[漫画]ONE PIECE 〜ワンピース〜: 2004/09/01 TCC

まあ丁度黄金期が終わって、暗黒期に突入していた時に連載開始されてしまった所為で、
実態以上に持ち上げられてしまった「反面教師」ですよね。このワンピースって。

何と言うか、作者・尾田栄一郎氏的には「自分だけの武器」として描いておられる
つもりなのでしょうが、キャラデザがミョーに珍妙で、言葉遣いもまたミョーに珍妙。
「洗練」とか無縁なセンスですよね。それでも、アーロン編までならそこそこの漫画
となっていたと思います。アニメ版での小杉十郎太氏や日高のり子氏等大物ゲストキャストの
好演の印象も強いのもあるのでしょうが、そのアーロン等それなりにキャラ立ってましたしね。

しかし、その次のアラバスタ編から早くも駄作化が始まってしまった感じです。
このエピソードだけで、ジョジョ1・2部分程度の単行本分話を費やしてましたけど、
尊大ぶったチンピラなクロコダイルとか全く魅力なしでは余計冗長に感じられました。

その気になれば完全に息の根を止められたはずのルフィに最後敗れたのだから、所詮その程度の悪党だったのでしょうが、
このエピソードから、一見子供らしく純粋に見えて屁理屈や手前勝手な能書きも垂れるルフィーの
ダメ主人公っぷりやお涙も流す等ミョーに感情をあらわにして、感動とかを押し付けるあざとさや等他の悪い点も
目立つようになってきた感じです。

その後のエピソードも、クロコダイルよりはいくらかはマシな程度に過ぎなかったエネル等の空島編
やまさかの(?)再登場を果たしたフォクシー、そしてウソップの離脱劇等目も当てられないのも
見られたかと思えば・・・・・・・・・・・・
エースに焦点が当てられたそれ等ミクロ的はそれなりに面白いエピソードも見られる
ようにはなりましたが、マクロ的には七武海等の設定等身の丈不相応に詰め込まれちゃって、
この先尾田先生と言うよりもジャンプ編集部は何年連載続けるつもりかどうかは知りませんが、
もう一度広げた風呂敷を畳める可能性はかなり低いでしょう。実際他の和月組の漫画だって、
変に奇を衒って支離滅裂にもなって、最後はグダグダになってしまった漫画珍しくないですしね。

師匠である和月伸宏氏ですら、るろ剣の後はそれなりな佳作(武装錬金、エンバーミング等)を
出す程度に留まっている感じで、そのるろ剣も正直実写映画版は個人的には微妙でしたが、
このワンピースもあと15年も経てば実写化されるのでしょうかね?アニメ劇場版もたまに何作か目にする
近年からも改めて思いますが、尾田氏は生まれてくるのが5年は遅かったと言うか、まだ黄金期だった
頃のジャンプでもまれていれば、漫画家として、中堅以上の実力を身につけられた可能性もあったでしょう。
岸本斉史氏や久保帯人氏もそうなのでしょうが、ジャンプシステムや、黄金期の終息等の状況の悪さ等がそうした機会
を奪ってしまう結果になりそうですが、まさに悲劇以外の何物でもないでしょう。評価は「とても悪い」です。
(※2014年5月某日再編集)