小林製薬 臨時株主総会 香港投資ファンドが提案の2議案は否決

小林製薬の臨時の株主総会が大阪市内で開かれ、紅麹の成分を含むサプリメントをめぐる一連の問題を受けて、株式の10%余りを保有する香港の投資ファンドが提案した、問題の再調査と新しい社外取締役の選任を求める議案は、反対多数でいずれも否決されました。

小林製薬をめぐっては、積極的な経営改革を求める「アクティビスト=物言う株主」として知られる香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」が株式の10%余りを保有し、紅麹の成分を含むサプリメントをめぐる一連の問題の再調査を行う独立性が担保された担当者の選任と、新たに、弁護士や医師出身の社外取締役3人の選任を求めていました。

この株主提案を諮る臨時の株主総会が午前10時から開かれ、ファンド側は、「創業家は、健康被害を認識していたにもかかわらず、直ちに公表せず、回収しなかった。ガバナンスを改善し、今回のような事例を起こさない体制を構築するべきだ」と述べました。

これに対して会社側は、「企業風土にまで踏み込んだ再発防止策を示している。補償などが本格化し、新しい経営体制のもとで取り組んでいる」などとして、ファンド側の提案に反対する立場を示しました。

続いて質疑が行われ、株主から、「創業家依存から脱却できているか」と問われたのに対して、山根聡社長は、「創業家に依存する経営はしていない」などと応じていました。

採決の結果、ファンド側が提案した2つの議案は、いずれも反対が7割余りとなって否決され、株主総会は、およそ1時間40分で終了しました。

投資ファンド「数日のうちに見解」

株主提案が否決されたことについて、「オアシス・マネジメント」のフィリップ・メイヤー共同最高執行責任者は、臨時株主総会の終了後、記者団に対し、「重要な株主提案に対する国内外の投資家の支援に感謝している。数日のうちに、きょうの結果についての当社の見解を伝えたい」と述べました。

小林製薬「会社側の考えに賛同いただけた」

一方、小林製薬広報部の上之原篤志部長は、記者団に対して、「創業家と、一定の親族関係のある人で、会社の株式全体のおよそ3割を保有していると認識しているが、今回の株主提案については、反対が7割を超えた。会社側の考えに賛同いただけたと感じている。今後も株主からの信頼を得たい」と述べました。

株主“結果に驚き” “不安を感じる”

臨時株主総会で株主提案が否決されたことについて、大阪市の60代の男性は、「結果に驚きました。『創業家をこのまま残すのはいかがなものか』という質問も出ていたが、そういった意見は通らなかったのかと、残念に思っています」と話していました。

大阪 高槻市の50代の男性は、「否決は予想どおりだったが、これでいいとは思わない。創業家出身の前会長が特別顧問を続けるという話もあったが、それでは院政と変わらない。このままで会社がよくなるのか、不安を感じる株主総会だった」と話していました。

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