「幸せになってほしくない」女子大生刺殺27歳男の異様な支配欲 事件直後にデリヘル依頼も

大阪府警枚方署から送検された当時の西光勝被告=昨年5月20日午前8時4分、大阪府枚方市(甘利慈撮影)
大阪府警枚方署から送検された当時の西光勝被告=昨年5月20日午前8時4分、大阪府枚方市(甘利慈撮影)

大阪府枚方市のマンション一室で昨年5月、交際していた大学生の渡辺華蓮(かれん)さん=当時(19)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われた無職、西光勝(しょう)被告(27)の大阪地裁での裁判員裁判は、21日に検察側が懲役22年を求刑して結審した。実際は借金まみれだったのに「金持ち」と噓に噓を重ねた被告。限界を迎えると「自分のものにしたかった」と殺害した。論告では「命より見えやプライドを優先した」とその異様な支配欲を指弾された。

「ええかっこしたい」

弁護人「なぜ殺した」

被告「自分が死んだ後に、幸せになったり別の男性と付き合ったりするのが嫌だった」

弁護人「なぜその発想に」

被告「自分のものにしたかったからです」

罪状認否で「一切間違いありません」と全面的に起訴内容を認めた被告は、事件の動機や経緯をときに饒舌(じょうぜつ)に語った。

交際を始めたのは事件約2カ月前。当時から無職で借金も750万円以上あったが、「テーマパークで働き、多額の収入がある」と噓をついた。

「ええかっこがしたいと思って(訂正しようとは)一切思わなかった」

事実と信じこませるため、かつて実際にテーマパークで働いていたころの給与明細を見せ、「タワーマンションに引っ越す」と、内覧にも連れて行った。

交流サイト(SNS)のやり取りや周囲の話からは、被告が「手放したくない」と、渡辺さんを強く束縛していた様子もうかがえる。

渡辺さんの母親によると、電話をかけても「(被告が)いるから」と切られたことがあった。

友人との韓国旅行の前日には、被告が「(自分の)母親が自殺した」と渡辺さんに噓をついて、旅行をキャンセルさせていた。渡辺さんのアルバイトも、被告が出勤をたびたび引き留めたことで退職を余儀なくされている。

刺し傷60カ所に

一方で、被告は友人や家族にも借金し、首が回らなくなっていた。

「これ以上噓をつくのは疲れた。本当のことを言うくらいなら、渡辺さんを殺して自分も死ぬ。そのほうが(渡辺さんの中でも)いい思い出になる」

昨年5月16日、大学に行こうとする渡辺さんの首などを包丁で突き刺して殺害。論告によると、事前にインターネットで致命傷となりやすい部位を検索しており、傷は約60カ所に及んだ。

さらに、渡辺さんのノートパソコンやスマートフォンを持ち出し、パソコンを売却した上で、スマホの電子マネーで食料品などを購入。パソコンを売った金でホテルに宿泊し、デリバリーヘルス(派遣型風俗店)も呼んだ。事件後も噓は止まらず、ホテルでは「一緒に死にたいといわれました」と事実無根のメモを書いていた。

検察官からは「都合のいいように支配しただけではないか」と追及されたが、「支配したつもりは一切ないし、本当に好きでした」と弁明した。

21日の論告で、検察側は「動機は極めて身勝手」として懲役22年を求刑した。弁護側は自首したことなどを考慮するよう求めた。

論告の前には、渡辺さんの父親が「どんなに痛かったか。どんなに寂しかったか。絶対に許しません」と涙声で語った。

被告は最終意見陳述で「どんな刑でも控訴せず一生償っていきます」と述べて立ち上がり、裁判長に制止されるまで頭を下げていた。(弓場珠希)

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