米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が昨年6月、ダンプカーに巻き込まれ死亡した事故で、再三のガードレール設置要請を拒んでいる県は25日、「歩道である以上、歩行者の自由な通行を妨げる施設の設置はできない」との認識を改めて示した。同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の一般質問に、県土木建築部の前川智宏部長が答えた。
事故現場では、港湾を利用する事業者側が事故前から「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」と何度も要請していた。玉城デニー知事も把握していたが、県はかたくなに設置を認めなかった。
県は今年1月になって、ガードレールではなく、ゴム製のラバーポールを設置した。だが、防衛省沖縄防衛局は「ラバーポールでは妨害行為を防止できず、事故の状況や背景を無視したものだ」と反発していた。
島袋氏はこの日、「知事も副知事も事故(発生時の状況をとらえた)映像を見もしない。何ら対策を取ろうとしない。基地反対なら反対でいいが、こうした迷惑行為をさせないためにも、最善の策を取るのが県の仕事なのに、逃げ腰の答弁をしている」と指摘した。
誰が責任を取るのかと問われた玉城知事は「事故原因は県警で捜査が進められていると承知している。道路管理者としては、管理者本人が責任を有すると認識している」と述べるにとどめた。
ガードレールの設置はできないとの答弁を繰り返す執行部に対し、議場では「事故じゃない。事件なんだよ」「安全第一。それを無視するのか」といったヤジが飛び交っていた。
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています