「日本は定年まで解雇されないんでしょ?」いま中国で「空前の公務員ブーム」! 中国人が日本人をうらやましがる、その背景とは
今、中国で何が起こっているのか。 過去20年にわたって、世界経済を牽引する存在だった中国経済。特に日本経済にとって、中国は製造拠点としても市場としてもきわめて重要な存在でした。しかし、不動産価格の低迷によって顕在化されてきた、中国経済の悪化。市民の中で不満や閉塞感が広がってきています。 今、空前の「公務員ブーム」になっているという中国。「わずか10年で『みんなが起業』をよしとする空気から『誰もが公務員を目指す』社会に変わった」と『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』を執筆した梶谷懐氏と高口康太氏は指摘します。 【画像】ご乱心?「空を売り出した」中国地方政府
本記事は、同書より一部を抜粋、加筆・編集してお届けします。 ■2024年の国家公務員試験の出願者は340万人 「下海」(シャーハイ)という中国語がある。公務員を辞めて民間で働くという意味だ。改革開放初期の1980年代以降、多くの人が「下海」した。クビを切られたのでやむなくという人もいれば、市場経済で稼いで金持ちになろうと前向きにトライした人もいる。「日本以上に資本主義国」と言われることもある中国、そのダイナミズムを象徴する言葉である。
ところが、最近はまったく真逆の風潮が起きている。景気の悪化に伴い、どうにかして体制内の安定した職を得ようとする「上岸」(シャンアン)を目指している人が多数を占めるようになった。 公務員志望者の増加が何よりの証明だ。2024年の国家公務員試験の出願者は340万人。2021年に200万人を超えて話題となったが、あっという間に次の大台を突破した。合格枠は全体で3万9700人なので、倍率87倍という狭き門である。なお、中国の国家公務員試験はポストごとに募集がおこなわれるので、数千人が一つのポストに殺到することもある。
国家公務員以外でも、地方自治体職員や準公務員待遇の公共機関職員も同じく「体制内」(中国共産党の体制内部の意)と言われており、やはり競争が熾烈だ。日本の県にあたる省レベルの公務員試験の応募者は500万人を突破している。準公務員と呼ばれる第三セクター職員も競争が激しい。 公務員試験浪人も増えている。民間企業に勤めながらも公務員試験の勉強を続ける仮面浪人もいるが、さらに「公務員になる以外の道は断つ」とばかりに、実家で家事手伝いをしながら公務員試験浪人を続ける「全職児女(フルタイムの子ども)」なる言葉まで生まれている。