米国成人、10人に1人「性的少数者」か 米民間調査
【ニューヨーク=西邨紘子】米国で自らをLGBTQ(性的少数者)と認識する人が増えているようだ。民間調査で2024年にLGBTQと自認する成人は調査全体の9.3%で、前年の7.6%を上回った。20代中心の若者は2割にのぼった。性的少数者の社会的な受け入れが広がり、自認する性を公にしやすくなった影響とみられる。ただトランプ政権は反DEI(多様性、公平性、包摂性)政策を急速に推し進めている。
米調査会社ギャラップが20日に発表した。米成人(18歳以上)1万4000人に電話で聞き取り調査した。全世代でLGBTQを自認する割合は、調査開始時の12年(3.5%)の3倍近くに増加した。
自らをLGBTQと自認した回答のうち、最も多かったのはバイセクシュアル(5.2%)で、若い世代の女性の間に増加が目立った。ゲイ(2.0%)、レズビアン(1.4%)、トランスジェンダー(1.3%)と続いた。
年齢層による差も目立つ。LGBTQを自認する割合は10~20代のZ世代で23%となった。一方で、60代以上のベビーブーマー世代では3%、40〜50代でも5%程度となっている。
支持政党による差も大きい。LGBTQを自認する割合は、民主党支持者が14%、無党派が11%、共和党支持者が3%だった。ギャラップは、この結果について「政治的な選別によるものか、その他の理由によるものかは不明だ」と述べた。
米国では近年、性的少数者の社会的受け入れが進んできた。15年に米最高裁判所は同性婚を認めない州法を違憲と判断。22年にはバイデン政権下で同性婚を認める「婚姻尊重法」が成立し、全米で同性婚が合法となった。ギャラップが24年に発表した別の調査では、米国民の69%が同性婚を支持している。
直近ではトランプ政権が反DEI政策を推し進めている。大統領令でトランスジェンダーが自認する性の施設の使用禁止や選手の女子スポーツ参加の禁止、米軍入隊の制限などを立て続けに定めた。
トランプ氏は1月に性別を「不変の生物学的分類」に基づき、「男性」と「女性」に限定する大統領令に署名。このほど就任したロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官の元で19日、医療・保健の行政で性自認の考えを認めず、性別の定義を男性・女性のみとする新たな指針を発表した。
保守的な共和党州では、学校で性的指向や性自認について話し合いを禁じたり、LGBTQ関連の図書を図書館から排除したりする動きも広まる。性的少数者の若者のメンタルヘルスへの影響などを懸念する声が強まっている。
電通グループが23年に発表した聞き取り調査によると、日本でLGBTQを自認する人の割合は9.7%程度で、直近の米国とほぼ変わらない水準だった。
LGBTQとは
同性に恋愛感情を抱く女性(レズビアン)と男性(ゲイ)、同性も異性も恋愛対象とする人(バイセクシュアル)、体と心の性が一致しない人(トランスジェンダー)、特定の性的指向や自認が定まっていない、もしくはあえて定義しない人(クエスチョニングもしくはクイア)の英語の頭文字をとった言葉。「心と体の性が同じで、異性を愛する人」以外の性的少数者全体を表す言葉として使われることもある。
2025年1月20日(現地時間)にドナルド・トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任。政権の行方など最新ニュースや解説を掲載します。
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