元福岡県議、ケア・トランポリン事業巡り資金受領か 収賄容疑で逮捕
高齢者の健康づくりの一環として福岡県が推進する「ケア・トランポリン運動」事業を巡り、運営関係者から賄賂計2800万円を受け取ったとして、県警は17日、当時福岡県議だった片岡誠二容疑者(58)を収賄容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。片岡容疑者は当時、ケア・トランポリン運動を推進するように県議会で複数回質問しており、県警は便宜供与の見返りに現金を受け取ったと判断した模様だ。
捜査関係者によると、贈賄容疑で逮捕されたのは、婦人服製造販売会社社長、鬼木義美容疑者(66)。
片岡容疑者の逮捕容疑はケア・トランポリン事業を巡り、2022年度福岡県当初予算審議の可決において便宜を図った見返りなどとして、鬼木容疑者から22年4月4日、現金2800万円を受け取ったとしている。
ケア・トランポリンは手すり付きの跳躍器具で、直径約1メートルの円形マットの上で音楽に合わせてジャンプするなどし、体幹や筋力を鍛える。運営事業者である北九州市の一般社団法人が開発した。県は19年度から「健康づくり県民運動」の一環として推進し、市町村が運営事業者に委託して健康教室を開催した際、費用を全額補助している。19~23年度の5年間で、県が支出した教室開催などの補助金は計3億8554万円に上る。
片岡容疑者は15年の県議選(中間市選挙区)で初当選し、3期目を目指した23年の県議選で落選した。
複数の関係者によると、現職時に事務局長を務めていた県スポーツ議員連盟は20年9月、予算などの議決権を持つ同僚議員向けにケア・トランポリンの体験教室を主催。片岡容疑者は翌10月、県議会決算特別委員会でケア・トランポリンについて「どのように推進するのか」と質問したり、「全県下に広め、全国に発信し、元気な高齢者が生き生きと暮らす福岡県に」と要望したりしていた。県幹部にも再三にわたり、ケア・トランポリンを広めるよう口利きをしていたという。
関係者によると、鬼木容疑者は、県警や福岡地検の任意の事情聴取に資金提供の事実を認めた上で「賄賂ではない」と説明しているという。逮捕前の毎日新聞の取材に対しては「話すことはありません」としていた。【佐藤緑平】