京都在住の女性Ｋ様から「幼少期から宗教教育を受けて育った私をぶち壊して欲しい」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。母親が宗教にはまり、人間は罪人だと言われて育った。お前の考えていることに価値はないと言われて、教団の教えに従っている時だけ存在を認められた。幼少期から一人称は「我々」だった。自分を持つことを許されなかった。悪いことができなくなった。悪いことはしてないのに、自分がどんどん悪くなる。坂爪さんは全然いい子じゃないのに、私には輝いて見える。だから、私をぶち壊して欲しいと思った。Ｋ様は、そのようなことを言った。

Ｋ様は言った。経済力のない母親を、教団の男性が支えてくれた。私は、その男性から性被害を受けた。母にそのことを訴えたが、聞く耳を持ってもらえなかった。お前が悪いからだと言われた。綺麗になるために一生懸命頑張ったが、自分の罪を消そうと思うほど、罪がどんどん膨らんでしまう。坂爪さんに会ったら、お願いしたいことがあった。私に「よく頑張って生きてきたね」って言って欲しい。Ｋ様は、そのようなことを言った。

私は「よく頑張って生きてきたねなんて言いたくない」と思った。しみったれた世界には行きたくない。そんな言葉に励まされないで欲しい。自分をぶち壊して欲しいと言う割には、自分を守りたいのだなと思った。Ｋ様は韓国映画が好きだと言った。私は「本当に好きなら、好きに生きろ」と思った。映画の登場人物は、画面を通じて「次はお前だ」と言っている。しっかりバトンを受け取れば、心意気を継承したことになる。バトンを無視すれば、消費をしただけだ。消費をする人は、自分のことばかりで、人の話を全然聞かない。俺までＫ様に消費をされるのはごめんだと思った。

こう言う時はこう言うもの、こう言う時はこう考えるもの、そんな常識や連帯が、鎖となって人間を縛る。常識や連帯という名前の、人間の鎖。共感を求めるのは、暴力なんだよ。自分を分かってもらいたいと思うその気持ちが、あなたを縛りあげているんだよ。逆だよ。人間の鎖を断ち切るんだよ。あなたは惚れ込みが足りないんだよ。本当に好きなら自分の全部を捧げますと、ナチュラルにそうなる。頑張って自分を捧げなきゃと思うのは、惚れ込みが足りないから。無理して好きになろうとしているから。その努力は虚しい。結局自分が一番大好き。自分なんかどうでもいいと思えるくらい、惚れ込めるものと出会えるといいね。

日本人は無宗教だと言うが、ガチガチの世間教信者だと思う。神様より自分より世間優先。世間に怒られない範囲の自由だけが認められている。幸せになることより幸せだと思われることが、自分が笑うことより世間から笑われないことが大事になる。言うまでもないことだが、そんな考え方は馬鹿げている。一度も狂ったことのない人生なんて、さみしいと思わないか。悪いことを一度もしなかったので認めてくださいと言ったら、神様からバカじゃないのって怒られるよ。俺が作った世界を楽しまないなんて、怠け者だと言われるよ。金がない。仕事がない。家がない。才能がない。友達がいない。恋人がいない。家族がいない。それがどうした。そんなこと、どうでもいいじゃないか。絶滅しないように生きるよりも、絶滅しよう。爽やかに、潔く、晴れやかに、清々しく、絶滅しよう。何もない腑抜け共にも、死ぬと言う偉業がある。神様は何も禁止していない。禁止するのは、いつだって人間だ。これから大阪に行く。