バベル最上階
そこには一柱の女神と一人の冒険者がいた
「ねえ…オッタル、あの子ダンジョンに潜るそうなの」
「…」
「だからオッタル…あなた、あの子の力を見てきてくれない?」
「…はい」
「そう…お願いねオッタル」
「…はっ」
猛者は女神の神室から出ていった
ダンジョン五階層
「オラァ!!!!!!!」
「ヴェルフ!右から来る!!」
「わかった!!」
現在ベル達は5階層で戦っている
しばらくして5階層での戦闘が終わりベル達は少し広いところで休憩を挟んでいた
「やっぱり、仲間が一人でもいるだけで楽だなベル!」
「うん!僕もヴェルフがいてくれるだけでやりやすいよ!」
水筒を回し飲みしながらヴェルフが話し始める
「そういやどうするベル少し6階層にも潜ってみるか?」
「うーん5階層にすぐに退避できる位置でモンスターと戦えるか試して見てからでいいんじゃないかな?」
「それもそうだな、そうと決まれば行くか!」
「うん!」
二人は下に続く階段へと足を運ぶ
下についたベル達は異様な光景を見ることになる
「おいおい、こりゃどういう状況だよ…」
「モンスターがいっぱい死んでる…」
そしてモンスターの死骸が大量にあるそこには一人の大男がいた
「来たか…」
「【
「女神からのご指名だ…ベル・クラネル…俺と戦え」
「なんで急に…!」
「女神の寵愛を受けたそれだけだ…」
「てめえ…急にそんなこと言いやがってどういうつもりだ!!」
オッタルはこれ以上問答するつもりがないというように
大剣をぬく
「二人で構わない…こい…」
「「っ!!」」
オッタルは大剣を抜いた
「こないのであればこちらから行くぞ」
「ヴェルフ!」
「っ!…ああわかったよ!!」
ベルがナイフをオッタルに向かって振り抜く
しかしオッタルはそれを簡単に弾く
「ぐっ!!」
「本気で来い…」
「はあ!!!」
ヴェルフが大剣をオッタルに振り落とした
けどそれも弾き飛ばされた
「本気で来いと言ったはずだ…」
「ヴェルフ!1分稼いで!!」
「わかった!!」
ベルは歌を歌い始める
「【英雄は未だ現れず、世界は英雄を求める】(初めて使う魔法だけどやるしかない!!)」
「魔法か…」
「こっちを見ろ!」
「【一族の救済を求める獣人、故郷の奪還を求めるドワーフ】」
「待ってやる、早く完成させろ」
「!?」
「【歌を紡ぐ妖精、絶望に取り憑かれた星読み、運命に縛られた囚われの王女】」
ヴェルフは急いでベルの近くに戻り防御体制をとる
「【道化を見守る妖精、旅をする鍛治師】【さあ神々よ御笑覧あれ、我が名は喜劇の英雄アルゴノゥト、喜劇を紡ぎ雄牛を倒す道化である】!!」
「超長文詠唱か…」
「【私が全ての悲劇を、惨劇を、絶望を、運命を、その全て喜劇にして見せよう】」
オッタルは構える何が起きても問題ないように
「【さあ、喜劇を始めよう】【
ベルとヴェルフの体が金色の光に包まれるそしてベルには金色の光とは別に雷霆を纏う
「ヴェルフ行こう」
「ああ!」
「来い」
ベルとヴェルフが同時に攻撃するその攻撃をオッタルが受け止める
しかしオッタルは受け止めると同時に弾き飛ばされる
「これは…」
オッタルは壁付近まで吹き飛ばされベルの魔法の正体に気づく
「
「こりゃとんでもねえじゃじゃじゃ馬だな!」
「でも!扱いきれないと勝てない!」
ベルとヴェルフの動きは明らかにLv.1の動きではなくだからと言ってLv.2の動きでもなかった
「この威力は…Lv.6?いやLv.7か?」
「くっそマジかよ!これでも倒せないのかよ!」
「強い!」
「【銀月の慈悲、黄金の原野】」
「魔法だ止めろ!!」
「わかってる!!」
歌は構わず続けられる
「【この身は戦の猛猪を拝命せし。】」
「っ!!」
「なんで!?」
オッタルは別に並行詠唱をしているわけではない防御と受け流しに徹しているに過ぎない
そして魔法が完成する
「【駆け抜けよ、女神の神意を乗せて】】
「くっそタレ!!」
「【ヒルディス・ヴィーニ】」
強化魔法が完成されるそれを止めようとしていたベルとヴェルフはそこで剣の極地を見た
それは残光であり「斬光」であった
「ぐっ!!!」
「はああああ!!!」
二人はナイフで大剣で受け止めようとするしかし抵抗虚しく吹き飛ばされる
「がはっ!」
「ヴェ、ルフ…」
「誇れお前達は強い、高みへ登ってこいその時にまた相手をしてやる」
オッタルは二人に背を向け上へと帰っていくそれを見てベルは
「オッタルさん…伝言です…」
「なんだ」
かろうじて聞こえる程度の声でベルが伝言を伝える
それにオッタルは微笑を浮かべすぐに奥へ隠す
「そうか」
その後二人は意識が落ちた後オッタルが事前に伝言を残していたおかげでその場についたアイズ達に保護されることになった