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200万部も売れた矢沢永吉『成りあがり』は、現代のサラリーマンにも刺さる「最強のビジネス書」だと言えるワケ

こんなにわかりやすい物語はない

『成りあがり』の魅力ポイントとして、まず指摘したいのは、独特の「生々しい口述筆記体」の魅力である。

――成りあがり。大好きだね、この言葉。素晴らしいじゃないか(改行削除、以下同様)

本自体は、時代の寵児となる直前の糸井重里が、矢沢永吉に張り付いてインタビューしたものをまとめなのだが、通常のインタビューのように文章を整えることなく、上の引用のように、矢沢永吉がしゃべったそのままを文字にしている(ように感じさせる文体を採用している)のだ。

だから読んでいるうちに、まるで、自分の目の前にいる矢沢永吉がまくし立てているようなイメージが広がってくる。『成りあがり』の魅力は、まずこの文体にある。

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続く魅力ポイントとして、書かれている内容が、「絵に描いたように分かりやすいブレイクストーリー」ということも大きい。

広島に生まれ、横浜でアマチュアバンドを組み、そして東京へ、全国へとのし上がっていく物語。もちろん多少の紆余曲折はあるものの、これほど分かりやすい一直線の物語はないだろう。なので読後感が痛快なのだ。

もちろんその背景には、矢沢永吉青年の猛烈な行動力があるのだが、加えて、「いい音楽を追求したい」という観念論よりも、まずは「売れたい」「ビッグになりたい」という具体論が先立つのが、また痛快。

「十メートル先のタバコ屋にもキャデラックで行って、ハイライト一個を買えるぐらいの男になりたい」(『アー・ユー・ハッピー?』)という、矢沢永吉の有名な発言には、当時も今も心が熱くなる。

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