ホロライブ大神ミオ、ファンアートの使用を巡って炎上 「画像生成AIでつくられた画像ではないのか」という疑念と、揺らぐ二次創作の在り方
SNSに「ファンアートタグ」をつけて投稿されるイラスト。 VTuberやインフルエンサー、作品の一次制作者側が専用のハッシュタグ(ファンアートタグ)を用意し、ファンアート(二次創作作品)を自身の活動に使用することも当たり前となっています。 【画像】年間252件の誹謗中傷やなりすまし、権利侵害行為に対応するカバー社 特にVTuber文化では顕著で、ファンアートを使用することで活動を円滑にするだけでなく、新たな才能をフックアップするきっかけにもなっています。 しかし、近年では画像生成AIが隆盛。その使用の有無や是非を巡り、論争の火種になる事例も発生しています。特にこの2月、ホロライブ所属のVTuber・大神ミオさんのファンアートを巡り、大きな騒動がありました。 ライブ配信のサムネイルにも使用されたファンアートが、画像生成AIによって制作されたものだと視聴者から指摘された後に、殺害予告にまで発展。一体何が起きているのでしょうか。
「サムネイルにAIイラストを使用しない方針」採用された二次創作はAIイラストだった?
今回の騒動は、紅ちゃんというイラストレーターが制作したイラストを巡り、大きな議論となっています。大神ミオさんは、紅ちゃんが制作したファンアートを配信のサムネイルに採用。 ところがその後、紅ちゃんがpixivに投稿したイラストに「AIイラスト」を明示するタグが設定されます(pixivは第三者によるタグ追加が可能)。 このタグを発見したファンが「サムネイルに採用したイラストは、AIイラストである」と反応。これを受けて大神ミオさんも「サムネイルにAIイラストを使用しないという方針がある」と説明し、自身の配信のサムネイル差し替え対応を行いました。 一方で、イラストの制作者/提供者である紅ちゃんは画像生成AIの使用を否定。 ライブ配信にて、イラストの制作工程を公開へと踏み切ります。しかし、それでも批判や誹謗中傷は止まず、殺害予告を受ける事態に。 現在はXのアカウントを閉鎖している状況です。
画像生成AIを巡る対立と「使用していない」ことの証明の難しさ
近年、クリエイティブ業界──特にインターネット上のイラストシーンにおいて、画像生成AIの否定派/容認派の大きな分断と対立が発生しています。 画像生成AIと学習元データセットの権利関係など、技術的かつ法的な議論や使用の是非は今後も検討され続けていくとは思いますが、現実として、1枚のイラスト作品を鑑賞して、人間のイラストレーターが描いたものか画像生成AIが出力したものかを峻別することは、年々困難になってきています。 大神ミオさんも「100%AIイラストだと確定する情報はない状態で早計に対応を進めてしまいました」と投稿。「多くの方に混乱や不快な思い、お騒がせする形となり申し訳ありませんでした」と謝罪する事態に。 同様に、一度発生した「画像生成AIを使用しているのではないか」という疑惑を払拭することも困難な状況となっています。 一般にこうした場合、「していないこと」の証明は非常に困難であるため(悪魔の証明)、確証を得ずに「使用した」と糾弾することの責任は大きなものです。