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最新の行動経済学が解く日米開戦の謎 摂南大学・牧野邦昭准教授に聞く(上)

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――戦争というリスクの高い選択が決定されたのはなぜでしょうか。

「開戦すれば高い確率で日本が敗北、という指摘自体が『だからこそ低い確率に賭けてリスクを取っても開戦しなければならない』という意思決定の材料になってしまったと考えています」

プロスペクト理論が教える非合理な行動

「A 確実に3000円支払わなければならない

 B 8割の確率で4000円支払わなければならないが2割の確率でゼロになる

とA・Bの選択肢があるとします。Bの期待値はマイナス4000×0.8=マイナス3200円ですが、実際にはBを選ぶ人が多いことが実験結果で分かっています。人間は損失を被る場合にはリスク愛好的な行動を取るのです」

――経済学は人間が合理的に行動することを前提にしています。しかし自分では合理的に考えているつもりでも現実は非合理的な行動を取ることがあるわけですね。

「最近急速に発展している行動経済学の『プロスペクト理論』で説明できます。通常の経済学が財の所有量に応じて効用が高まると仮定するのに対し、プロスペクト理論はある水準からの財の変化量に注目します」

「人間は現在所有している財が1単位増加する場合と1単位減少する場合では、減少の方に重きを置いて、少しでも損失を小さくすることを望みます。低い確率であってもBの方に魅力を感じるのです」

「プロスペクト理論では客観的な確率がそのまま人間の主観的な確率とはならず、心の中で重みづけされると考えます。当選確率は極めて低いのに多くの人が宝くじを買うといったケースです。プリンストン大のカーネマン教授はプロスペクト理論などの研究で2002年のノーベル経済学賞を受賞しました」

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