逮捕されたのは、東京 墨田区に住む大相撲の元幕内・時津海で、第16代の時津風親方を務めた坂本正博容疑者(51)です。
捜査関係者によりますと、今月、墨田区両国の路上に車を止めた際、偽造した「駐車禁止除外標章」を車に掲示したとして、偽造有印公文書行使の疑いが持たれています。
この標章は歩行が困難な身体障害者などに対し、移動時の負担を軽減するために公安委員会から交付されるもので車のダッシュボードに掲示しておけば、駐車禁止の標識がある場所でも取締りの対象にはなりません。
調べに対し容疑を認めていて、都内に住む知人に交付された標章をカラーコピーして、違法駐車を繰り返していたとみられています。
去年7月に東京 千代田区で「標章を掲示して頻繁に路上に止めている車がある」と近所の人から通報を受け、警視庁が捜査を進めていました。
これまでの調べで、不正に使った標章は少なくとも2枚確認されていて、警視庁は入手した経緯についても調べることにしています。
坂本容疑者は時津風親方を務めていた2021年2月、新型コロナの不要不急の外出を禁止する行動制限に反して、マージャン店などに繰り返し出入りしていたとして「退職勧告」の懲戒処分を受け、退職していました。
元時津風親方を逮捕 駐車禁止除外標章を不正使用し違法駐車か
大相撲の元幕内・時津海で、時津風親方を務めた元力士について、警視庁は、障害のある人などに交付される「駐車禁止除外標章」を不正に使って違法駐車をしていたとして逮捕しました。
「駐車禁止除外標章」とは
「駐車禁止除外標章」は歩行が困難な身体障害者などに対し、病院への通院や買い物など移動時の負担を軽減するために都道府県の公安委員会から交付されるもので、警視庁によりますと、都内では去年1年間で1万4000枚余り交付されました。
有効期限は原則3年間で、車のダッシュボードに掲示しておけば、駐車違反の取締りの対象にはなりません。
取締りの対象にならないのは、標識などで「駐車禁止」や「時間制限駐車区間」の規制がある場所で、法律で駐停車禁止と定められている交差点や横断歩道などのほか、公安委員会が駐停車禁止に指定している場所は除外されません。
不正使用で検挙 全国で2218件
知人から標章を借りて不正に使用したり、有効期限切れの標章を使用したりして、検挙されるケースは相次いでいて、警察庁によりますと、標章を不正に使って道路交通法の駐車違反などで検挙された件数は、去年1年間で全国で2218件に上ります。
また、標章を偽造して有印公文書偽造などの刑法犯で検挙されたケースは、去年1年間で22件あったということです。
東京都公安委員会から交付される標章には、偽造防止のための特殊な加工が施されていて、カラーコピーすると桜のマークが黒くなるなど、判別できるようになっているということです。
標章を使用する男性「障害者の気持ち 踏みにじられた」
東京・杉並区に住む菊池弘泰さん(67)は20年前に脳出血を発症し、後遺症で左半身にまひが残りました。
現在は足の機能をサポートする器具やつえを使って生活しています。
当初は、公共交通機関を利用していましたが、駅やバス停までの移動や階段の上り下りなどが大きな負担だったといいます。
その後、ハンドルに補助装置を付ければ車を運転できると知り、病院への通院や障害者団体の会合に参加する際に「駐車禁止除外標章」を使うようになったということです。
25日も防災の催しに参加するため、標章を掲示して車を止めた菊池さんは「私のような障害者が車で目的地まで行けるのは体の負担が少なく、感謝の気持ちでいっぱいです」と話していました。
標章の不正利用が相次いでいることについては「障害者の気持ちが踏みにじられたような感じがします。悪用されるケースが相次いで、もしルールを変えないといけなくなったら、私たちの権利が失われるおそれもあるので、障害者にとって大事なものだと理解してほしい」と話していました。