最後の番外編。
あるいは、最初の番外編。
白。
つまり、世界の終わり。
その
色彩豊かな世界が砕け散った後に、残るモノ。
地平線すら存在しない永劫に続く白の世界。
此処には何もない。
縦も横も、過去も未来も、何もかも。
あらゆる概念が吹き飛んだ、世界の空隙。
彼女が目覚めただけで、世界はこうなった。
「よう、クソ野郎。テメェがこの
「────わお、おどろいた」
寝ぼけ眼を擦って、白色光に輝く童女は目を見張る。
そう、
「はじめまして、りくどういぶき────
そこには二重の驚愕が隠されていた。
第一に、先程まで眠っていたはずの童女が六道伊吹のことを知り得ている事実。
しかし、これはそこまで驚くべき事実ではない。アリス・アウターランドとは世界最強にして文字通りの全能者。
だから、注目すべきは第二の驚愕。
この白き空隙に過去も未来も存在しない。
アリス・アウターランドは度重なるループの全てを記憶している。そんなアリス・アウターランドが、この
「──折手メアは、死んだよ」
六道伊吹は目を伏せて語る。
諸悪の根源、折手メア。彼女の死に様を。
「自分の所業を後悔して、少しでも俺に報いようと必死に努力して。それでも、まるで普通の少女みたいに、あっけなく世界の終わりに巻き込まれて死んだ」
「…………ざんねん、ね」
「みんな死んだ。俺を助けて、俺がテメェに辿り着けると信じて死んだ。アドレイドも、ブレンダも、椎菜も、ジェンマも、イヴリンも、真尋も、サササッチも。ロドリゴも、レオンハルトも、二神姉妹も、顔も名前も知らない赤の他人すらも! 俺に全てを託して死んでいった‼︎」
「……そう。かわいそう」
「────ッッッ‼︎‼︎‼︎」
童女はあくびをしながら、どうでも良さそうに言った。
それは、仕方がない事なのかもしれない。人間が足元を這う蟻に気を使わないように、
でも、それでも。
六道伊吹には目の前の童女が許せそうにはなかった。
全てを託された少年にはその権利がある。
その想いはもはや文章にはならなかった。
血反吐を吐くように、六道伊吹は告げる。
「──
その叫びは大言壮語ではない。
事実として、この六道伊吹には功績がある。
第二位、ルーアハ。
第三位、フラン=シェリー・サンクチュアリ。
第四位、ディートリヒ・フォン・エルケーニッヒ。
第五位、クシャナ。
第六位、
第一位と番外位を除く
そう、
六道伊吹の手にさえ触れれば殺せないモノなんて存在しない。
────
「
ごきゃッッッ‼︎‼︎‼︎ と。
六道伊吹の視界が真っ赤に染まる。
アリス・アウターランドは何もしなかった。
何かする必要さえ、なかった。
六道伊吹が走り出した、直後。
「な、にが……ッ⁉︎」
「
粒子一つ一つが異なる異能。
それは童女自身にすら把握できていない、彼女の権能の一つ。
たった一歩。
それが六道伊吹の進んだ距離。
全人類と世界全てを犠牲にして成し遂げた決死の反撃──その、どうしようもない
「──もしかして、イノウをはつどうできたら、なんておもってる? なら、どうぞ」
そして、アリス・アウターランドは畳み掛ける。
無駄な足掻きを、無駄な反抗心を摘み取る。
童女は俺に手を差し伸べる。まるで、異能を使ってみろとでも挑発するように。
「
「ッッッ、《
バキィィッッッ‼︎‼︎‼︎ と。
ガラスを踏み砕くような音が響く。
────
「
「…………………………………………は?」
発動できなかった訳じゃない。
無効化された訳でもない。
間違いなく効いた。その上で、童女の魂を破壊するには至らなかった。
魂を水晶玉とすると、《
勢い良く振り下ろす事で、対象の魂を破壊する。
だが、アリス・アウターランドの魂は常人からかけ離れていた。
六道伊吹には想像できなかった。
「
「シツリョウ。おもしろいヒユね」
魂に質量はない。
しかし、類似した概念は存在する。
六道伊吹が一度の異能発動で破壊できるのは一人分の魂のみ。
事実、憑依転生者であり二人分の魂が融合していたディートリヒを取り逃がした事がある。
その時と同じ。
アリス・アウターランドは殺せない。
六道伊吹では、
「さよなら、りくどういぶき。ツギにあうのは、いつかしら」
「アリスッ、アウターランド……っ‼︎」
もはや感知し切れない膨大な異能によって押し潰される。
最期の最後に俺が口にできたのは、どうしようもない負け惜しみだった。
「──いつか、テメェをブチ殺してやる‼︎」
「……そう。キタイしないで、まっているわ」
▽分岐点??.?『?????』を選択?
まぁ、経緯なんてどうでもいい。多くの犠牲を払って、俺はアリス・アウターランドまで辿り着いた。だが、行けたのはそこまでだった。
▽本ルートの結末
俺はアリス・アウターランドに殺された。俺じゃアリス・アウターランドは殺せなかった。
▽攻略のヒント
だから、後は任せたぜ。