毎日更新ラストです。
「それで? どうやって、セカイをほろぼすつもりなのかしら?」
「……さて、どうしようか」
「ナニもかんがえてなかったの⁉︎」
アリス・アウターランドが頭を抱える。
無限の繰り返しの時よりもオーバーリアクションだと思ったが、それだけ彼女が目覚めかけているという事なのかもしれない。
「セカイをほろぼすってカンタンじゃないわ。ジンルイがゼツメツしても、チキュウがフンサイされても、セカイはおわらない。ナカミがどうなろうと、セカイというウツワにかわりはないの」
「……まぁ、な。世界が“物語”だとしたら、世界の内側で起こるあらゆる出来事ってのは全部“物語”の中で描かれる展開だ。それが“
「セカイというウツワ、セカイをこうせいするゲンソのひとつひとつをショウキョしなきゃこのセカイはおわらない」
これまで
世界の容量を超えるか、世界を構成するモノを無くすかだ。
寿命で死んだ──
世界の全てを魔力に変換して消費した──
なお、理解できない第六位の世界や特殊すぎる番外位の《
「世界の容量を超える……例えば、第四摂理を借りて異能の力を外部から引き出しまくるとか」
「ムリよ。リロンてきにはカノウでも、ジカンがかかりすぎるわ」
「……
「60プン。このシロのセカイではジカンケイカはないけれど、ここからでたチョクゴから60プンでセカイはアリスのユメにおきかえられ、アリスのカクセイとともにほろびる」
六〇分。
それが俺に許された最後の抵抗。
この世界の限界。一時間経過した瞬間、世界の全てはアリス・アウターランドの夢と化し、アリス・アウターランドが目覚めた瞬間に──
「──ん? 逆じゃねぇのか?」
「なにが?」
「アリス・アウターランドが目覚めたらこの世界が終わるはずだろ? なのに今の説明じゃ、この世界の全てが夢になるから世界が終わるみたいに聞こえる」
「それ、どっちでもいいでしょ? インガカンケイなんてもうメチャクチャよ。アリスはインガをこえたビッグバンをひきおこしたの」
アリス・アウターランドは因果律ビッグバンを引き起こした。
アリス・アウターランドが覚醒する事で世界が滅びるという終わりが確定した事で、
「────《
六道伊吹は見つける。
誰よりも早く世界を滅ぼす、唯一の
「お前が世界を終わらせる時、この世界は全てアリス・アウターランドの夢と化す。……言い換えれば、
「な──ッ⁉︎」
それは
ヤツは世界の全てを魔力に変換して、魔力を消費する事で世界を構成する元素を無くし、世界を終わらせた。
俺達は世界の全てを異能に変換させ、異能を打ち消す事で世界を構成する元素を無くし、世界を終わらせようとしている。
「ムっ、ムリよ! イノウとかしたセカイすべてをうちけすなんてムリ! リュウシひとつひとつがイノウになっているのよ⁉︎」
「死ぬ気で限界を超えて異能を使えば、同時に無数の異能を消し飛ばせるんじゃねぇのか? 反動で俺は死ぬだろうが、世界が終わるんだから実質ノーリスクでコストを踏み倒せる」
「アナタのたいひょうにあるイノウならいけるかもね。でも、セカイのすべてはふれられない。アナタがゲンカイをこえても、セカイのすべてはシャテイにいれられない‼︎ それはどうやってカイケツするつもり⁉︎」
「……どうしよっか」
「さてはアナタッ、かんがえなしね⁉︎」
アリスのツッコミ芸が板についてきた。
無限の繰り返しの中では知る事もなかったが、コイツおもしれー女なんじゃないか?
さて、どうする。
俺の異能で世界を消し飛ばす事は可能だが、触れたモノしか打ち消せない俺の異能じゃ純粋に射程が足りない。
異能の射程や規模を拡大する方法、あるいは世界自体を俺が触れられる程度に縮める方法があれば──
「──いや、いける……か? アレが……『
「アリスのこと?」
「確かにお前も全知全能だが、そうじゃなくて……」
異能の射程や規模が変わらないのなら。
世界自体を縮められないのなら。
「
《
その
……俺はその
きっと、無数に繰り返していたループのどこかで知った情報だろう。
「あれは世界と接続する異能。世界全てに神経が通り、世界全てに触れられる異能だ。その
「で、でも……あれがセツゾクできるのはチキュウのなかだけのはずよ」
「かもな。だけど、既に地球以外の宇宙は消滅している。この段階では大した問題はねぇよ」
世界なんて輪郭のないモノを壊す、唯一無二の方法。
勝利条件は明確となった。
「
「────
『…………本気、ですか……?』
「本気だし正気だよ。アダマスの未来予測はとうに外れた。六道伊吹は世界を滅ぼそうとしている」
『…………、』
「第一位のいる白い世界に時間経過はない。だから、既にいぶきが殺されて世界が終わっているか、第一位が殺されて世界が救われてなきゃおかしい。そのどちらでもないって事は──
『そ、そんな……無茶苦茶だ……っ‼︎』
電話越しに相手の震える声が聞こえる。
そんな嘆きを無視して、折手メアは話を続ける。
「さっきも言ったように、世界を壊すには第二位の
『…………?』
「キミ、ボクの異能について聞いてる? 主人公を回復する異能、《
『…………ッ‼︎』
残念ながら、消滅した地球圏外の宇宙は戻らない。
しかし、それでも、地球の表面で人類が育んできた当たり前の
「まぁ、第一位が生きていたなら、そんな延命なんて踏み潰されるけどね」
『…………、』
「だから、これは争奪戦なんだ。どちらが先に
六道伊吹の勝利条件は第一位を生かし、先に《
折手メアの勝利条件は第一位を殺し、先に《
どちらの条件も満たされない場合、あるいは先に
『……いいの、かい?』
「何が?」
『私は異能や転生者なんてよく知らない。だから、この疑問はもしかしたら馬鹿みたいな事を尋ねているのかもしれないけど……六道伊吹という少年は君の想い人なんだろう? 彼を敵に回しても、君は後悔しないのかい?』
「…………、」
事実、それは馬鹿げた質問だった。
世界の終わりに直面しながら、そんな小さな事に拘泥する愚かしさが可笑しかった。
電話先の男は天使でも転生者でもなかった。
本来ならば、折手メアと通話する機会なんて一生ないような何処にでもいる一般人。
彼に特別な力はない。
彼に指揮官としての役割は期待されておらず、天命機関上層部──
天使としての覚悟も、才能もない。
「よく、ないよ」
折手メアは答える。
それが彼女が今まで踏み躙ってきた現地人の優しさだと気付き、居心地が悪そうに顔を顰めながら。
「世界なんてどうでもいい。ボクは、いぶき以外は心底興味がない。だから、良くない。彼の邪魔をして、彼に嫌われたくない」
『…………、』
「ボクも、思ったよ。いぶきの手助けをして、世界を滅ぼしてやろうかって。だって、ボクは諸悪の根源だ。ボクより世界を敵に回すのに向いた人材はいない」
結局、折手メアは善人には成れなかった。
世界を救いたいと思う理由を、どうしても見つけられなかった。
「ボクはいぶきが好きだから、一人の女の子のために世界の全てを敵に回せる彼が大好きだから。……だから、いぶきの意志を尊重したい。世界の全てを敵に回しても、彼の味方をしてあげたい」
『…………なら、』
「でも! それでも‼︎」
でも、だけど。
弱音は反転する。
善人になれないままでも、折手メアは叫ぶ。
「──
六道伊吹は傍若無人である。
自分の怒りのために世界を滅ぼす怪物である。
でも、それでも。
彼にだって罪悪感はある。
怒りのままに人を殺したいと思う気持ちと、人を殺した罪悪感に苛まれる苦しみは両立する。
一方の気持ちが大きすぎるからといって、もう片方の気持ちが打ち消されるなんて事はない。
「
『そ、れは……』
「だから、きっと、彼は耐えられない! 世界を終わらせた瞬間ッ、彼は世界の全てを押し潰した罪悪感で苦しむ‼︎ ……別に、ボクは世界がどんな風に終わろうと興味はない。だけどッ、そんな
だから、折手メアは決意した。
「力を貸してくれよ、世界の代弁者。六道伊吹の当たり前の
『ええ、分かりました。できる事はそう多くはないけれど、この世界を全てを賭けてあなたを支援しましょう』
敵味方が反転する。
六道伊吹は世界全てを敵に回し。
折手メアは世界全てを味方につける。
「ねぇ、いぶき。キミがこの世界の当たり前の日常を許せないのなら! もう自分では怒りを止める事すら出来なくなったのならッ‼︎ ──
折手メアは拳を握った。
本当の意味で、六道伊吹を救うために。
「そんな
さぁ、ここに始めよう。
六道伊吹を救う
そして、役者は揃う。
原作主人公とオリ主。
少年少女の想いは相入れる事はなく。
ただ、激突する他に道はなし。
「そんな
「そんな
これより、世界の命運を賭けた戦いが始まる。
残り60分
タイトル回収。
原作主人公vsオリ主。
第四章「夢幻地獄エンドレスループ/End_Game」完結
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