疾風に一目惚れするのは間違っているだろうか


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作:如月皐月樹
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10:ベル・クラネルの現在地


「甘い」

 

「ぶべっ!?」

 

「ぬるい」

 

「ごぱっ!?」

 

「稚拙だ」

 

「ふぎゃっ!?」

 

「もっとよく考えなさい、クラネルさん。一瞬一瞬の反応は悪くないですが、もっと先のことを予測するように。でないと、こうなります」

 

「ふがっ!?」

 

「……そうです。言えばすぐ修正するあたりは流石ですが、自分で考えて自分で直せるようにしてください。それぐらい貴方ならばできるはず。さあ、もう一度」

 

「こんのぉおおおお!」

 

「ほら、また右腕が上がる癖が出てます。……いえ、今のはわざとですか。いいですよクラネルさん。その調子です」

 

「はい!」

 

 斬りかかり、蹴りかかり、魔法を撃つ。

 神様のナイフと短刀の二刀流、速攻魔法も含めれば三刀流で攻め入り、全てを防がれ躱され迎撃されては吹き飛ばされて、すぐまた斬りかかる。

 

 そろそろ二週間が経ち、【アストレア・ファミリア】内ではおなじみとなり始めた『星屑の庭』での早朝の二人の訓練の光景。

 その様子をアリーゼはベランダに座って、にこにこと笑顔で眺めていた。

 

「毎回毎回違った攻防が繰り広げられて、見てて飽きないわねぇお弟子君。結局最後はいつも同じだけど。あ、また吹き飛ばされた」

 

 そう呟く間にも「ぶべらっ!?」と奇声を発しながら、ベルはリューに蹴り飛ばされていた。

 

「ステイタスも色々とおかしいけど、それはあのアルフィアも似たようなものだったらしいし……成長が早いっていうのも、ステイタスだけじゃないし」

 

 第一級冒険者の目から見れば、ベルの動きは止まって見える。

 故にこそ、ベルのこの短期間での成長も手に取るようにわかる。

 

 未だに未熟さは残るものの、ベルの『駆け引き』は様になってきていた。

 なんなら、仮にレベルが同じであったらリューが危うくなるような場面も、一、二回出始めている。

 

 それでもまだ、リューとベルの経験や技量、戦略、戦術の差は歴然だ。

 同じレベルだったとしても、リューが勝つのは必然だろう。

 アリーゼ自身を含め、あの過酷な暗黒期を過ごし、二年間だけだったとはいえアルフィアに鍛錬をつけられたのだから、それぐらいの差があって当たり前。

 同じようにアルフィアに修行をつけてもらっていたベルには悪いが、それはさもありなん。

 

「それ込みでも異常なくらいだけど……お弟子君のこと見てると、私もあれに混ざりたくなっちゃうわね」

 

 こうも分かりやすく成長する姿を見ると、アリーゼもベルのことを鍛えてみたくもなる。

 アルフィアもそんな気持ちだったのかなぁ、なんてアリーゼが想像していると、耳ざとく聞いてたのか、エルフの長い耳をぴくっと動かしたリューが、ベルの相手を片手間にアリーゼに話しかけてきた。

 

「アリーゼ、貴女もそう思うのでしたら私と一緒にクラネルさんの相手をしてください。今のクラネルさんであれば、貴女と二人がかりでも十分に戦えるでしょう」

 

「え? いいの、リオン? 私がお弟子君との大切な時間に混ざっても?」

 

「ええ。言い方は気になりますが、構いません。ほらクラネルさん、また隙です」

 

「ごべあっ!? ってリューさん!? そんなことされたら僕死んじゃいますって!? アリーゼさんはレベル6なんですから!!」

 

「問題ありませんクラネルさん。貴方なら私達二人を相手にとれる。ほら、早くかかってきなさいクラネルさん。来ないなら私から行きます。アリーゼも、悩んでないで木剣を取ってきてください」

 

「わかったわリオン! すぐ取ってくる!」

 

「あ、アリーゼさん!? ちょっと待ってください! 本当に僕死んじゃいますから! って戻って来るのはやっ!? ちょ、まっ、レベル1相手にレベル4とレベル6の二人がかりなんて……あああああ──!!」

 

 哀れ、子兎。

 その気になったアリーゼも稽古に参戦し、その日の稽古ではいつにも増してぼろぼろのボロ雑巾にベルは変えられた。

 

 

 

「──今日はここまでですクラネルさん。あとで回復魔法をかけますので、今はゆっくり休んでいてください」

 

「ぶ、ぶぁい……りゅーざん。だおる、ありがどうございまず」

 

 いつにも増して疲れたと、皺枯れた声になり息も絶え絶えなベル。

 そのベルとは対照的に、リューはいつも通りの冷ややかな表情でベルにタオルを渡す。

 アリーゼは少し物足りないといった顔だ。

 恐らくは早くランクアップしてくれないかなぁとか、内心では思ってるに違いない。

 それもまぁ、仕方のないことではあるが。

 

 確かにベルのステイタスの成長速度は異常で、既に全てのアビリティ評価がSSSなんて訳の分からない事になっていて、いつランクアップしてもおかしくないのだ。

 だがヘスティアは頑なにランクアップはできないと言っており、それはベルも疑問に思ってることだった。

 そもそもレベル6の第一級冒険者が、レベル1の下級冒険者相手に、一度ランクアップしてレベル2になった程度で何を期待するのだとは思うのだが。

 

 そんなことを考えながらベルは大地に大の字で寝っ転がって荒い呼吸を繰り返し、タオルで顔を拭いていると、輝夜がその場に姿を現した。

 ──いつも通り、下着姿で。

 

「あら兎様。いつもより大分疲れたご様子ですが、その様子だと団長様とそこのポンコツエルフの二人にお相手してもらったのですか? なんともまぁ羨ましい限りですねぇ。年上の美人な女性二人にタダでお相手してもらえるなど、大金を払ったところでなかなか経験できることではいというのに。これはポンコツエルフの弟子になった甲斐がある、といったところでしょうなぁ」

 

「が、がぐやざん……べんないいがだ、じないでぐだざい。だじがに、でじになっだがいばありまずげど……りゅーざんば、ぼんごづじゃないでずじ。あど、いいがげん慣れまじだが、ぢゃんどぶぐをぎでぐだざい」

 

「おやおや、流石に見せ過ぎましたか。最初の頃はあの初心な反応が面白かったのに……では今度からは時々、不意打ちで見せることとしましょうか」

 

「ぞういうごどじゃないでず、がぐやざん。がらがわないでぐだざい。あど、いまば、ぞんな余裕もないだげでず」

 

 クスクスと口元に手を当て笑う輝夜に、初めて彼女の下着姿を見た時のような反応はせず、ベルは顔だけ起こして輝夜と話す。

 ベルが言った通り、今はそんな余裕もないだけだが、それでも既にベルはこの短期間で輝夜の下着姿に慣れてしまった。

 

 有り得ない話だが、これがもし仮にリューなどであったらその限りではない。

 だがあまりにも恥じらう様を見せず、あまつさえわざと見せつけてくるような輝夜相手では、いくらベルが純情少年だからといって、慣れてしまったというのも分からない話ではない。

 

 そんなやりとりをベルと輝夜がしていたが、そこに口を挟む妖精が一人。

 

「輝夜、クラネルさんのおっしゃる通りです。彼は毎日のようにここに来ているのですから、いい加減に服をちゃんと着てから降りてくるよう、習慣を改めてください。アストレア様にも言われているでしょう? それにクラネルさんの目に毒だ。教育にも悪い」

 

「おや、ポンコツエルフが一端の師匠を気取っているようですが、(わたくし)の気のせいでございましょうか? 『毒』という言葉を使ったのは、(わたくし)への挑発と受け取ってもよろしいので?」

 

 なにやら剣呑な会話を始めた二人を見て、ようやく呼吸が落ち着き体を起こしたベルがアリーゼに「大丈夫なんですか?」と声をかける。

 しかしアリーゼは「大丈夫よ。この前も言ったけど、こういうやり取りを見るのは久しぶりなの。昔は本当にしょっちゅう言い争いをしてたんだもの。しばらく見守ってましょ」と言い、笑顔でベルの横に座った。

 アリーゼに言われた通り、ベルはらはらとした面持ちで、アリーゼと一緒にリューと輝夜の二人を見守る。

 

「輝夜、正真正銘私はクラネルさんの師匠なのですから、気取ってなどいません。それに私はポンコツでもありません。目に毒といったのは、別にそういった意味ではありませんし、ただの比喩です」

 

「本当にそうなのですか? てっきりレベルに差が開いてから(わたくし)に模擬戦で勝てない当てつけに、簡単な口撃をしてきたのかと思ったのですが、違ったので?」

 

「ええ、違いますとも。なぜ私が貴女を挑発するような真似をしなければならないのです? それこそ私に教えていただけませんか?」

 

「それこそ(わたくし)の平静を乱し、その隙に、といったところでしょうか。だとしても、二つもレベル差があるのですから、(わたくし)が勝つでしょうが」

 

「確かに、私は輝夜が心を取り乱した程度では勝てはしないでしょう……ですが、今はそんな事などどうでもいいのです。貴女の格好の話をしているのですから」

 

「はぁ、あの口で(わたくし)に勝てなかった糞雑魚妖精様が、なんとも言うようになりましたね」

 

「私は糞雑魚などではありません。輝夜と比べれば確かに弱いですが、それでもレベル4の第二級冒険者なのですから。オラリオの第一級冒険者以外に、(おく)れを取るつもりはありません」

 

「それで? その第二級冒険者様が、後れを取っている第一級冒険者の(わたくし)に、いったいどうしろと言うのですか?」

 

「単純に、毎朝ちゃんと服を着てから部屋を出て欲しいと、そう言っているのです。いったいいつまでその癖を放置するつもりなのですか、輝夜? 貴女ももう二十四になるのですから、いい加減にそのような脱ぎ癖は改めていただきたい。嫁の貰い手がなくなりますよ?」

 

「そんなもの、(わたくし)が死ぬその時までに決まってるでしょう? 何を分かりきったことをおっしゃるのやら、この妖精様は。それに、貴女様のようなポンコツエルフに嫁ぎ先を心配されるのは心外です。どうやら初めて貴女様の手を取れる殿方が現れたようですが、その殿方の義母はあのアルフィア。あの女王がそこの兎様を貴女様のような糞雑魚にやるとお思いなので?」

 

 なにやらおかしくなってきた会話の方向性。

 その矛先を向けられたベルはというと、表情をさっきまでのはらはらとしたものから、一転真っ赤に染めて「お義母さん……」と呟いた。

 なんだか嫌な予感もするが、きっと気のせいだろう。そう思いたい。

 

 輝夜は図らずもベルを揶揄うことに成功しているのだが、今の彼女はリューとの言い争いに夢中で気付かない。

 アリーゼは相変わらずにこにこと笑って二人を見ており、彼女達の会話を止める気もない。

 なおも言い争いは続く。

 

「私のことはどうだっていいのです。こんな私をクラネルさんも伴侶などにしたくはないでしょうし、なによりクラネルさんの将来の伴侶は既にシルと決まっています。私が彼に手を出すことはありません」

 

「これだからこのポンコツは……」

 

 やっぱりとんでもないことを言うリューに、さっきの嫌な予感が的中したベルは「そんなぁ」と今度は一気に顔を青くしてしょげる。

 隣に座るアリーゼがチラッとベルの方を見て「これは……」と何かに気付いたような気もするが、きっとこれもベルの気のせいだろう。

 そんなベルの様子にリューと輝夜は気付くはずもなく、そして二人の会話を止める者もまたおらず、まだまだ言い争いは続く。

 

「だから私はポンコツなどではありません。いったい何度、私に否定させるのですか? それに輝夜の方からアルフィアの名前を出すのであれば、貴女の方こそ気付かなくてはならないことがあるのでは?」

 

「いったい何に(わたくし)が気付かないといけないのでしょう? 弟子の気持ちにも気付かないようなポンコツエルフに、(わたくし)が気付かされるようなことが果たしてあるのでしょうか?」

 

 やっぱりさっきのは気のせいではなかったようだ。

 だって輝夜にもバレているのだもの、とベルは再び顔を赤く染める。

 なにやら若干微笑んでいるように見える輝夜に直接言われたリューはというと、ただ眉根を寄せただけだった。

 

「なぜクラネルさんの気持ちが出てくるのかはわかりませんが……気付いていないようなので、教えて差し上げます」

 

「ええ、どうか愚かな(わたくし)に教えてくださいませ、ポンコツエルフ」

 

「だから何度も否定させないで下さい。はぁ、もう一々否定するのも疲れました。……輝夜、もし貴女がクラネルさんの前に下着姿で現れているとあのアルフィアにバレでもしたら、いったい貴女はどうするのですか?」

 

「ちっ、やはり気付いていたか」

 

「なんなのですか貴女は? 自分で気付いていたのなら、わざわざ私に言わせる必要などなかったではないですか」

 

「そんな単純なことにこの(わたくし)が気付かない筈がないでしょう? (わたくし)は貴女様の頭が正常に働いているのかを確かめたかっただけなので」

 

「なんなのですかその言い草は? 同じ【ファミリア】の仲間でもう何年も一緒に暮らしているとはいえ、その言い方は流石に失礼かと。寧ろ輝夜の方の頭が正常に働いてないのではありませんか?」

 

「ほう、言うではないか糞雑魚妖精。よし、その喧嘩、言い値で買ってやる」

 

「別に私は喧嘩など売っていません。単純に貴女の頭を心配しているだけなのですが」

 

「それを喧嘩を売っているというのだ、馬鹿者が」

 

 今度は隠しようもないぐらい、明確に好戦的な笑みを浮かべている輝夜。

 そんな輝夜の笑っている姿を見て、ますますリューは輝夜の頭が心配になってくる。

 

 またこの言い争いが始まった時のように、剣呑な空気になったのを察知したベルは、またはらはらと不安な顔をした。

 そしてそしてこれまたやっぱりというか、アリーゼはにこにことずっと笑顔のまま。

 

 そんなアリーゼにベルは「と、止めてくださいアリーゼさん!」とお願いした。

 しかしアリーゼは「えー、このままの方が面白そうだし、私は止めたくないなぁ。怪我するのもやだし」と返してベルを絶句させた。

 第二級冒険者と第一級冒険者の喧嘩など洒落にならない。

 それもレベル6のアリーゼが怪我をするほどのものとなれば、尚更洒落にならない。

 

 最悪の場合、レベル1でこの中で最弱の自分が二人を止めるしかないかと、ベルが悲壮な覚悟を決めた時だった。

 救世主もとい救世神、彼女達の主神アストレアがそこへ顔を出していた。

 

「はいはい、二人とも。仲が良いのは嬉しいのだけれど、ベルが悲壮な覚悟を決めたような顔をしているし、そろそろ朝食の時間だからそのぐらいにして頂戴。ライラと私で準備も終えたし、ライラもずっと待ってるのよ」

 

 アストレアがリューと輝夜を止めるように出てくると、彼女の後ろに続いてライラも姿を現した。

 ライラはなんだか久しぶりにこんな光景を見たなぁと、呆れたような口調で言う。

 

「そうだぞ、そこの馬鹿二人。いったいいつまであたしを待たせる気なんだよ。料理だって冷めちまうだろ」

 

「私は馬鹿でもありません。ライラ、訂正を願います」

 

「そうだぞライラ。そこの糞雑魚妖精と同意見なのは癪だが、私も馬鹿ではない。訂正して謝罪しろ」

 

「そんなこと言う奴らには馬鹿呼ばわりがお似合いなんだよ、馬鹿二人」

 

「「馬鹿二人とはなんですか(だ)」」

 

「やっぱりあなたたちは仲が良いわね」

 

 そんな、嘗てよくやっていたというやり取りを終え、リューと輝夜もこれ以上みんなを待たせるのは忍びないと、ようやくそこで矛を置いた。

 そしてアリーゼとほぼ同時に立ち上がったベルに、アストレアが聞く。

 

「ベル、今日はこっちで朝食を食べていくの? それとも酒場のシルちゃんからお弁当を貰うのかしら?」

 

「えっと、シルさんはここしばらくは酒場をお休みしているそうなので、朝食はここでご一緒させてもらいます」

 

「そう。なら手を洗ってきたら? リューとアリーゼもベルと一緒に行きなさい」

 

「わかりました、アストレア様! お弟子君、行こっか。場所はもう知ってるだろうけど」

 

「そうですね、アリーゼさん。リューさんも行きましょう」

 

「ええ、クラネルさん」

 

 三人で一緒に手を洗いに行き、朝食の席に着く。

 全員で食前の挨拶をし少しお腹に入れたところで、ベルは先日あった【ソーマ・ファミリア】での出来事を話題にあげた。

 

「それにしても……この前のリリはかっこよかったですね、リューさん」

 

「そうですね、クラネルさん。本物の神酒(ソーマ)を飲み、あそこまでの啖呵を切ってみせたのですから……あんな姿を見せられては、流石の私もアーデさんを許しますとも」

 

「なになに、お弟子君とリオンだけが知ってる話? あのパルゥムちゃん──リリちゃんだっけ? その子のこと?」

 

「ええ、そうですアリーゼ。アリーゼ達は物証の取り押さえで、あの場にはいませんでしたので」

 

 そうやって、一週間ほど前にあった出来事を、ベルとリューが()わる()わる話し出す。

 

「ほら、リリにも協力してもらって【ソーマ・ファミリア】の摘発をしたじゃないですか。それでその時、リリと僕とリューさんの三人でソーマ様の神室に行ったんです。リリの改宗をお願いしに」

 

「はい。それで、いくら探しても居なかった【酒守(ガンダルヴァ)】が実はそこにいまして、アーデさんに神酒(ソーマ)を選別だと言って飲ませようとしたのですが」

 

「あれ絶対に選別なんかじゃなかったですよね。馬鹿な僕にだってわかりましたもん。あれをリリに飲ませて、改宗なんて考えさせないようにしようとしたんだと思うんですけど」

 

「それには私も同意ですクラネルさん。その時は私もアーデさんに、そんな酒を飲む必要はないと止めたのですが、神ソーマが飲むようにと、アーデさんに主神命令を下したのです」

 

「で、それに逆らえずにリリは飲んじゃったんですけど、その後がもうかっこよくてかっこよくて」

 

「よく神酒(ソーマ)の魔力に抗ったと、私ですら感心したものです。あんなものを飲まされて『リリを改宗させてください』と、よくアーデさんは言えたと思います。それを見て半狂乱になった【酒守】は私が鎮圧したのですが」

 

「その時のリューさんもかっこよかったですよ。速すぎて良く見えませんでしたけど、流石は第二級冒険者だなって」

 

「そんなにおだてても何もでませんよ、クラネルさん」

 

「別におだててるわけじゃないんですけど……えっと、それで、そのリリの姿を見たソーマ様も驚いた様子で、リリの改宗を許してくれたんです。お金も必要なかったですし。本当に、ちゃんと解決して良かったですよね」

 

「ええ。これで【ファミリア】の体制も今後変わっていくでしょうし……アーデさんが足を洗えたことが私は嬉しい。その後、アーデさんとはどうなのですか、クラネルさん?」

 

「今日も迷宮探索に一緒に行きますよ。同じ【ファミリア】ですし。僕もリリがいて助かってます」

 

「それはなにより」

 

「ねえ、私が話を聞いていた筈なんだけど、いつの間にか二人だけの世界に入ってない? これ?」

 

「そうだな団長。馬鹿師匠に馬鹿弟子だ」

 

「そうだな団長。二人とも互いに互いの事しか見えてねえ」

 

「あまり茶化すようなことを言わないで、二人とも」

 

「「はぁ、これで茶化すなは無理があります、アストレア様」」

 

「「なんの話ですか?」」

 

「「「「なんでもない(わ)」」」」

 

「「?」」

 

 今日も【アストレア・ファミリア】は平和だった。

 

 

 

 ベル・クラネル

 

 Lv.1:所属【ヘスティア・ファミリア】

 

 力 :SSS1597

 耐久:SSS1788

 器用:SSS1656

 敏捷:SSS1821

 魔力:SSS1387

 

《魔法》

【ファイアボルト】

 ・速攻魔法

 

《スキル》

 

 

 

────────────────────────

色々捕捉

 

ごめんねリリ、ダイジェストにしてしまって。

私の力量では、初期のリリは扱えそうになかったんだ。

 

一応の流れとしては

 

・ベルがリリに【ファミリア】を脱退するためのお金を貯めているのではないかと聞く

・それを認めたリリをヘスティアと一緒に【アストレア・ファミリア】に連れて行く

・リリの罪の告白、捜査に協力するということで許しをもらう

・摘発、解決

 

って感じです。リリがかなり使える人材だったので、【アストレア・ファミリア】は大助かりでした。

リューさんのリリに対する印象は、そりゃもう最悪でした。

短慮には走りませんでしたが、それでも内心激怒り。

だって自慢の弟子の主武器を盗んだのですから。

けどベルから嘆願されたのと、リリが神酒を克服したことでトントンって感じです。

最後には嬉しいって言ってますしね。あれは結構本心で言ってます。

 

輝夜さん、リューさんとあんな会話ができて喜んでる。

ベルにも結構感謝してますし、そこそこ見守りモードかな?

外堀が本人たちの知らない所でどんどん埋められていく。

 

最後のステイタスは、ベル君がこの日の夜に更新してもらった数値になります。

 

さて、次はミノタウロス戦だ。頑張れベル君。

オッタルさんが君のためにレベル3に片足どっぷり浸かってるほど鍛え上げたミノタウロスを用意してくれたぞ。

理由はフレイヤ様が【静寂】の子供だって教えたから。

オッタルさん張り切りすぎ。




この後12時にも予約投稿入れてます。
10/10 



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