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なぜ私立学校は独裁化するのか 武蔵野東学園の事案から考える“だれも助けてくれない”法制度の穴 

激しさを増す生徒・保護者と学園の分断

会議の際は副理事長だった松村氏も昨年2月に理事長へ就任。松村氏はこの一件のほかにも、保護者会で威圧するような言動をとって、保護者の一人が過呼吸を起こし救急搬送されるという事態を招いたり、混合教育に関する学園独自の様々な取り組みの廃止を断行したりしている。

これらの事態を受け、同校の複数の保護者が「武蔵野東学園を守る会」を結成、松村氏の退任を求める署名活動を行った。しかし、昨年12月には、SNS上で学園や松村氏に関する投稿を行っていた関係者とみられる人物が、学園から6600万円あまりの慰謝料・損害賠償請求を起こされる事態にまで至っているといい、生徒・保護者と学園とのあいだの分断は今もなお激しさを増している。

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こうした事態ののちに起きたのが今回の退学処分だった。謝罪文を提出させられた女子生徒は、松村氏を強要罪で武蔵野警察署に刑事告訴。報道などによると、昨年8月、松村氏は東京地検立川支部に書類送検された。

関係者によると、これを受けて学校側は今年1月15日、「学校の秩序を乱し、その他生徒としての本分に反した」などの理由から女子生徒に退学処分を言い渡し、女子生徒側はそれを不当としていた。

第一報が報じられた4日のうちに、東京地裁立川支部の和解勧告を受けて、処分は取り消された。保護者の一人は、「創設者の理念を無視した松村氏の言動は許せない」と怒りを露わにしている一方で、取材に応じた学園の事務局は「お問い合わせの退学処分については、既に話し合いによって当該生徒が復学するに至っております」とし、それ以上の回答はなかった。

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