九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は安全性に問題があるとして、住民ら約3000人が九電と国に運転差し止めなどを求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)は21日、住民側の請求を棄却した。
川内原発1、2号機は、それぞれ1984年と85年に営業運転を開始。2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて運転を停止したが、14年に新規制基準の適合性審査に全国の原発で初めて合格し、15年に再稼働した。住民側は再稼働前の12年5月に今回の訴訟を起こし、耐震設計の目安となる基準地震動(想定される地震の揺れの最大値)の妥当性や、火山噴火に対する安全対策などが主な争点だった。
住民側は訴訟で、九電が設定した基準地震動は過小で、想定を上回る地震が起きる可能性があることから「耐震安全性を備えているとは評価できない」と指摘。川内原発の周辺には火山活動が活発な桜島や、破局的噴火を起こす可能性のあるカルデラ火山が点在しており、巨大噴火が起こると致命的な影響を受ける恐れがあると訴えた。
一方、九電や国は、基準地震動の設定は妥当だとし、「最新の科学的・技術的な知見を踏まえた耐震設計によって安全性が確保されている」と反論。火山についても「原発の運用期間中に破局的噴火を起こす可能性は十分小さい」とし、住民側の請求を退けるよう求めていた。【取違剛】
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