車好きの転移先は、憧れの頭文字D!?   作:憂@やる気がない

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ストックがなくなったので初投稿です。



第3話 浮かぶ疑念

 

 

side 啓介

 

 

 

俺はFDを転がしながら帰路についていた。

考えるのはさっきまでに得た情報のこと。

 

衝撃、という他ない。偶然話しかけたヤツから、散々地元の人間に聞きこんだりして探し回ったあのハチロクの情報を得られるなんて、考えてもみなかった。

 

40〜50代のドライバーだと言うなら、あのテクニックについてもうなずける。あれは紛れもなく、気の遠くなるような走り込みによって培われたドラテクだった。

あんな腕をもった走り屋なんて、それこそ神奈川エリアか、もしくはアニキくらいじゃないとお目にかかれないだろう。

 

 

───にしても・・・変わったヤツだったな。

 

 

さっきのアイツ──渡辺(わたなべ) (しゅん)の事を思い出す。

 

都内から来たと言っていたアイツは紛れもないチューニングカーに乗ってた。見た目だけのドレスアップなら、あんなデカイブレーキは入れる訳がねぇ。それを前後に、まして国産の最大手なんざ当然値段も張る。

 

 

だからこそ引っかかるのだ。

都内には峠なんかない。・・・と言えば嘘になるだろうが、それこそ走ってて面白いワインディングなんて聞いた事もない。プラスでサーキットも行くらしいが、余計にそこが矛盾を産む。

 

サーキットを走るヤツの多くは、走り屋をコケにしている奴らが大勢いる。

峠なんて遊びだとか、純粋に速さを求めるならサーキット以外ありえない。といった意見がほとんどな上、それには説得力がある。うちのチームも、サーキットを走る事によってメンバーのドラテク向上を行ったりしているから、ドラテクの向上においてサーキットの優位性は実際にも明らかだ。

 

 

 

 

────サーキットでウチの名前を聞くほど顔が効くヤツ*1が、わざわざ峠で行われるストリートレースを見に来る程に興味を持つのか?

 

 

 

 

もちろんレッドサンズの名が売れているというのもあるだろう。だが、神奈川エリアならともかく、群馬エリアは全国に名だたる強豪がひしめく魔境、という訳でもない。

 

さっき話してた、噂のハチロクの真偽をついでに確かめようとした。・・・これなら結果的に説明はつくが、喉に引っかかるような違和感が残る。

───まぁいい、とりあえず報告しとくか。

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「アニキ、帰ったぜ」

 

 

「随分と遅かったな、啓介。・・・熱心なのはいいが、お前が今夜のタイムアタック代表なのを忘れるなよ」

 

 

「あーわかったよ。耳タコだぜ。───それと、例のハチロクについて情報を手に入れたぜ」

 

 

「ほう、どんな情報か教えてくれ*2

 

 

 

アニキの目付きが変わった。アニキの分析能力なら、情報が正しいのかの判断もつくだろう。

 

 

 

「恐らく、って話だが・・・俺が遭遇したハチロクは、10年くらい前に秋名最速を誇ってたらしい。その頃のドライバーだとしたら40〜50代くらいじゃないかって。オマケに栃木や埼玉、神奈川までに目撃例があったらしいから、県外遠征もしてたみたいだ」

 

 

「ふむ・・・それなら、地元を熟知した走り方や、卓越したドライビングにも説明はつく、各地の峠を走ったことがあるなら、当然テクニックの引き出しや経験も豊富だろう。妥当だな」

 

 

「噂ではFCの前の型の初代セブンとか、31のスカイラインターボでも勝ってきたそうだぜ。・・・ホントは知らねぇけど、挙句の果てにはポルシェターボすら負かしたことがあるとか────まてよ?」

 

 

 

 

アイツはどこでこれだけの情報を知ったんだ?*3

 

 

 

 

「ポルシェは古い型でも相当な性能を誇ってはいるが、それだけの性能差をひっくり返すとは・・・興味深いぜ。───うん?どうした啓介」

 

 

「・・・いや、考えてみたら変なんだよ。この情報を持ってたヤツが」

 

 

「ふむ、どんな風にだ?」

 

 

「これだけの情報を得るなら、渋川どころじゃない範囲で聞き込まなきゃ手に入るはずもないだろ。ましてや関東エリアの著名な峠での目撃情報を持ってるなんざ、現地にツテがあっても何らおかしくはない。・・・でも、そいつは今夜の交流戦を見るために都内から来た、って言ってたんだ」

 

 

「都内からか・・・妙だな。埼玉や栃木なら分からないが、神奈川エリアの走り屋は排他的で知られてる。そんな連中から情報を得るなど・・・よほどの速さを認められなければ難しいだろう。しかし都内から来た人間がそれだけのウデを・・・?啓介、その情報の持ち主はどんなクルマに乗っていたんだ?」

 

 

「あー、悪いアニキ。車種までは聞いてなかった。でも前後にエンドレスのブレーキキットが付いてた。弄ってあるのは間違いないぜ」

 

 

「・・・クルマのメーカーは分かるか?出来れば外装の特徴も含めて」

 

 

「なんつーか・・・WRCのラリーカーみたいな印象を受けたな。ボンネットにエアバルジ*4があって、純正らしきウィングも付いてた*5からスバルっぽいと思う」

 

 

「ラリーカー・・・インプレッサではないのか?」

 

 

「4枚ドアのセダンではあったけど、インプレッサじゃなかったな」

 

 

「ふむ・・・」

 

 

 

するとアニキはパソコンに向き直り、何かを調べ始めた。カタカタとしばらく音を立てたあと、アニキが見せたのはあるサイトだった。

これは・・・スバル車のカタログ?

 

 

 

「啓介、この中で近い車はあるか?ヘッドライトの形状とか、ピラーの形状でもいい」

 

 

「ヘッドライト・・・」

 

 

「見覚えがないと言うなら、新型車の可能性が高いかと思ってな」

 

 

 

アニキが動かす画面を見ながら近いものを探す。

コレは違う、アレも違う・・・ん?

 

 

 

「これだ、とめてくれアニキ・・・横から見たライトの形状はこれにそっくりだった」

 

 

「ふむ、レガシィか・・・だがこれはツーリングワゴンだな。クルマはセダンだったなら・・・」

 

 

 

そういうとまたキーボードを叩き出した。

 

 

”レガシィB4 セダン 新型車”

 

 

そうして出てきたのは細かい違いはあるが、ほぼ俺が見たのと同じだった。

 

 

 

「コイツだアニキ・・・!間違いねぇ!」

 

 

「コレか・・・しかし今度は別の疑問が出てきたな」

 

 

 

そう言ってアニキが指で示すのは発売の開始日。

販売日は・・・7月3日*6!?

ありえねぇ!!今日の日付は7月18日だぞ!?

 

 

 

「アニキ、どうなってんだ・・・?販売されてまだ2週間も経ってねえじゃねぇか」

 

 

「あぁ・・・ほとんどのパーツメーカーは車が販売されてから、パーツ開発に着手する。しかも、事前注文があったとしても第1号車の納車には最低1ヶ月はかかる。一般の客が優先されるからな。ブレーキキットの適合確認だけでももっとかかるはずだ。しかも、お前が見たそのクルマは純正の見た目ではなかったんだろう?」

 

 

「あぁ・・・フロントのバンパーとフェンダーも形状が違ぇし、もっとサイズのあるウィングを付けてた。この純正エアロとは似ても似つかねぇ」

 

 

 

眉を顰めている姿に、どうやらアニキも珍しく困惑しているらしい。

表示される画像と記憶を比べながら内心そうごちる。

どうなってんだ?狐にでも化かされた気分だぜ。

気のせいか頭痛も出てきた。

 

 

 

「俺は秋名山の幽霊(ユーレイパンダ)の情報を本物の幽霊から聞いたってのか・・・?頭が痛くなってきたぜ・・・。悪い夢を見てる気分だ」

 

 

「・・・いや、一つだけ例外があるぞ、啓介。極めて特殊な例だがな」

 

 

「そんなのあるのかよアニキ?俺は正直夢でも見てたんじゃねぇかと思うんだが」

 

 

「これを見てみろ」

 

 

 

そう言って表示されたのはサーキットのテスト走行の動画。さっきのレガシィではないが、同じスバルのインプレッサが走っている映像だった。外装はGTウィングがついたくらいでほぼ純正*7。・・・これがなんだと言うのだろうか。

 

 

「スバルに限った話ではないが、国産の大手ブランドなら、メーカー直属のワークスチームが存在する。そしてテストを重ね、こうして限定車を発売することも往々にしてある。トヨタならTOM’S、日産ならNISMO、マツダならMAZDASPEED、三菱ならRALLY-ART。・・・そして、スバルならSTIがある」

 

 

そう言ってアニキはSTIのサイトを開いた。

 

 

 

「見てみろ。STIはインプレッサだけじゃなく、レガシィやフォレスターなどのパーツも開発している。そしてそれらは各ワークスに属するテストドライバーによって開発、改良されていく」

 

 

「いや、それは分かるけどよ・・・」

 

 

「そしてメーカー直属であるなら、通常の納車より早く試験車を手に入れ、パーツ開発やテストを行えるはずだ」

 

 

「・・・!?待ってくれアニキ!それってつまり・・・!?」

 

 

「確信ではないが・・・恐らくお前が会ったのはテストドライバーの1人なのだろう*8。試験車で来ていたのは、長期のテストで車両自体が貸し出されているという可能性*9。その合間を使って、今日の交流戦までテストついでに足を伸ばしてきた、と言ったところか*10・・・どうにも、アフターパーツのブレーキを付けていた理由の説明にはならないがな」

 

 

 

メーカー直属のワークスドライバー。それはつまり、

アイツは紛れもないプロのレーシングドライバーだと言う事になる。おにぎり齧ってやがったけど*11

 

 

 

「そうか・・・!テストでサーキットを走る機会の多いドライバーなら、サーキットでレッドサンズの名前を聞いた事があるって言ったのも頷ける!それだけのウデがあるなら神奈川エリアでも情報収集できるか・・・!」

 

 

「そうなるな・・・ギャラリーに来ると言っていたのなら、俺も実際に会って話してみたい。かなり興味がある」

 

 

「いい機会だ・・・!プロのドライバーに俺のテクニックを見せつけてやるぜ・・・!」

 

 

 

*1
啓介の想像

*2
ゲンドウポーズ

*3
あっ

*4
エアインテーク部のこと

*5
社外品です

*6
捏造

*7
S202

*8
違います

*9
ないです

*10
違います(半ギレ)

*11
ふぁふぃ?






主人公:やっと名前がでた。知らない内にカリスマにロックオンされた人。実は相当な回数サーキットを走った事があるが、別にワークスドライバーでもなんでもない。

啓介:もう1人の原作主人公。前回に引き続き登場。誰かさんの迂闊な行動で今後の強化フラグが立ち始めた。この時点でプロを意識しているのは今作のオリジナル要素。車種とか有名なパーツメーカーとかはまだまだ勉強中。

テラ子安:みんなご存知あの声。驚異的な洞察力と思考能力で主人公の背景を考察した。でも間違ってるんだ、スマンな。正直現状の情報だとこう考えるだろうな、という予想からの今回のムーブ。
原作の言動などから尋常じゃないパーツやメーカーの知識を持っていると推測出来るためか、大体の二次創作での説明役筆頭。


最後地の文で入ったインプの映像は、STIの出した動画でS202の紹介動画・・・という設定です。
パーツメーカーやメーカーワークス企業への納車優先度とかは捏造です。
同じく都合により、レガシィの販売開始月をズラしてます。


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