その時に親会社と子会社で別々のB/Sを必ず書き出すようにしていた。というのも、繰延税金資産と繰延税金負債できるのは同一納税主体の範囲に限られるからだ。通常は、子会社の繰延税金負債と親会社の繰延税金資産は相殺できないことになる。つまり何が言いたいかというと、タイムテーブルの工夫を徹底的に行い、盲点となる規定を下書きに落とし込むことで、本番は余計なことを考えずに思考停止で最終数値を電卓で叩き出すマシーンとなろう、ということである。上記はほんの一例であり、そもそもタイムテーブルが比較的最近開発されたものであることから、まだまだ改良の余地はあるだろう。是非普段の勉強でも想像力を働かせて、なんとか内部統制を構築できないか試行錯誤してみてほしい。怠惰を求めて勤勉に行き着く。試験本番での思考リソースを少しでも節約するために、システムの構築に拘るのは論証の圧縮と通ずる部分があるかもしれない。いずれにせよ、試験場に到着する前に勝負は8割がた決しているということである。
ちなみにこの後房州さんは天和・純正九連宝燈のダブル役満を和了り本当に死んでしまう。
会計学第5問
①コントレの総合問題周回(「大局観」の養成)
②下書きの工夫(内部統制の構築)
③過去問・答練での問題演習(特に近年の過去問は良問揃い)
使用教材:財務会計論コンプリートトレーニング(連結・組織再編)
陸:企業法(3日目午前)
俺だ。法のお兄さんだ。
お前ら、物理は好きか?俺は大嫌いだ。早速ではあるが、法律学(私法)と物理学(力学)の奇妙な二辺比夾角相等を証明していこう。刮目せよ。
「法律」も「物理法則」も英語では"law"
「取引の安全」「お手盛り防止」「所有経営分離」「法律関係の早期確定」等の運動方程式から各条文が導ける
民法は私人間、会社法は株主と機関の「二体問題」を解くだけ quod erat demonstrandum
お分かり頂けただろうか。そう、法律学とは物理学なのである。しかし両者は酷似しているとはいっても、その学問としての成り立ちは正反対であり、我々はそこに初めて差異を見出すことができよう。すなわち、object同士の均衡をlawによって記述する物理学に対し、民法で言えば私人、会社法で言えば機関と株主相互の均衡が成り立つようにlawを設定する法律学、という差異である。前者はすでに存在する「均衡」について、どうやら所与である「法則」を用いて説明するのに対し、後者は公平という名の「均衡」をゴールとして人為的に「法則」を定めるのである。正直、このトピックだけで1本記事が書けそうではあるのだが、本官も大学受験から離れて久しいところ、物理について迂闊にもエアプを晒しそうな気がするためここらで差し控えることとする(近いうちに物理の「学び直し」はするつもりであるため、その頃に記事が出るかもしれない)。
とりあえずここでは、運動方程式から運動量保存則、力学的エネルギー保存則、万有引力の法則等が導出できるのと同様に、「所有と経営の分離」という株式会社の本質から、エージェントたる取締役のモラルハザードを防止する356条、お手盛りの弊害を防ぐための361条、役員の職務執行に対する特別法定責任を定めた423条等を導くことができることだけ覚えておいてほしい。すなわち、所有経営分離という「運動方程式」から演繹的に各条文の趣旨を「想起」することも技術的には可能であり(無論、多少は暗記に頼った方が効率的ではあるが)、暗記量は他の科目より圧倒的に少なくなるだろう。
さて、公認会計士論文式試験の企業法であるが、第1問、第2問共に50点満点で、それぞれに2~3個の小問が割り振られるのが基本的な形式である。しかし、その出題実績は流動的だ。企業法のチャプターだけ大問別でないのはこの流動性によるものである。毎年安定して出題されるのは「機関」の分野であり、ここは対策必至だと言えよう。「機関」で大問丸々1題、「株式」又は「組織再編行為」でもう1題、というイメージを持っておけばよいだろう(「株式」「組織再編行為」は「機関」の分野と絡めて出題されることもある)。
では、論文式企業法に必要な技能とは…何か。試験委員様に論理の律動を聞こえさす脅威的な「論理的思考力」か?会社法施行規則の一字一句まで諳んじる圧倒的な「暗記力」か?何がすごいのかよく分からないがどうやらすごいらしい「天賦の才」か?そのどれも不要である。このチャプターでは趣向を変え、先に「3本の矢」をまとめ、それぞれについて解説を加える形式で進めようと思う。すなわち、論文式企業法に必要な技能とは
①法的三段論法の徹底
②確実な条文知識
③最低限の論証丸暗記
の3つである。以下でそれぞれの技能について詳しく解説していこう。
①法的三段論法の徹底
三段論法と聞いてまず諸君が思い浮かべるのは、「AならばB、BならばC、それゆえAならばC」という推論規則だろうが、これは「仮言三段論法」であり、実は法的三段論法が意味するところの三段論法ではない。法律学において問題となるのはアリストテレスが専ら論じた「定言三段論法」の方であり、これは「すべての人間は死ぬ、ソクラテスは人間である、故にソクラテスは死ぬ」というように、大前提→小前提→結論という流れをとる。これを法律学の分野に持ち込むと、
Issue(問題提起)
Rule(規範定立)
Application(当てはめ)
Conclusion(結論)
となり、定言三段論法の大前提がRule、小前提がApplication、結論がConclusionにあたる。この問題提起〜結論までの流れを、それぞれの頭文字を取り、IRACと呼ぶ。企業法の答案は、基本的にはこのIRACに従って作成していくこととなる。
卑近な例を使って掘り下げていく。遠足を数日後に控えた5時限目、遠足準備の時間に「バナナはおやつに入りますか?」というA君の無垢な質問があったとしよう。この未解決問題をIRACに従って検討するとこのようになる。
バナナはおやつに入るか。遠足施行規則810条では、おやつは500円までという金額的な制約が設けられているが、この「おやつ」の解釈が問題となる。(Issue:問題提起)
そもそも、遠足施行規則810条において金額制限が設けられている趣旨は、砂糖の過剰摂取による肥満や虫歯等の生活習慣病を防止し、もって青少年の健全な成長を図ることにある。そうであるならば、810条がいう「おやつ」とは、①砂糖を多く含み、②過剰あるいは継続的な摂取によって肥満や虫歯等の生活習慣病を引き起こしうる③嗜好品である、と解する。(Rule:規範定立)
本問において、A君が持ち込もうとしているのは股間のバナナである(まさかの叙述トリック)。股間のバナナは、ある意味嗜好品ではあるが(③充足)、砂糖を含まず(①不足)、また過剰あるいは継続的な摂取によって生活習慣病を引き起こすという医学的な根拠はない(②不足)。(Application:当てハメ)
したがって、A君の持ち込もうとしているバナナは「おやつ」に入らない。(Conclusion:結論)
お分かり頂けただろうか。注意したいのは規範定立で、条文からそのまま要件を抽出するだけのこともあれば、趣旨に照らし合わせて妥当な規範を導かなければならないこともあるため、慎重な検討が求められる。また、当てはめでは問題文に記載されている「事実」に即して検討することが重要である(もっとも、今回の例では普通のバナナでも「おやつ」には該当しないことになるだろうが)。これが論文式企業法における答案の「型」であり、まずはこの形式をマスターすることが初学者にとって喫緊の課題である。かかる推論規則に従わず、独り善がりでselfishな述語論理を展開しても点は全く来ないため注意されたい。そして、この「型」は決して一朝一夕で身に付くものではないため、ある程度学習が進んだら、答練や過去問を利用して実際に自力で答案を作成してみることをおすすめする。
②確実な条文知識
法的三段論法もといIRACをマスターしたからといって、企業法の成績が決して安泰でないことは皆さんお察しの通りである。特に近年、本試験において日頃の条文素読を怠っているとなかなか気づくことができない「盲点」とも言える条文が出題されがちである。例えば、R5においては140条3項(譲渡承認請求者の株主総会における議決権)、R6においては116条1項3号イ(反対株主による株式買取請求:株式併合)、322条2項(ある種類の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会)が登場した。いずれも本試験の緊張の中で指摘できた受験生はそう多くなく、「論証暗記マンは許さない、絶対にだ」という試験委員の腹黒い魂胆が透けて見える。奴さんがそういう腹持ちならこちらも相応の手段に訴えなければならない。
すなわち、条文暗記マンになればよいのである。
そこで役立つのが、もうお分かりであろう。「訓ゲチ式スプレッドシートムサシ」である。条文とその趣旨、そして趣旨から導き出される要件を1対1対応させるのである。例えば、
299-302条(株主総会の招集通知)→「出席資格のあるすべての株主に、株主総会への出席の機会と十分な準備期間を与えること」
429条1項(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
→「役員等の職務執行が第三者に与える影響は大きいため、役員等の責任を加重することによって第三者の利益を保護するための規定」→すなわち、民法上の不法行為責任(民法709条)とは別に会社法が定めた特別の法定責任
→要件①第三者に損害が発生していること②役員等に株式会社に対する任務懈怠があること③「任務懈怠」について役員等に悪意・重過失が認められること④任務懈怠と損害との間に相当の因果関係があること
といったところである。
また、趣旨丸暗記の対象は各予備校講師による「重要条文まとめ」で十分であるが、それ以外の条文も1度は素読しておいたがよい。租税法だけでなく、論文式企業法も時間の制約が非常に厳しい科目である。一瞥すらしたことのない未知の条文を暢気に捜索する暇は、余程の自動筆記っぷりを見せつけない限り皆無であると言っていいだろう。また、民法等に比べ、会社法の条文は非常に読みづらい。運良く該当条文を探し当てたところで、その意味するところが分からなければ徒労に終わるだろう。したがって、普段から条文によく目を通し、何が書いてあるかを把握しておくのが重要なのである。「まず条文」の意識を持ち、各条文に誠実に向き合えば、自ずと道は見えてくるはずだ。
③最低限の論証丸暗記
訓ゲチ式論文企業法対策、その最後のピースを埋めるのが論証まんまるである。近年の傾向では論証暗記マンはシャオされるんじゃなかったのかよ💢と言いたくなる気持ちを抑え、落ち着いて聞いてほしい。実は毎年、予備校論証をそのまま貼り付けるだけの、何の捻りもない典型問題が小手調べという形で出題されがちなのである。ここで忘れてはならないのが、論文式試験は相対評価ということだ。このような典型問題で周りと違うことを書けば、大きく偏差値を落とすことになる。勿論、論証を全くもって暗記せず、条文知識のみを駆使して演繹的に結論をはじき出すことも技術的には可能である。しかし、毎年のように典型論点が出題されるという実情、多くの受験生は典型論点を精度高く仕上げてくるという状況を踏まえ、最低限の重要論証は丸暗記するという「大人の対応」が求められるだろう。まんまるのやり方に関しては、予備校の論証集を利用してもいいし、「訓ゲチ式」圧縮論証集を作成してもよい。いずれにせよ、典型論証を問われたら精度高く書き上げられるようにしておきたい。
本試験においては、丸暗記した典型論証が貼り付けられないようであれば、条文知識を駆使して該当条文とその趣旨を吐き出し、法的三段論法というフレームワークに沿って問題文の事実を丁寧に検討していくというアプローチが求められる。すなわち、「ゲチノミクス三本の矢=①法的三段論法の徹底、②確実な条文知識、③最低限の論証丸暗記」が対策として必要十分なのである。
企業法
①法的三段論法の徹底
②確実な条文知識
③最低限の論証丸暗記
使用教材:レギュラーテキスト(論文論点)
漆:経営学(3日目午後)
公認会計士論文式試験において、息も絶え絶えの3日目午後、満身創痍の状態で受けさせられるのがこの選択科目であるが、経営学、統計学、経済学、民法の4科目の中から1つを選択するという形になっている。気になる受験生の内訳であるが、経営学を選択する者が圧倒的に多く(おそらく全体の9割弱)、次に統計学、その次に民法、経済学に至っては誰も選択していない。
お前ら弱いって。厳しいって。公認会計士として成熟してない。(cv張本)
論文式試験が相対評価である異常、試験戦略としては受験者が多い経営学を選択するのが合理的?
馬鹿野郎が。
経営学を学んで何になる。社長にでもなりはるんどすえ?財務管理はまだしも経営管理の分野は本当に酷く、学者気取りの所詮文系が一生懸命考えた2✖️2のお気持ちマトリックスをシコシコ暗記させられるだけだ。これが果たして学問と言えるのか?そもそも天下の東京帝國大学経済学部には経営学の授業など一つも存在しない。こんなもん女の学問だ。敢えて学びたいなら止めはしないが、その場合はタイにでも行ってパイプカットしてこい。
では、真の「漢」が選択する科目とは…何か。それ即ち民法である。
公認会計士試験の受験者が選択科目において民法を選ぶメリットは主に3つある。
①怒涛の伏線回収による企業法の「鉤括弧理解」
②公認会計士が失った「法の精神」に対するレコンキスタ
③予備試験参入の足掛かりとし腑抜けた弁護士を企業法務で「蹂躙」
以下、これら3つのメリットについて説明していく。
①怒涛の伏線回収による企業法の「鉤括弧理解」
このメリットを説明するにあたり、まず前提として六法における「民法」と「商法(会社法)」の関係について語らねばなるまい。
先に断っておくが、以下の分類は厳密なものではないため批判は一切受け付けない。その上で、法律の大雑把な分類としては、まず公法と私法がある。このうち、国・地方公共団体内部の問題及び私人との関係を取り扱うのが前者の公法であり、もっぱら私人間の関係を律するのが後者の私法である。つまり、民法及び商法は私法にあたる。そして次の分類としては、一般法と特別法である。一般法は広範な分野に対して一般的に適用される法であるが、特別法は特定の分野に適用され、一般法に優先する。したがって、その観点では民法は一般法であり、「商人」や「会社」を対象とする商法/会社法は特別法なのである。
即ち、我々が短答期からシコシコと勉強させられていた企業法なるものの正体はなんと「民法の例外」だったということだ。まず基本的な取り決めを学習しなければ、例外を学んだところで鉤括弧理解に至るのは難しいだろう。そこで民法の学習をお勧めしているわけである。本官も論文式試験が終わった後に民法を一通り学習したが、企業法で張り巡らされた伏線が余すところなく回収されたため、諫山創が何らかの形で関与しているのではないかと思ったほどだ。
特に論文式企業法との関係で言うと、頻出の会社法423条・429条は、役員の業務執行が与える影響は重大であることに鑑み、民法415条・民法709条の損害賠償責任とは「別枠で」定められた特別の法定責任であるし、代表取締役が会社法362条4項各号の行為について取締役会の決議を経ない時は民法93条の心裡留保との類似性が問題となる。割当てによる募集株式発行によって名義書換未了の譲渡人に株式が交付されれば譲受人は民法703条に基づいて不当利得の返還を請求するわけであるし、契約による株式の譲渡制限の場面では契約自由の原則と民法90条の公序良俗規定を理解しておくのが望ましいだろう。民法と商法/会社法はお互いに密接に関わっており、両者を同時に学ぶことで初めて鉤括弧理解に至ることができるというわけである。それにもかかわらず、毎年多くの受験生が善意とか悪意とか重過失とか無過失責任とか立証責任の転換とか、民法でまず出てくるような法律用語の意味を詳しく学ばずにいきなり企業法の学習に入り、本試験で儚くも蹂躙されている。これは、いけない。まず民法があり、そしてその次に商法があるのだ。この関係をゆめゆめ忘れてはならない。
②公認会計士が失った「法の精神」に対するレコンキスタ
今でこそ選択科目は経営学、統計学、経済学、民法からの選択となっているものの、一昔前、すなわち旧公認会計士試験(2005年以前)の時代は経営学、経済学、民法のから2科目選択であった。
旧制度の下では、多くの受験生が経営学と民法を選択していたという。この時代に於いて、確かに公認会計士には「法の精神」が根付いていたと言えるだろう。
一方現在はどうか。新試験の導入により選択科目は4科目から1科目の選択、予備校の戦略指導により経営学を選択する受験生が大半であり、わざわざ民法を選択するのは司法試験経験者か、足切りを顧みない酔狂な好事家しかいなくなってしまった。令和の世に入ってからというもの、公認会計士はかつて有していたはずのリーガルマインドを完全に失ってしまったと言える。
今こそRe🟰Conquest、即ちレコンキスタの時ではないか。
これはパンデクテン半島における、司法書士・行政書士・不動産鑑定士・弁理士その他勃興を繰り返す種類物資格王朝による公認会計士固有の知的領域に対する侵犯である。無論我々は拒絶する。
公認会計士の三大国家資格としての適格は、監査という独占業務の社会的重要性も勿論ではあるが、下位資格に対する優越性によっても保たれる。他の資格で民法を学習するにもかかわらず、公認会計士だけそれを学ばないというのは土台おかしな話である。民法は会社法に比べて体感1.5倍の重さ?
知らんがな👹これは名誉の問題だ。我々の手でパンデクテン半島を奪回し資本市場の番人としての威信を回復するのである。
③予備試験参入の足掛かりとし腑抜けた弁護士を企業法務で「蹂躙」
最後に実利的な話をしておこう。司法試験予備試験をご存知であろうか。この予備試験、合格すれば面倒なロースクールをショートカットして司法試験の受験資格を得ることができるという非常に浪漫溢れるペーパーテストであるのだが、もし公認会計士試験で民法を選択すれば10科目のうち3科目はすでに修了したことになる(予備試験の選択科目を租税法にする場合)。しかも、民法と商法は六法の中でも比較的重い部類であるため、これらを学習したことがあるというのはかなり大きなアドバンテージである。どうだ、お前も「鬼」にならないか?そもそも人間が両眼を有している理由は何であったか。そう、遠近感を認識するためである。「法律」と「会計」の複眼で企業会計・企業法務を「立体視」し、本官と共に群雄割拠の魔都・東京大手町に殴り込もうではないか。
ここまで公認会計士試験において民法を選択するメリットを長々と語ってきたわけであるが、勿論、12月短答合格者の多くは出願時に経営学を選択しているという「事実」は重々承知している。したがって、ここから先は最大多数の最大幸福に則り経営学の勉強法について語るつもりではあるのだが、選択科目は民法一択云々は決して冗談ではなく、寧ろゲチ中のゲチである。今年は間に合わなくとも、意志を継いだ新兵訓練の2期生、3期生の間で徐々に民法選択者が現れ始め、最終的には「選択科目は民法以外あり得ない!」という風潮になれば師団長冥利に尽きるというものである。拝啓:cpa会計学院様、論文対策講義(民法)のリリースをどうかひとつ、よろしくお願いいたします。
さて、あれほどこき下ろした手前恐縮ではあるのだが、経営学の勉強法について見ていこう。
経営学は第1問がキーワード吐き出しと短めの論証問題からなる経営管理で50点満点、第2問が主に計算問題からなる財務管理で50点満点である。第1問の経営管理は問題数が少ないことに加え出題範囲も膨大であることから、予備校のテキスト等を信用し、広く浅く満遍なく対策する必要があるだろう。第2問の財務管理の問題数は近年25問で固定であり、配点は1問2点であることがほぼ確定している。即ち、1問の差で偏差値が大きく変動することから、つまらないミスによる取りこぼしをできるだけ回避したいところである。毎年、「経営学はデザート科目」などとまことしやかに囁かれているが、正直なところ高得点で安定させるのは意外と難しく、それなりの勉強時間は必要である。また、財務管理の理論に関して、今年のような出題形式が来年以降も続くならば、MM理論やCAPMを徹底的に理解しておいた方が望ましい。もはや、経営学がデザートと呼ばれる時代は終わったと言えるだろう。それでは、各大問の対策を詳しく見ていくこととする。
第1問(経営管理)
この経営管理、正直クソ科目…いや、よろしくない。非常にシンプルな科目であるため、もうお分かりであると思うが「訓ゲチ式」がその効果を遺憾無く発揮する。遺憾無く発揮するのではあるが、そもそも単語と短めの論述問題しか問われないため、わざわざスプレッドシートにまとめ直すのも効率性の観点から好ましくない。加えて、範囲も膨大ときたものだ。そこで、単語の暗記に関しては予備校の教材を利用し、論証の暗記に関してはスプレッドシートを利用する、という勉強法を提案したい。というのも、経営管理の論述問題は財務理論や監査論のように決まった言い回しを覚える必要は全くなく、多少表現がガバガバでもロジカルフローさえ合っていれば点数はしっかりと来るからである(クソ科目たる所以)。おまけに、親切にも使用する単語が指定されることさえある。したがって、典型論証の無駄な部分は削りに削ってよく、最悪、単語がどのように並んでいたかさえ思い出せれば足りる。
例えば、「テイラーの科学的管理法における課業管理を説明せよ」という問いに対して
「動作研究」・「時間研究」→「標準的な仕事量」=「課業」設定して管理
という流れが思い出せればよいのである。
これさえ覚えておけば、現場においては監査論と同じ要領で想起したロジカルフローをそれっぽい文章に誂えるだけである。ここで注意したいのは、文章を丸ごと覚える必要性は全く無いが、論証に盛り込まれているそれぞれの単語が何を意味するのかを自分の言葉で説明できるようにしておくことである。先の例で言うと、「動作研究=最適動作を追求」「時間研究=それにかかる時間を測定」くらいのイメージである。また、スプレッドシートにもう一つ枠を作って「従来は成行管理」のようにtipsを書き留めておき、回転の度にチラリズムすれば完璧であろう。論証という先入観を捨て、「オーダーに意味があるだけの数個の単語グループ」というイメージを持ってほしい。
ちな本試験、経営学第1問偏差値「71.6」👹👹👹
経営学第1問
①テキスト、問題集を利用し単語暗記(漢字間違い抜かりなく)
②論証の圧縮(単語以外はどんどん削ぎ落としてよい)
③ロジカルフロー中の単語を自分の言葉で説明
使用教材:経営管理 レギュラーテキスト
第2問(財務管理)
さてお待ちかねの財務管理であるが、勉強法に関して語るべきことは正直なところ皆無と言っていいだろう。というのも、テキストと個別問題集を定期的に回して本試験前に過去問を一通りさらい、答練で定期的にメンテナンスを行う、という誰でも思いつきそうな愚直な方法で科目合格レヴェルは余裕で超えうるし、実際それが最適解であるからだ。もし予備校の教材をきっちりとこなしたにもかかわらず成績が振るわないのであれば、勉強量・回転量が圧倒的に不足している可能性が高い。それくらい予備校の教材が優秀であるということである。
もっとも、上の画像から分かるように、直近の令和6年度においては、理論問題が択一ではなく、適切な選択を「すべて」選ぶという鬼畜な出題形式に変更されたため、計算がメインだからといって手を抜かずに、それぞれの用語の定義や、指標の算出方法等をしっかりと頭に入れておく必要があるだろう。第2問は例年、1問の差で偏差値が2〜3程度変動するイメージであり、全科目の中でも非常に差が付きやすい大問である。来年以降の出題形式がどのようになるかは分からないが、今年の出題形式では、普段理論面を真摯に学習していたか否かで非常に大きな差がついたと言える。そのため、決して計算一辺倒にならず、理論面も十二分に対策しておくのが得策だと言えるだろう。
なお、租税法と同じく計算科目ではあるが、本官はコンサマは一切使用していなかった。これは租税法と異なり、理論面をしっかりと押さえておけば計算方法は忘れにくいためである。そのため本官はテキストの精読と個別問題集の周回で事足りたが、地頭限界を迎えてあまりにも計算を覚えられないという方はコンサマの使用を一考してみる価値があるかもしれない。
経営学第2問
①レギュラーテキストで「足腰」鍛える(理論もサボらずに)
②個別問題集の周回(章末の用語一問一答がエッジ)
③過去問・答練で知識メンテナンス(解き捨てで十分)
使用教材:レギュラーテキスト、個別問題集、過去問集
捌:最後に
すでにご存知の方も多いとは思うが、去る令和6年12月9日、公認会計士・監査審査会により太平の眠りを覚ますマシュー・カルブレイス・ペリー来航級の衝撃的な公告がリリースされた。近年の受験者数の急増に鑑み、論文式試験の受験者を増やすべく長年固定されていた短答式試験の問題数・制限時間・ボーダー基準等の見直しを図ることが宣言されたのである。
以前より短答式試験の配点に関しては各所から批判が噴出していた。総合得点が当日の問題セットに大きく左右される側面があることから、本来の実力が正確に反映されないのではないかと懸念されており、とある論文式試験超上位合格者が「もはや金融庁の名の下で公然と開催される国営ギャンブル」とまで揶揄したほどである。
このような方々からの批判と受験者数の増加に耐えかねた金融庁は、ついに短答式試験を見直すことと相成ったわけであるが、率直に申し上げるとこの変更、明らかに東京帝國大学をはじめとする国公立勢に有利なのである。短答式試験で多くの合格者を採り論文式試験で篩にかけるという制度変更は択一に苦手意識を持つ論述マシーンにとっての福音であり、憎き日吉のディプロマミルこと慶應義塾大学が合格者数ランキングの首位から陥落する日はそう遠くないものと思われる。嘘から出た実とはよく言ったもので、本官がかねてより警鐘を鳴らしていたシン・公認会計士試験が本当に到来してしまうのだ。現在の試算によれば、シン・公認会計士試験には東京帝國大学の下位1500人とその他国公立大学の下知1500人が、訓ゲチ式新兵訓練により人格を排泄した悲しきバーサーカーへと容貌を変えて参入すると予想されている。共通テストで9割を叩き出すCPUを搭載した肉人形の集団が仕訳だけで連結の利益剰余金まで数字を合わせてくるため、試験会場は早慶マーカンの阿鼻叫喚渦巻く地獄絵図の様相を呈することとなるだろう。
いいかお前ら。タイムリミットはすぐそこまで迫っている。令和9年度になってしまったら流石の本官といえども責任を取ることはできない。死ぬ気で令和7年度論文式試験に受かって中枢に滑り込め。多分今日から8/24までの半年強ほど何十億の価値を持つ時間は二度と来ない。
柄にもなく長々と駄文を連ねてしまった。色々と読み辛い部分もあっただろうが、最後までついてきてくれた訓練兵の諸君には大いなる感謝と敬意を表したい。論文式試験は孤独との戦いである。忘却との戦いである。自分との戦いである。周りが薔薇色のキャンパスライフを謳歌する中、日の当たらないモノトーンの自習室でひとりシコシコと暗記した論証は次の日には綺麗さっぱり忘れてしまう。他人の言葉を借りれば、それは下りのエスカレーターを延々と逆走する行為にも似ているだろう。今この瞬間から、4000人もの受験生が一斉にエスカレーターを昇り始める。誰もが下降の恐怖と戦いながら、それでもいつか上の階にたどり着けると信じて。一人が足を止める。いつの間にか彼の姿は見えなくなっている。また一人が腰を下ろす。哀愁漂うその背中はエスカレーターの下降運動と共に遠ざかっていく。近くを昇っていた奴が一緒に休憩しないかと誘う。意に介さず、それでも昇り続ける。そして気が付けば処暑の頃、肉体と精神は限界に達する。辺りを見渡すが、周りにはもはや誰もいない。「あの時アイツと一緒に休憩すればよかったな…」そんなことを考えながら、朦朧とする意識の中で病床に伏す故郷の母親を思い出す。「母さん、ごめん。約束守れんかった。俺もう、疲れたわ…」
その時。
眩いばかりの光に包まれ、身体が上昇するダイナモ感覚。思わず目を開ける。巨大な手。あまりにも巨大すぎて、手の持ち主の顔をもはや視認することはできない。どれだけの時間運ばれただろうか。優しく降ろされる。そこは豪華絢爛たるホテルニューオータニ「鶴の間」。スタイリッシュな立看板には「令和7年度公認会計士試験合格祝賀パーティー」の文字。
おめでとう。(令和7年度公認会計士試験「第10十刃」ヤミー・リヤルゴ)
おめでとう。(「第9十刃」アーロニーロ・アルルエリ)
おめでとう。(「第8十刃」ザエルアポロ・グランツ)
おめでとう。(「第7十刃」ゾマリ・ルルー)
おめでとう。(「第6十刃」グリムジョー・ジャガージャック)
おめでとう。(「第5十刃」ノイトラ・ジルガ)
めでたいなァ。(「第4十刃」ウルキオラ・シファー)
おめでとさん!(「第3十刃」ティア・ハリベル)
クックックワァクッ!(ペンペン)
おめでとう。(「第2十刃」バラガン・ルイゼンバーン)
おめでとう。(「第1十刃」コヨーテ・スターク)
おめでとう。(父)
おめでとう。(母)
おめでとう。(「Sir」訓練されたゲチ🟰ピエロ)
ありがとう…。
これはシン・公認会計士試験という異常海域に於いて問題海の全面を悉く一眸の中に収め最も安らかな航路を示し併せて乗上げ易き暗礁や浅瀬を一目瞭然たらしめ合格の彼岸への安全上陸を実現する、まさに浪風荒き受験海に船出せんとす若き船人に捧げる海図である。
コメント
4とても参考になりました!
ありがとうございます!
一つ質問なのですが、コントレの総合問題とは別売のコントレ総合問題編のことですか?
本文で言及しているのはコントレの連結・組織再編・cf計算書編です。別売りの総合問題編は購入していないのでその網羅性については分かりかねますが、結局連結の問題しか回さなかったことを考えると総合問題編の方がコスパ的な観点ではエッジかもしれません。
ありがとうございます!
はい