中国がスパイに与えた厚遇
2025年1月31日、FBI(連邦捜査局)によってジョン・ロジャーズ(63歳)が検挙された。公示された罪状は、FRB(米連邦準備制度)の機密情報の漏洩で、情報を渡した相手は中国人学生、あるいはそれを装う中国の特務機関員だった。
彼は経済学で博士号を得てから、教職を経て、1994年にFRBの国際金融部に採用された。2003年には「マルチ・カントリー・モデル」の主管、役付(シニア・アドバイザー)となり、2021年5月に退職し、同年8月に上海の復旦大学国際金融学院の教授に就任した。
彼の専門の「マルチ・カントリー・モデル」は、米、カナダ、ドイツ、イギリス、日本の5カ国について、貿易・投資・通貨交換率の相互関係の変化を、5期間にわたってシミュレートする。モデルへの入力を変えることで、FRBが決める金利、それと連動する通貨交換率などが、世界経済を動かす主要国に与える影響を予測し、ひいてはウォール街の世界支配戦略を示唆することができた。現在のモデルは大幅に拡充されているが、機密のベールのため、詳細は不明だ。
ロジャーズが取り仕切ってきたモデルは、目立たなかったが、そうした特別な機能をもつため、FRBの政策判断でかなり大きな役割を果たしていたことになる。
それにまつわる重要な知見は、彼を通じれば、得られると見込まれた。だからこそ、彼に対して復旦大学は年俸45万ドル(約6750万円)という破格の待遇を2024年まで続け、彼は合計で2億7000万円という途方もない高額の報酬を得ることができたのだ。
FBIの告発によれば、ロジヤーズのスパイ行為は2013年から11年間に及び、裁判で有罪の判決が出れば、量刑は守秘義務違反で禁固15年、偽証で禁固5年、彼は計20年の禁固という重い刑罰を受けることになるだろう。