原作主人公vsオリ主   作:大根ハツカ

50 / 103
四二話:プロローグ/Side_1

 

 

 発端はある男の一言だった。

 

「トーナメント……?」

「うん。儂等も暇ではないからねぇ。貴君にも手伝って貰うよぉ」

 

 そいつは熾天使(セラフィム)(クローバー)”────()()()()という名のジジイだった。

 七十代くらいの白髪のジジイは明らかに機密文書っぽい資料を俺に手渡す。

 

「〈列強選定(キングセレクター)〉……内容自体はどうでも良いけれど、其処に六界列強(グレートシックス)が二人現れる事は判明しているよぉ。()()()()()もそれを目視しているからねぇ」

「……なら、俺にも異論はねぇ。六界列強(グレートシックス)をブチ殺したいのは俺も同じだし。それに、ちょうど夏休みだからな」

 

 背後からブレンダ先輩が資料を覗き込む。

 耳元で息を呑む音が聞こえた。

 

「……ッ⁉︎ ここ、は……ッ」

「知ってんのか?」

「…………私の故郷──〈()()()()()()()()()()()()()()()

 

 …………趣味が悪いな、第二位。

 天命機関が大敗北を喫した場所を開催地に選ぶなんて。

 

(…………ん?)

 

 あれ、〈堕胎事変(フォールダウン)〉って誰が引き起こした事件だったっけ? なんか、凄く大事なことが────

 

 

「それで? 自分達にも知らされてなかったその〈列強選定(キングセレクター)〉とやらはいつから始まるんすか?」

 

 

 ジェンマの声に思考を遮られる。

 自分が何を考えていたのか忘れる。

 それだけじゃない。何かを考えていた事すらも、忘却の彼方へ流されてゆく。

 

 ロドリゴは当然のように言い放った。

 

 

()()

「………………は?」

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 …………間に合わねぇが⁉︎

 ここは日本だぞ⁉︎ 今まさに一二時だぞ⁉︎ イギリスの正午に間に合う訳がねぇだろ‼︎

 

「準備はできたかなぁ?」

「待て待て待てッ、ちょっとは説明をしろ‼︎」

「ごめんねぇ。貴君には悪いけれど、作戦は儂の頭にしかないよぉ。貴君には臨機応変な行動を要請するねぇ」

「は? どうやっ────」

 

 

「───無窮を突き進むモノ(Access Code “ARK”)出帆(Re-boot)

 

 

 それは七天神装(アーティファクト)の一つ、《希望の舟(アーク)》。

 その特権(ギフト)の効果、『()()()()』。

 

 銀河の果てに向かって旅する超科学の宇宙船は空間を歪め、日本からイギリスまでの距離を無にする。

 

 

「……転生者と天命機関の総力戦を始めようかぁ」

 

 


 

 

 転移した先は上空。

 恐らくロドリゴの差し金だろうが、空中に浮いていた第二位・ルーアハの真上であった。

 ごちゃごちゃなんか言ってるミイラ男の頭を俺の踵が捉え、質量×速度の威力を叩き付ける。

 

「エントリィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

 そして、接触と同時。

 俺は足の裏から()()を発動させる。

 

 

(《魂絶(ソウルリーパー)》……‼︎)

 

 

 一度目。

 

 ()()

 唯一無二、六界列強(グレートシックス)を殺す異能を用いてルーアハの持つ魂を粉砕する。

 

 ゴッッッ‼︎‼︎‼︎ と。

 六界列強(グレートシックス)にとっての死神、六道伊吹は魂を失った亡骸を踏み台にして着地を果たした。

 

 

『……謝罪するねぇ。ルーアハの持つ異能は《死体化生神話》。彼奴自身が世界と成り果てた世界観。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 何処からともなくロドリゴの声が聞こえる。

 空気を振動させた普通の発音とは違う。しかし、俺はイヤホンを付けている訳ではない。

 

(骨伝導か何かか? 相変わらず、訳わかんねぇレベルのテクノロジー使ってんな……)

『ここから先は儂が指示を出すよぉ。この場に存在する転生者、その全てのデータが頭に入っているからねぇ』

 

 力強いことこの上ない。

 周囲には俺を取り囲む転生者の群れ。

 だけど、こちらの味方もまた常識から逸脱した熾天使(セラフィム)

 

『儂にはブレンダの如き戦闘力はないよぉ。儂にはジェンマの如き話術も、レオンハルトの如きテクノロジーもねぇ。だが、安心してねぇ?』

 

 熾天使(セラフィム)(クローバー)”ロドリゴの戦術は極めて平凡だ。

 正面から物理的に突破する“(スペード)”ほどの派手さはなく、相手の戦意を無くさせる“宝石(ダイヤ)”ほどの老獪さもない。

 だけど、それでもロドリゴは熾天使(セラフィム)に選ばれた。()()()()()()使()()()()()()()()()

 

『儂より経験のある天使はいないし、儂よりも知識のある天使はいないよぉ。()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()

 

 ロドリゴの考えた対転生者戦術──使命(テーマ)は平凡だ。

 『数を揃えて物量で勝つ』。

 相手の力を調べ上げ、大勢で取り囲んでその弱点を突く。ただそれだけの誰でもやっているようなこと。

 ()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 七七七個に分けた並列思考(マルチタスク)、七七七名一人一人に対するリアルタイムの指揮。

 単純な数の利と一人の指揮者による緻密な連携、そしてロドリゴの豊富な経験と転生者に対する知識。これらを組み合わせ、誰でも転生者を殺せる状態に持って行く。

 それこそがロドリゴを熾天使(セラフィム)たらしめる最大の要因である。

 

 そんな彼の言葉に後押しされ、俺は周囲に蠢く転生者共を挑発する。

 

「せんしゅせんせー。俺はトーナメントなんて行儀の良い戦い方を殴り捨てて、此処にいるカス共を一人残らずブチ殺す事を宣言しまーす」

 

 一番厄介なのは転生者共が散り散りになって逃げる事。

 だから、怒らせる。逃げるヤツもいるかもしれないが、ほんの数人程度なら処理もできる。兎に角ヤツらの足並みを揃えさせず、乱戦に持ち込む。

 

 全ての転生者を敵に回して俺は宣言した。

 

 

「纏めてかかって来いよ、雑兵(モブ)共。バトルロワイヤルの開幕だ……‼︎」

 

 

 直後。

 無数の転生者達が俺に殺到する。

 

 ──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 俺がする事など何一つなかった。

 

 

「…………強すぎんだろ」

 

 

 ぼけーっと突っ立って見ていた。

 天命機関ってものの恐ろしさを知った。

 本当に、コイツらにとって脅威だったのは何度殺しても転生して戻ってくる六界列強(グレートシックス)だけだったのだろう。

 

 第二位の殺害に俺が必要だった。

 だけど、単に殺すだけなら俺はいらなかった。

 第五界位(グレード5)以下ならば、準備さえすれば処理は容易かった。

 

 きっと、殲滅までに十分もかからなかった。

 六界列強(グレートシックス)候補だった第五界位(グレード5)達が容易く一掃される。

 

「六一人の処理完了っす。協力者を除けば、逃したのは二名っすね」

「名称は分かっているかなぁ?」

「“冥府送り”と“死の商人(ウォー・バイヤー)”っす」

「……第三位はどうなっているのぉ?」

「未だ捜索中っすけど、動きは無しっすね」

「…………………………」

 

 

 こうして、〈列強選定(キングセレクター)〉は一日も経たずに壊滅した。

 

 

 

「そういえば、転生者が六六人いたんですけど何か知ってますか?」

「ええぇ……? それは儂知らないよぉ⁉︎」

 

 本当に大丈夫か、コイツら?

 

 


 

 

 だけど、俺達は知らなかった。

 六四人の転生者との殺し合いが、この地を舞台にして巻き起こる騒動のほんの前哨戦に過ぎないことを。

 

 


 

 

「あっ」

「あ?」

 

 

 コツン、と。

 静かになった街に足音が響く。

 

 

 この地に残った転生者は七人。

 それは奇しくも、かつてこの地で起きた〈堕胎事変(フォールダウン)〉における生還者(サバイバー)の数と同じ。

 

 天命機関の協力者として参戦した六道伊吹と()()()()()()()()

 包囲網を抜け出した“冥府送り”と“死の商人(ウォー・バイヤー)”。

 飛び入り参加の九相霧黎とディートリンデ。

 そして、六界列強(グレードシックス)・第三位のフラン=シェリー・サンクチュアリ。

 

 

 その中でも、よりにもよってこの二人が出会うのは何の因果なのか。

 偶然にも二人の転生者は出会ってしまった。

 

 

「オイッ、テメェは……‼︎」

 

 

 それはビスクドールのような美少女。

 黄金の瞳を輝かせ、黄金の髪を揺らす。

 その不安げな表情は、まるで親と逸れて迷子になった幼子のようにも見える。

 

 だけど、俺は知っている。

 美しい顔に反して、ヤツが持つのは醜悪な心だ。幼子なんていたいけな存在なんかじゃない。

 ヤツの姿に見覚えはないが、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「なぁ、なんで生きてやがるッ‼︎ ()()()()()()……‼︎」

「我の名はディートリンデである! そんな可愛くない名は捨てたァ‼︎」

 

 

 一界戦。

 六道伊吹vsディートリンデ。

 

 


 

 

「……死ぬのが怖い癖に、不死身だった時の感覚が抜けてないのかな?」

 

 

 霧黎は掴めなかった右手を見て、そう呟いた。

 本来、ディートリンデは九相霧黎の側を離れない。命を狙われているディートリンデにとって、一番の安全地帯がそこだからだ。

 

 だけど、彼女は今そこにいなかった。

 理由は単純。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()……」

 

 

 ディートリンデは六道伊吹の挑発を聞いて頭が沸騰し、複数の転生者達共に彼を殺しに殺到した。そして、天命機関とかではなく隣の転生者の異能に巻き込まれて吹っ飛んだ。

 つまりところ、自業自得である。

 

 それでも、心配なのには変わりない。

 今ここには彼女の天敵たる六道伊吹がいる。

 万が一巡り会えばとんでもないことになる。

 

 

「早く探しに行かないと」

「────そうはさせません」

 

 

 だけど、それを阻む影があった。

 ロドリゴが把握していない二人の異分子(イレギュラー)

 それに対応できると目された最強の天使の姿が。

 

 

「〈星砕戦争(アルマゲドン)〉における唯一の行方不明者、そして今まで五七名の天使を殺害している異能犯。貴方が九相霧黎ですね?」

「そういうあなたは最強の天使、ブレンダって人で合ってるかな?」

 

 

 一界戦。

 九相霧黎vsブレンダ。

 

 


 

 

「生存者リスト」

 

▽天命機関

ブレンダ

ジェンマ

ロドリゴ

レオンハルト

etc

 

▽転生者

六道伊吹

“奴隷”

“冥府送り”

死の商人(ウォー・バイヤー)

九相霧黎

ディートリンデ

フラン=シェリー・サンクチュアリ

ルーアハ

 






世界観:《創世神話(クリエイションミス)
転生者:ルーアハ
グレード:第六界位(グレード6)
タイプ:技能(スキル)
ステータス:
 強度-D/出力-A/射程-A/規模-A/持続-EX
異能:《死体化生神話》
終末摂理:『??』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。