作品が販売されていたのはアマゾンの電子書籍サービス「キンドル」で、これまでに、吉本ばななさんと小川洋子さんが著者名となっている作品が確認されていますが、NHKの取材に対し、いずれも本人が自身が書いたものではないとしています。
このうち吉本さんは25日夜に、複数の読者から連絡を受けて気付き、SNSで読者に対して誤って購入しないよう呼びかけた上で、アマゾンに連絡を取ったところ作品は削除されたということです。
NHKはアマゾンジャパンにコメントを求めましたが、これまでに回答は得られていません。
生成AIか “吉本ばななさん”の電子書籍 本人の訴えで削除
アマゾンの電子書籍サービスで「吉本ばなな」の著者名で販売されていた作品について、作家の吉本さん本人が自身が書いたものではないと訴え、その後作品が削除されていたことがわかりました。
このサービスでは「小川洋子」さんが著者名となっているものの、本人が書いていないとする作品も販売されていて、専門家は表紙の絵や文章の特徴などから生成AIを使って作られた可能性もあると指摘しています。
吉本ばななさん「読者は版元や著者のSNS確認を」
作家の吉本ばななさんはNHKの取材に対し「二次創作は自由であるべきなので黙認していますが、アマゾンのおすすめや著者ページに出ているとなると問題だなと思いました。AI自体には全く否定的ではないです。出版の自由を守りつつ、著名な作家の名を使う著作物はきちんとすべきだと思います。電子書籍を読む人たちには、版元や著者のSNSを確認しましょうと伝えたいです」と話していました。
小川洋子さん「編集者に相談して対応考える」
小説家の小川洋子さんはNHKの取材に対して「意味不明な日本語で、表紙もそれらしく作られていますが見たことがなく、私の本ではありません。突然のことでどうしたらいいのか分かりませんが、編集者に相談して対応を考えたいと思います。こうしたことが二度と起こらないように皆さんに正しく本が届くようなシステムになってほしい」と話していました。
専門家「生成AIに書かせたよう」巧妙化のおそれも
生成AIに詳しい国立情報学研究所の越前功教授は小川さんが著者名となっている作品について、「表紙の録音機と思われる物体をよく見ると字が不自然だったり、機器がゆがんでいたりするなど生成AI特有のゆがみがあるように見受けられる。文章についても小説の各章が極めて短く、登場人物の説明もないなど読んでいて違和感がある。極めて単純な構成で、とても作家が書いたようなものではなく、生成AIに命令文を指示して書かせたように見える」と話しています。
その上で今後について「著名な作家ほど作品が多く、今後AIが学習すると似た文体で小説を作るなどクオリティが上がることが考えられる。AIが作ったものなのか人間が書いたものかの見分けが付きにくくなるだろう」としています。
また、私たちユーザーが注意する点として、「出版社を含めて信頼できる媒体をみて購入するのが望ましい。今回のように本物の作家が『偽の出版物が出ている』という情報を発信している場合もあるので、そういう情報にも注意してほしい」と話していました。
さらに電子書籍などを販売するプラットフォーマーに対しては、「コンテンツを配信する上で、誰が出しているのか最低限の確認はあった方が良い」と指摘しています。
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