「ええっと……今、どんな感じだ?」
ゾンビになって気が抜けたのか、意識を失った二神姉妹を抱えて話しかける。
戦闘中の人間に話しかける訳にもいかないため、言葉の先には暇そうに立っていたデッドコピーの内の一人がいた。
「
「へぇ、お前は参加しなくていいのか?」
「…………
「あっ、そうなのか。悪い悪い」
ぼーっとしてそうに見えて、働いていたのか。
見てるだけで良いのかとも思ったが、デッドコピー同士はネットワークが繋がっていた事を思い出す。
「
「ありがとうな。デッドコピーの……えーっと」
「九〇〇四号でございます」
「ありがとう、九〇〇四号」
戦況は面白いくらいにこちらが有利だった。
転生者のほとんどが天使によって狩られるのは分かるが、
「──
「ナチュラルに思考を読むんじゃねぇよ、ジェンマ」
すぐ隣に
……そういや、この人って俺の母さんの弟子なんだよな。戦いが終わってからで良いが、少し話を聞いてみたい。
「六道伊吹くんは世界強度って聞いた事あるっすか?」
「矛盾した異能同士がぶつかり合うと、強度が高い方の世界観が優先されるってヤツだよな」
確か、俺の異能が魂を破壊できたり
「そうっす。異能は強度が高い方が優先される。つまり、世界強度が
「……それが?」
「分からないっすか?
「そうか! じゃああそこにいるルーアハやフラン=シェリー・サンクチュアリも──」
「
逆に言えば、俺が魂を破壊したヤツ以外はハリボテじゃない普通に蘇生した人間なんだろう。
死んだと思った人々が生き返り、こんな
「じゃあ、六道伊吹くんはこれからどうするっすか?」
「────これから?」
何を聞きたいのか、なんとなく分かっている。
だけど、聞き返す。その事から、目を背ける。
「惚ける必要は無いっすよ。既にプロファイルは完了してるっすからね。六道伊吹くんはパーフェクトゲーム以外認めない性格っすよね」
「……まぁ、な」
「一〇〇点しか認めない。一点欠けるくらいなら、全部〇点にしてやる。そういう人っすよ、六道伊吹くんは」
「………………、」
「なら、分かるっすよね? みんな生き返って
言われるまでもない。
俺だって、よく分かっている。
「
ぐっ、と無意識に拳を握り込む。
「天命機関としては、助けに行っていいのか?」
「ダメっすね。けど、今回の〈
「…………、」
「それに、六道伊吹くんは世界に認められるか否かで行動を変える人間じゃないっすよね? 本当はどうしたいんすか?」
「どう、したいんだろうな……」
俺らしくない曖昧な言葉が出た。
まだ、心の整理がつかない。
俺の両親の仇である彼女と、どう向き合えばいいのか分からない。
「まぁ、いいんじゃないっすか? 迷っても」
「そう、かな……」
「ただ、このまま行けばディートリンデちゃんがまた不死身になるのは確実だと思うっすよ。どーせ、メアちゃんもそこにいると思うっす」
「そうか……それは、許せないな」
折手メアをどうするかはまだ決められない。
だけど、ディートリヒの生存は許せないと思った。
今は、それだけでいい。アイツの事は後から考えれば良い。
「ハリボテとは言えこっちには第二位と第三位がいるっすからね、天命機関から加勢はできないっすよ? アドレイドちゃんを呼ぶっすか?」
「いや、いい。俺だけで行く。……これは、俺がケリをつけるべき事だ」
ディートリヒを殺しに行く。
そして、そこで誰が待ち受けるかなんて分かりきっていた。
「終わった……ので、あるか?」
「ああ、全部終わったよ」
地面に、肉片の花が咲く。
血溜まりの中心に、九相霧黎は一人で立つ。
折手メアは、完全に沈黙した。
その肉体はもはや原型も留めていない。
「……気を付けろォ。ヤツならば復活しても不思議ではないのである」
と、ディートリンデは説得力のある言葉を吐く。
「そうか。なら、まずはそちらの対処から行おう。────
「
むくり、と腹に大穴を開けた
中からは機械のような配線が見え、所々寸断されている箇所が火花が散っている。それでも、彼は顔色ひとつ変える事はなかった。
「折手メアの復活を阻止したい。どうにか出来ないか……?」
「──申し訳ございません。
「……何?」
それは、初めて聞く返答だった。
何でも買えるはずの《
「
「…………はは」
九相霧黎の口から苦笑が漏れる。
それは、あまりにも
「例えば、あなたが折手メアの蘇生を販売する事はないのかい?」
「不可能でございます。当店に販売できないものなど無いと豪語してはおりますが、結局の所それは
「……?」
「
《
基本的に、このランクを上回る強度の世界観など存在しない。一方で、例外が三つ存在する。
一つ、
二つ、六道伊吹。
世界強度が
例えば、六道伊吹の《
三つ、
折手メアのステータスはE〜EXランクと非常に不安定であり、その場の気分によってランクが変動する。
基本的には問題ないが、EXランク時の折手メアの攻撃で死亡した人間は蘇生する事ができない。
「お客様は世界強度がEXランクの《
「……なるほどな。
折手メアの自業自得。
結局は、そこへ至る。
蘇生は不可能とは言っても、折手メアも
しかし、すぐに戦線復帰する事はない。折手メアは魂が既に存在している肉体に入る事ができる憑依転生者ではないため、魂が存在せず相性の良い肉体が新たに発生するまで、輪廻にも帰れず魂は待機しているだろう。
そして、たとえ相性の良い肉体がすぐさま発生したのだとしても、その体は赤子のものだ。彼女がこの場に駆けつける事はできず、遠隔からどうにかする事もできない。
そうして九相霧黎が第五摂理を手に入れれば、彼女はまた
いや、誰が第五摂理を獲得しようが関係ない。あと数十分で、彼女はこの世界から退場する。
「〈
「そうか。次でラスト……次の戦いに勝利した者が、第五摂理を受け継ぐか」
そして、対戦相手は聞くまでもない。
当然、思い浮かべる人間は一人しかいなかった。
「行くぜ───後輩」
「来るか───センパイ」
────
「生存者リスト」
▽天命機関
ブレンダ
ジェンマ
ロドリゴ
レオンハルト
ファウスト
イヴリン
etc
▽転生者
六道伊吹
アドレイド・アブソリュート
二神双葉
三瀬春夏冬
九相霧黎
ディートリンデ
フラン=シェリー・サンクチュアリ
ルーアハ
折手メア
《
▽一般人
栗栖椎菜
デッドコピー×20000
二神妹
次回こそ第三章後編。
5話くらいなので急いで書きます。