カスタマーレビュー

  • 2024年9月23日に日本でレビュー済み
    ピーター・ターチンの著書は歴史の連続線上にある現代を見通すうえで極めて示唆的だが、邦訳は今まで一冊しかなかった。
    「国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ」
    本書では米国が危機にあることをエリート過剰生産と大衆の困窮化に着目して描き出す。
    エリート過剰生産こそが本書のカギだ。
    これは今までの歴史理論ではあまり言及されていなかったものだ。
    大卒者の増加、弁護士の給与の二極化、選挙資金の増加などが国家崩壊を示唆する不穏な兆候であるということを歴史事例を用いて描き出す彼の手腕は見事だ。

    また、権力構造の歴史的分析も興味深い。なぜ金権政治は他の政治体制と比較して脆弱なのか、これはウクライナ、ベラルーシ、ロシアを例に比較して描かれる。

    最後に、この危機を回避する方法についても歴史的事例を紐解いて言及している。

    数理モデルを背景としているが、本書には数式は一切登場しないので、歴史と現代の米国、文明の崩壊に興味があるのであれば、ぜひ読んでほしい。
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