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伊藤詩織さん「体調不良」会見直前キャンセル、声明で「個人特定できないよう対処する」 元代理人にお詫びも…初監督作品で対立
西広陽子弁護士らの会見(2025年2月20日/日本外国特派員協会/弁護士ドットコム)

伊藤詩織さん「体調不良」会見直前キャンセル、声明で「個人特定できないよう対処する」 元代理人にお詫びも…初監督作品で対立

自身の性被害を取り上げたジャーナリスト・伊藤詩織さんの初ドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』をめぐり、許諾のない映像や音声の使用が指摘されている問題で、2月20日午後に予定されていた伊藤さんの記者会見が、当日になって急きょキャンセルとなった。

伊藤さんの会見は、東京・丸の内の日本外国特派員協会(FCCJ)で予定されていた。合わせて参加者が視聴できることになっていた映画の国際版と日本公開予定版の上映も中止となった。

この日の午前、映画の問題点を指摘している伊藤さんの元代理人・西広陽子弁護士らは、FCCJで記者会見を開いた。こちらの会見のあと、伊藤さんは声明を通じて「体調不良によるドクターストップ」で出席できなくなったと説明した。

FCCJによると、会見の延期日程は決まっていないという。『Black Box Diaries』は米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門でノミネートされている。

⚫︎最新版では「個人特定できないようにすべて対処」 お詫びの言葉も

この作品は、伊藤さんの性被害事件を取り上げたもの。現場となったホテルの防犯カメラや捜査員、タクシードライバーの映像や音声などが使われている。

伊藤さんの性被害事件を支えてきた西広弁護士らは「裁判外で使用しない」としたホテルとの約束が守られず、人権上・倫理上の問題があるとして、許諾を得ることや削除・修正などの対応を求めてきた。

伊藤さんは、西広弁護士らの会見終了後に配布した声明で、映画に西広弁護士との電話の音声が入っていると認めて「ご本人への確認が抜け落ちたまま使用し、傷つけてしまったこと、心からお詫び申し上げます」と謝罪した。

また、映像を使用することに承諾のなかった人たちへのお詫びの言葉も記載されている。

映画の最新版では、個人が特定できないように対処するという。今後、海外で上映する際にはできる限り「差し替えなど」の対応をするとした。

ただ、ホテルの防犯カメラの映像については、ホテルから承諾は得られなかったと改めて明言したうえで、ホテルの外装や内装、タクシーの形などを変えていると釈明している。

「さまざまな批判があって当然だと思います。それでも私は、公益性を重視し、この映画で使用することを決めました」

性加害の実態を伝えるために、この映像がどうしても必要だったとしている。

⚫︎会見延期→直前中止のドタバタ

西広弁護士側の記者会見は当初2月12日に予定されていたが、伊藤さん側からの要望で、双方の会見が2月20日にセットされたという。

西広弁護士の代理人をつとめる佃克彦弁護士によると、米アカデミー賞の投票は2月18日に締め切られたという。授賞式は3月3日におこなわれる。

伊藤さんは映画が上映されたうえで、議論してほしいと呼びかけている。

しかし、西広弁護士側は、問題を解決しないまま映画が上映されることをよしとしていない。

佃弁護士はこの日の会見で「今日は伊藤さん側も会見するということをわれわれは歓迎しました。私たちも説明を聞きたかったからです。結果として、午後の会見がなされないことについては残念に思います」と述べた。 (弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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