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ドイツ、保守野党が政権復帰へ 総選挙で極右AfDは第2党

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岩間陽子さん他3名の投稿岩間陽子白井さゆり鈴木一人

【ベルリン=南毅郎】ドイツ総選挙が23日投開票された。暫定の開票結果によると、最大野党の保守陣営「キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)」が首位を確実にした。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進し、ショルツ首相が率いる与党の中道左派ドイツ社会民主党(SPD)は大敗した。

「苦い選挙結果だ」。最初の開票予測が伝わった23日夜、ショルツ氏は支持者らを前に早々にSPDの敗北を認めた。第1党を獲得したCDUのメルツ党首は「選挙に勝利した!」と喜びを語り、次期政権の早期樹立に意欲を示した。当面はショルツ氏が暫定的に職務にあたる。

暫定の開票結果によると、政党別の得票率は、メルケル前首相がかつて率いたCDU・CSUが28.6%と前回2021年から4.4ポイント伸ばした。反移民などを掲げるワイデル共同党首のAfDは得票率を倍増させ、20.8%を確保した。

与党はSPDが前回から9.3ポイント落ち込み、第2次世界大戦後で最低の16.4%に沈んだ。連立を組む環境政党「緑の党」は11.6%で3.1ポイント減だった。

予算協議を巡る対立で連立政権を抜け出した自由民主党(FDP)は4.3%で、選挙で決められた議席獲得に必要な5%の条件に届かなかった。

単独過半数に届く政党がなかったため、CDU・CSUが政権を握るには連立相手が必要になる。CDUのメルツ氏はAfDとの協力を全面的に否定しており、現時点ではSPDとの「大連立」が有力視される。

国民の関心も高かった。公共放送ARDは23日投開票のドイツ総選挙に関し、投票率が84%になる見通しだと報じた。2021年の前回から7ポイント超上昇し、1990年に東西ドイツが統一してから最も高い水準になったもようだ。

主な争点は移民対策や経済政策に集中した。不法移民による民間人を狙った襲撃事件が頻発し、国民の間で反移民感情が高まった。移民排斥を前面に押し出すAfDが不満の受け皿となった。2年連続でマイナス成長となった経済への不満もAfDを後押しした。

前回2021年の総選挙で盛り上がった気候変動対策は大きな争点にならなかった。ロシアの侵略が長引くなか、米国が停戦交渉を探るウクライナへの関心も急低下した。

今回の総選挙は日本の衆議院にあたる連邦議会(下院)の議員を選んだ。予算協議の破談でショルツ連立政権が24年11月に瓦解し、異例の前倒し選挙が決まった。任期途中の解散総選挙としては、シュレーダー政権の05年以来およそ20年ぶりだった。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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  • 岩間陽子のアバター
    岩間陽子政策研究大学院大学 政策研究科 教授
    分析・考察

    今日の未明から開票速報が入り続けていますが、おそらくCDU/CSUとSPDの大連立の方向でしょう。開票の夜のテレビ党首討論会で、次期首相になるメルツ氏は、「絶対的な優先事項」は欧州の力を合わせて防衛を立て直し、米国から独立できるようにすることだと述べました。大連立になるであろうことは織り込み済みで、既に両党間では話し合いが進んでいると思います。ヨーロッパ情勢は一刻の猶予もならない状況なので、メルツ氏の真価が問われる瞬間です。何度もメルケル首相に敗れて悔しい思いをしてきたメルツ氏が、メルケル時代の負の遺産を清算して新しいヨーロッパへと踏み出せるか。日本は自分のためにも支援をしなければなりません。

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  • 白井さゆりのアバター
    白井さゆり慶應義塾大学総合政策学部 教授
    ひとこと解説

    事前の予想どおり、CDU/CSUが第1党となりそうです。SPDと連立を組んで昨年末の課題であった財政規律を緩和する対応を早急に実施するとみられます。昨年末SPDが率いる3党連立政権が崩壊した最大の理由は、財政赤字をGDPの0.35%に抑える厳しい閾値を充たせない可能性が高まり、支出の拡大を容認しようとして連立政権内で合意できなかったことが背景にあります。トランプ政権になってウクライナ軍事支援のためにドイツが国防費をGDPの3.6%まで大幅に拡大することは不可避な状態なので、まずはこれに取り組むことになりそうです。ドイツの政府債務はGDPの60%台と各段に低く、財政拡大の余地があることは明白です

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  • 鈴木一人のアバター
    鈴木一人東京大学 公共政策大学院 教授
    分析・考察

    最終的な結果を見てみないとわからないが、おそらく大連立しか選択肢はなさそうだ。FDPが5%に達しないということは想定内ではあるが、やはり驚き。左翼党が意外に後半盛り返してきたあたりが興味深いが、その結果、BSWが票を食われた格好になっているのかもしれない。なんにしても、今回の選挙で一番驚いたのは投票率が84%という高さだったこと。

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  • 中北浩爾のアバター
    中北浩爾中央大学法学部 教授
    ひとこと解説

    ドイツ社会民主党(SPD)が第三党に転落するならば、第二次世界大戦後、初めてのことで、歴史的なことです。ドイツは長年「穏健な多党制」とみなされてきましたが、主要政党が3党から6党に増えるとともに、今回、CDU /CSUとSPDの2大政党という地位も崩れてきていることが露呈しました。小選挙区をとるイギリスでも、2大政党の得票率は低下しており、かつて強固な社会構造に支えられていた西欧諸国の政党システムは、揺らぎが顕著です。特に社会民主主義政党は苦しい。

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