安倍首相:「白紙撤回」決断、新国立の建設計画-コスト膨張で
高橋舞子安倍晋三首相は17日、2020年東京五輪・パラ リンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画を白紙撤回する 方針を明らかにした。官邸で記者団に語った。
安倍首相は現在の建設計画について「白紙に戻し、ゼロベースで見 直す、そう決断した」と表明。その理由として「コストが当初の予定よ りも大幅に膨らみ、国民やアスリートから大きな批判があった」ことを 挙げ、「できる限りコストを抑制し、現実的にベストな計画をつくる」 と述べた。
その上で、当初予定していた19年ラグビーワールドカップ(W杯) に間に合わせることはできないが、20年の五輪・パラリンピックには 「間違いなく完成できる」と語った。1カ月ほど前から見直しを検討し ていたことも明らかにした。
首相はこれに先立ち、官邸で大会組織委員会会長の森喜朗元首相と 会談した上で、下村博文・文部科学相、遠藤利明五輪相に見直しを指示 した。菅義偉官房長官は午後の会見で、秋には政府として新しい整備計 画をまとめたい考えを示した。
新国立競技場は国際コンペで2012年11月、イラク出身の建築家、ザ ハ・ハディド氏の案を採用。「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大ア ーチが特徴だが、基本設計では1625億円だった総工費は、実施設計で は2520億円に膨らんでいた。
デザインを決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏 は16日の記者会見で、「国際公約としてはザハ氏を外すわけにはいかな い。できればザハ氏の案を残してほしい」と述べ、ザハ氏との協議の中 で徹底討論しコストを下げてほしいとの認識を示していた。
安保法制
国会では16日、衆院本会議で集団的自衛権の行使を可能とする安全 保障法制の関連法案が可決、参院に送付されている。
政治評論家の森田実氏は安倍首相による新国立競技場の建設計画見 直し決断は「安保の話をマスコミから消す必要があった。政治的プロパ ガンダ戦略の結果であることは明らかで、それは功を奏したのではない か」と語った。
--取材協力:広川高史、下土井京子.