今の若者にも『成りあがり』は必要
まず単行本として、小学館から1978年に発売。その後、矢沢永吉本人の同時並行的なブレイクもあって、角川文庫になって以降も長く売れ続け、何と累計約200万部と言われる。それどころか、続編とも言える2001年の『アー・ユー・ハッピー?』(日経BP、角川文庫)も約100万部売れたと言われるのだから、私にとって矢沢永吉は、超一流の「作家」だ。
ミュージシャン本をたくさん読んだが、『成りあがり』の面白さは格別にして別格。これまで私が読んだ中で「いちばん面白いミュージシャン本」と断言できるし、さらにいえば、私が読んだ中で「いちばん面白い本」の1つとも言える。
という『成りあがり』好き=ナリアガラーな私が、この本を特におすすめしたいのは若いビジネスパーソンだ。この構造的な不景気と戦い続ける若者には「成りあがり」スピリットが必要だと、30年間勤め上げた元会社員として、強く思うからである。
そしていま書店に溢れている「●歳までに」「●分で出来る」「△△は□□が●割」と謳うビジネス本よりも、よっぽど参考になると断言できるからでもある。
というわけで、以下この本の魅力を説明した上で、最後はこの本の中にあるフレーズの中で、若い会社員におすすめしたいベスト3(+次点)を選んでみたので、味わってほしい。
では、何がそんなに面白いのか。「そりゃ、矢沢永吉の歩んできた人生が劇的だから」ということになるのだが、でも、それだけでは200万部も売れない。やはり書籍として、商品として、抜群の完成度なのだ。