原作主人公vsオリ主   作:大根ハツカ

40 / 103


明日、5月8日は折手メアの誕生日です。
みんなでメア子の誕生日を祝いましょう!





三六話:攻略戦/vsヒロインC

 

 

 一歩。

 脚を限界まで酷使する踏み込み。

 馬鹿力によって地面を砕くように俺は跳んだ。

 

「ブッ飛べ」

 

 《破邪の剣(アスカロン)》を変形させる。

 それは怒りによって振るわれる身勝手な鉄槌。

 金属すらも打ち砕く破壊の一撃。

 それを──

 

 

「《神威聖剣》、()()()()

 

 

 ──光り輝く壁が阻んだ。

 

「わたし、ディートリヒさんを食べちゃったんですよ?」

「そう、か。なら、ディートリヒの異能ぐらい簡単に使えるか」

 

 恐らくは肉体(アバター)型の異能、《神体加護》以外は。脳すらも再現する肉体(アバター)型の異能を使ってしまえば、きっとディートリヒの遺志に呑み込まれることだろう。

 

 道具(アイテム)型の異能、《神威聖剣》。

 触れたものを蒸発させる太陽の剣。

 彼女はそれを5メートル規模まで拡大させ、無敵の盾として活用した。

 

「そして、ぶっ飛ぶのは伊吹さんの方です。──《神威聖剣》、()()()()

「ぐおっ⁉︎」

 

 ぶわっ‼︎ と。

 地面から灼けるような強い熱風が襲う。

 急激に空気が膨れ上がり、俺を上空まで捲り上げる。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()⁉︎」

 

 

 聖剣が太陽なら、これは太陽風みたいなもの。

 考えが柔軟なんてもんじゃない。

 得たばかりの異能をここまで応用できるなんて……⁉︎

 

 逃げ場のない空中。

 《神聖魔法》によって狙い撃ちされたら一貫の終わりだ。

 咄嗟に、俺は大きく息を吸い込んだ。

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 技能(スキル)型の異能、《神聖魔法》。

 それは詠唱によって神に奇跡を願う異能。

 ならば、椎菜の声を大声で掻き消せば異能は発動できないはずだ。

 

 しかし、俺の大声など意に介さず、椎菜はわちゃわちゃと手を動かした。

 ディートリヒの異能である筈なのに、その動きは見たことがない。意味不明な行動。

 

 だけだ、彼女の口は小さくこう動いた。

 

「《神聖魔法》、()()()()

()()()ッ⁉︎」

 

 風の刃、炎の矢、雷の鞭、氷の礫。

 無数の魔法が無音で放たれる。

 意志伝達さえすれば異能が発動できるのならば、確かに必ずしも発声する必要がある訳じゃない。

 ……可能かどうかと、それを瞬時に気がつけるかどうかは別だが。

 

 避けられない攻撃を迎撃しようと、《破邪の剣(アスカロン)》を構える。

 だが、それよりも早く椎菜は追撃を行った。

 

「《白亜神殿》、()()()()

「ごぼアっ⁉︎」

 

 ぐわん、と。

 視界が揺れる。脳が掻き乱れる。

 椎菜は大したことをしていない。

 

 ただ、指をさす。

 それだけで、体内が爆発したかのような衝撃があった。

 

 領域(エリア)型の異能、《白亜神殿》。

 それは自然に神が宿るという法則そのもの。

 椎菜は俺の体内──恐らく、()()()()に対してその異能を行使した。神を宿した生体電流は、もはや俺の意思で動かせるものではなくなった。

 

(マズイっ⁉︎ ()()()()()()()……‼︎)

 

 襲い来る異能の数々。

 迫り来る選択の時間。

 

 《神聖魔法》か、《白亜神殿》か。

 瞬時に無効化できるのは一つのみ。

 刹那の逡巡の後、俺は叫んだ。

 

 

「《破界(ワールドブレイカー)》‼︎」

 

 

 本日三度目の異能使用、残りは三回。

 

 対象は《神聖魔法》。

 雷の鞭を()()全ての魔法を打ち消す。

 

「ぎぃ……ッ‼︎」

 

 バヂィッッ‼︎ と。

 雷撃が体内を穿つ。

 だが、それでいい。短時間の詠唱で放たれたそれは即死するほどの威力はない。

 

 そして、同時。

 心臓が息を吹き返した。

 高圧電流による心臓マッサージだ。

 無理やり再起動させたに過ぎないが、あと数十秒は保つと信じたい。

 

「器用ですね。それとも、折手さんの異能のお陰ですか?」

「……しらっ、ねぇ……よッ‼︎」

 

 ドゴン‼︎ と、トラックの荷台の上に落下した。

 上空での死線を回避した。ようやく地上に帰還する。

 

 しかし、あくまで一度目の死を越えただけ。

 彼女はすぐさま次の一手を打った。

 背中をトラックに強打した痛みと身体に残る雷の痺れから、一時的に動けなくなった俺にはどうすることもできない。

 

「《神威聖剣》、()()()()

 

 幾重にも重なった《神威聖剣》の障壁が、マトリョーシカのように俺を封じ込める。

 

 斬撃という線の攻撃ではなく、圧殺という面の制圧。

 攻撃速度は光速には程遠いが、逃げ場がないこちらの方が厄介に感じる。

 

「ディートリヒさんの記憶で知ってます! 伊吹さんは六度しか異能を使えないって!」

 

 そして、壁の数は十枚。

 一枚一枚が数センチの間を空けているため、まとめて無効化することもできない。

 

 

「嫉妬の炎に焼かれ死んでください‼︎」

 

 

 光の壁が圧縮された。

 

 


 

 

 勝った。

 椎菜はそう確信した。

 

 ディートリヒの記憶を通じ、彼女は六道伊吹の異能を知り尽くしているからだ。

 

(伊吹さんの異能の応用技は《魂絶(ソウルリーパー)》だけ! そしてッ、既存の技じゃこの状況は覆せない‼︎)

 

 だけど、一つだけ見落としが存在した。

 ディートリヒは知る由もないが、六道伊吹には応用技がもう一つあった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「────《破界(ワールドブレイカー)》、“(アーマー)”フォーム」

 

 

 本日四度目の異能使用、残りは二回。

 

 六秒間のみ異能の干渉を無効化する鎧。

 六秒以内かつ同一の異能ならば何度でも無効化できる。

 故に、幾重にも重なろうとも同じ《神威聖剣》ならば難なく突破できる。

 

 六秒もかからず障壁は破られ、内から何かが飛び出した。

 栗栖椎菜は反射的に声の方へ異能を放とうと考え──

 

「────あ」

 

 ()()

 ()()()()()()()()()()

 

 ギャリギャリギャリギャリッ‼︎ と。

 アスファルトが削れ、火花が散る。

 大腿骨を破壊され、治癒魔法によって骨を継ぎ合わせながら椎菜はそれを見た。

 

 

()()()()()()()ッ⁉︎」

 

 

 それは、異能の鎧を纏った装甲車(トラック)

 俺が落下した着地点にあったものだ。鍵は《破邪の剣(アスカロン)》を変形させて偽造した。

 

「気づかなかったか⁉︎ 俺が無効化する範囲は俺の肉体だけでなく、所持品も入るんだぜ‼︎」

「トラックって所持品って判定でいいんですか⁉︎」

 

 椎菜の指が動く。

 それを見た瞬間、フロントガラスを足で突き破って飛び出した。

 手話による《神聖魔法》だ。トラックは無数の魔法に襲われてスクラップに早変わりにした。

 

 飛び出した俺は、そのまま《破邪の剣(アスカロン)》を椎菜の脳天目掛けて振りかぶった。

 しかし、それを()()が遮る。剣先だけを掻っ攫う突風が剣筋を逸らす。

 

「ああもうっ、しつこいです‼︎」

「厄介だなッ、()()()()()()()()()()()()()()()ッ‼︎」

 

 《神威聖剣》、暴風展開。

 暴風の発生源となる熱は異能由来の物でも、暴風そのものは物理法則に従った現世由来の現象だ。

 異能感知で察知することも、俺の異能で無効化することもできない。

 

「なんでっ、なんでッ、なんで‼︎ なんでわたしのモノになってくれないんですか⁉︎ なんでわたしは妹から抜け出せないんですかッ⁉︎」

 

 轟‼︎‼︎‼︎ と。

 暴風が吹き荒れる。

 車や瓦礫などが風で飛ばされ、雨のように俺目掛けて降り掛かる。一撃でも掠ったら致命傷。気を張り巡らせて進む俺の歩みは遅々としていた。

 そして、それら全ては物理攻撃。俺にはどうすることもできない。

 

 だけど、俺にはまだ()があった。

 きっと、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……なぁ、椎菜。テメェは妹扱いをやめてほしいって言うがな、それは無理な相談だ」

「なんで……どうしてッ──」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「──────え?」

 

 椎菜は俺を美化している。

 俺は椎菜に対しては優しいし、両親の事もあって気を遣って接している。

 だけど、本当の俺はそんなんじゃない。

 

「椎菜の言うとおり、俺はテメェに対して兄貴ヅラをしてる。だから、お前は見たことがないんだ。伝聞形で聞いても、理解してないんだ。俺の本性ってヤツを」

「なに、を……?」

「見せてやるよ、聞かせてやるよ。幻滅しろコラ」

「何をするつもりですか⁉︎」

 

 何って、そりゃあ……()()()()()()()()

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「────は?」

 

 

 ぐわんっ、と。

 栗栖椎菜の視界が揺れた。

 失恋の悲鳴と侮辱の怒りで動揺する。

 

 そして、それと同時だった。

 

 

 ()()‼︎ ()()()()()()()()

 

 

「きゃあっ⁉︎」

「テメェに俺は釣り合わねぇ。俺に相応しいのは折手メアだ」

「ッ⁉︎」

 

 椎菜は暴風の操作を続けて誤る。

 俺に向かって放たれるはずの瓦礫に混じったガラスの破片が、椎菜の真横に落下する。

 

 それも当然だ。暴風そのものは異能ではなく、《神威聖剣》の熱量を利用した間接的なもの。

 ()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()

 

 加えて、暴風展開は椎菜が編み出した応用技。ディートリヒから奪った記憶や経験も役に立たない。

 精神的に動揺した状態で万全に使用できる訳がない。

 

 だから、これは。

 六道伊吹が口にした言葉は……‼︎

 

 

()()()()……ッ⁉︎」

 

 

 これが俺だ。

 これこそが六道伊吹だ。

 悪を憎みながら、誰よりも醜悪な怪物だ。

 

「分かっただろ、理解しただろ。俺は汚くて卑劣な(ヤツ)だ。勝利の為なら妹の恋心だって踏み躙れる(ヤツ)だ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

 気づくと、俺達の距離は縮まっていた。

 あと一歩、それだけで手が届く距離。

 

「俺には最低最悪の折手メアがお似合いだよ」

 

 情け容赦はなかった。

 《破邪の剣(アスカロン)》を力一杯振り下ろす。

 剣が椎菜の頭に吸い込まれ──

 

 

 ──()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「…………、は?」

「それ、でも」

「《神体加護》⁉︎ だけどお前は……‼︎」

「それでも、わたしは……ッ‼︎」

 

 見た目は変わっていない。

 だけど、それは確かに肉体(アバター)型の異能。

 その細かな異能の反応に俺は気づいた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()⁉︎」

「わたしは諦められないんですッ‼︎」

 

 《神体加護》、()()()()

 椎菜が最後まで伏せていた最大の防御。

 しかし、彼女の切り札(ジョーカー)はまた別にある。

 

 

終末摂理(ワールドエンド)──星砕戦争(アルマゲドン)、堕ちろッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 それは万象を呑み干す世界の穴。

 この惑星(ほし)終末(おわり)と呼ぶべきモノ。

 頭上にブラックホールが堕ちる。

 

 それと同時、椎菜は弾けるように後ろ向きに飛んだ。全速力で俺から離れようとしている。

 しかし、まだ手が届く距離だ。

 

 異能を使ってバリアを壊し、もう一度使って魂を破壊すれば俺の勝ち。その後にブラックホールに呑まれたとしても、俺が死のうが街が壊れようか関係ない。

 

 でも、だけど。

 

(クソッ、見過ごせねぇ‼︎ 折手メアを見捨てられねぇ⁉︎)

 

 チラッ、と無意識に視界が背後を映す。

 そこには未だ学ランを被って(うずくま)ったままの折手メアがいた。

 

 折手はまだ本調子じゃない。

 そんな彼女を放ってはおけない。

 そう思ってしまった。

 

 頭の中に選択肢が浮かび上がる。

 選択肢A:『椎菜に追撃を行う』

 選択肢B:『折手を攻撃から守る』

 選択肢EX:『どっちも救え、主人公』

 選択肢Aを選べば、折手は守れない。

 選択肢Bを選べば、異能の残弾が尽きる。

 

(俺はッ、俺は……‼︎)

 

 

 ダンッ! と。

 背後を無視して、足を踏み出す。

 椎菜を逃がさない為、追い駆ける。

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 走りながら足元に落ちていた窓ガラスの破片を拾い、躊躇なくそれを(てのひら)に突き刺した。

 

「〜〜〜〜〜っぁ、あアアッ‼︎」

 

 そして、()()()()それを頭上へ投げた。

 狙って投げる必要はない。それはブラックホール。少し逸れても、勝手に引き寄せられる。

 

 

 所で、疑問に思わないだろうか。

 俺の異能の効果範囲とは肉体、及び所持品に接触している場所だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 所持品という枠組みはトラックにまで拡張することができた。

 なら、肉体は? ()()()()()()()()()()()()()()? ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その答えを、ここに提示しよう。

 

 

「《破界(ワールドブレイカー)》、“弾丸(ブレット)”フォームッ‼︎」

 

 

 本日五度目の異能使用、残りは一回。

 

 イメージするのは魔法の弾丸(シルバーブレット)

 遠距離に向かって異能を発動する。肉体という概念が拡張される。魂から分たれたばかりの新鮮な血液──制限時間(タイムリミット)は出血から60秒──は俺の肉体であると世界に判定される。

 異世界を現世で塗り潰す異能が、世界の穴の上から更に穴を開ける。《破界(ワールドブレイカー)》はブラックホールを撃ち抜いた。

 

「逃がさねぇぞ、椎菜!」

「…………っ⁉︎」

 

 異能の残弾はあと一度のみ。

 最後に《魂絶(ソウルリーパー)》を使うことを考えれば、《神体加護》は異能無しで破らねばならない。

 

 俺の手札では、そんな事はできない。

 ……()()()()()()()()()()()()()()

 

 

()()()()()()()()()()ッ、俺を信じろ‼︎ 俺に力を貸せぇええええええええええええええッッッ‼︎」

 

 

 蚊帳の外にいた折手を呼ぶ。

 《ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)》の力を借りる。

 

「でっ、でもッ、ボクは……‼︎」

「うるせぇ! 口答えすんな‼︎ よく聞けよッ、俺が────」

 

 


 

 

 折手メアの心には葛藤があった。

 もう彼を物語の登場人物(キャラクター)だと思い込むことはできない。

 それなのに、今求められているのは彼を原作主人公(タイトルロール)だと思い込むことだった。

 

 現実を知る前の折手メアは最強だった。

 現実を知る前の折手メアは最低だった。

 

 現実を知ったからこそ、彼女は改心できた。

 現実を知ったからこそ、彼女は弱体化した。

 

(今のボクは()()()のことを好きになれたのにッ、()()()()じゃ彼を助けられない……‼︎)

 

 どうしようもないジレンマだった。

 いっそ、現実逃避をすればいいのか。

 全てを忘れて、元の魔女に戻ればいいのか。

 

 思考が沈んでいく。

 深い、不快な、光の届かない深海へ。

 その闇を切り裂くように、声が聞こえた。

 

 

「──俺がテメェのッ、テメェだけの主人公(ヒーロー)になってやるッ‼︎」

 

 

 かちり、と。

 歯車がはまったようだった。

 

 この世界は紛れもなく現実だ。

 この人生は夢ではない本物だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そうだ、物語の中の『彼』はいつも生き生きとしていた。たとえ■■■■にとっては物語に過ぎないとしても、『彼』にとっては現実だったんだ。

 

 だから、きっと。

 この世界を外から見れば、物語で。

 折手メアが内から見れば、現実だ。

 

 だったら、主人公は六道伊吹に決まってる。

 彼以上に主人公に相応しい人間なんて折手メアは知らない。

 

 これはそういう物語。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 答えは得た。

 世界観(せかい)が再構築される。

 異能(チカラ)が異変を来たす。

 

 

世界新生(reverse)───《創作物語(メタフィクション)》」

 

 

 直後、世界がひっくり返った。

 世界観(ジャンル)が書き変わる。

 物理法則(第零摂理)が捻じ曲がる。

 これより先は現世、そして誰かの夢物語。

 

 異能が発動される。

 それは《ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)》じゃない。

 だって、折手メアは物語の読者じゃないのだから。

 

 

「《主人公補正(プロットアーマー)》」

 

 

 それでも、六道伊吹が主人公なのは絶対だ。

 だったら、世界は彼に味方する。

 

 領域(エリア)型の異能、《主人公補正(プロットアーマー)》。

 効果対象はただ一人、六道伊吹のみ。

 効果内容はただ一つ、()()()()()()()()()()()‼︎

 

(あははははは! 笑っちゃうねぇ。何がボクは改心できた、だ。こんなの、他力本願の塊みたいな異能じゃないか。…………まぁ、ボクらしいか)

 

 結局、折手メアに出来る事なんてたかが知れてる。

 ヒーローショーの観客みたいに応援する事、それだけだ。

 

 

「いぶき‼︎ こんな結末(デッドエンド)なんか覆してくれッ‼︎」

 

 


 

 

聖剣抜刀(アンロック)聖刃研磨(アンロック)聖痕刻印(アンロック)

 

 

 折手の声に応えるように、世界が味方する。

 《破邪の剣(アスカロン)》が俺を担い手として認める。

 秘められし刃が白日の下に解放される。

 

要請(オーダー)担い手よ(ユーザー)当方の銘を呼べ(コールミー)

 

 謎の声が聞こえる。

 だけど、気にしている暇はない。

 声に従い、相棒の()を叫んだ。

 

 

未来を斬り拓くモノ(Access Code “ASCALON”)解放(Re-boot)ッ‼︎」

 

 

 (ザン)ッッッ‼︎‼︎‼︎ と。

 黄金に輝く刃がバリアを斬り裂いた。

 

 その剣の()は《破邪の剣(アスカロン)》。

 凶悪な魔竜を討滅した聖者の剣。

 その剣の特権(ギフト)は『不朽不滅』。

 (やいば)は永遠に毀れず、刻んだ(きず)は永久に癒せない。

 

「な──⁉︎」

「理由は知らねぇが、椎菜とディートリヒの魂が別々になってるのを知覚した」

 

 斬ったのはバリアだけでない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………ぁッ⁉︎」

「俺の《魂絶(ソウルリーパー)》は混ざった魂の一部だけを破壊するような器用な事は出来ねぇけど、元から分かれてんなら異能の源となる片方を殺せばいいだけだろ?」

「…………まさ、か。本気ですか⁉︎」

 

 椎菜は思い当たったようだ。

 流石女子と言ったところか。

 俺がこの発想に至ったのは、前に先輩が路上で気道切開をしているのを見たからだ。

 そう、つまり──

 

 

()()()()()()()()()()()……‼︎」

 

 

 椎菜の腹が縦に裂ける。

 輝く刃が煌めいた。

 

 黄金の聖痕(キズ)は胎内の赤子すらも裂く。

 だが、関係ない。これは母子両者を救う手術ではない。

 赤子のフリしたクソ野郎だけをブチ殺す処刑だ。

 

「ま───」

「待たねぇ。子離れの時間だぜ」

 

 椎菜はもう一度バリアを張ろうと異能を使う。

 だが、不可能だ。《破邪の剣(アスカロン)》の特権(ギフト)によって、バリアの傷は永遠に塞がらない。

 

 へその緒を切り落とす。

 腹の中にいる赤子だけを的確に摘出する。

 

(この中にいるディートリヒだけをブチ殺す。コイツの永い生に引導を渡す‼︎)

 

 右手が赤子の頭を掴んだ。

 

 

「《(ソウル)ッ────」

 

 

 

 その瞬間、気づいた。

 

 

 

 ────()()()()()()()()()

 

 

 この赤子の中にディートリヒはいない。

 一体、いつから……?

 いやッ、それよりも、今は何処に──⁉︎

 

 

()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 ブワッッッ‼︎‼︎‼︎ と。

 ヤツの声が聞こえた。

 異能の反応を感知する。

 黄金の輝きが膨れ上がる。

 その場所は──()()()()()()()‼︎

 

 

「────終末摂理(ワールドエンド)

 

 

 世界そのものが異世界へと変質する。

 顕現するは第四の死因(おわり)

 この世界に刻まれた『枯渇』の法則。

 語られざる終末論の一つ(Apocalypse#04)

 

 異能も、記憶も、何もかも。

 折手メアからあらゆる概念を奪い取る。

 

 そして、畳み掛けるように。

 その男から再びの宣言があった。

 

 

終末摂理(ワールドエンド)

 

 

 世界そのものが異世界へと変質する。

 顕現するは第五の死因(おわり)

 この世界に刻まれた『矛盾』の法則。

 語られざる終末論の一つ(Apocalypse#05)

 

 折手メアはあらゆる時間軸から消滅した。

 跡形もなく、俺の記憶からも。

 もう、確かにいたはずの誰かを思い出せない。

 

 その第四位(おとこ)は初めから此処にいた。

 栗栖椎菜の胎内で眠っていた。

 その第五位(おとこ)は初めから此処にいた。

 道路の上で転がされていた。

 

 だけど、こんな事ってあるか?

 

 ()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「今度こそ始めよう、最終決戦であるッ‼︎」

 

 

 〈星砕戦争(アルマゲドン)〉の最終幕。

 正真正銘、最後の戦いが始まる。

 

 







世界観:創作物語(メタフィクション)
転生者:折手メア
グレード:第六界位(グレード6)
タイプ:領域(エリア)
ステータス:
 強度-E〜EX/出力-E〜EX/射程-E〜EX/規模-E〜EX/持続-E〜EX
異能:主人公補正(プロットアーマー)
終末摂理(ワールドエンド)『??』


世界観:剣と魔法の世界(ハイファンタジー)
転生者:栗栖椎菜(くるすしいな)
グレード:第六界位(グレード6)
タイプ:肉体(アバター)道具(アイテム)技能(スキル)領域(エリア)
ステータス:
 強度-C/出力-EX/射程-B/規模-B/持続-C
異能:《神体加護》《神威聖剣》《神聖魔法》《白亜神殿》
終末摂理(ワールドエンド)『枯渇』


世界観:《剣と魔法の世界(ハイファンタジー)
転生者:ディートリヒ・フォン・エルケーニッヒ
グレード:第六界位(グレード6)
タイプ:肉体(アバター)道具(アイテム)技能(スキル)領域(エリア)
ステータス:
 強度-C/出力-EX/射程-B/規模-B/持続-C
異能:《神体加護》《神威聖剣》《神聖魔法》《白亜神殿》《遡行記憶通信(Time Leap)》《時間飽和現象(Count Over)》《??????》《主人公補正(プロットアーマー)
終末摂理(ワールドエンド):『枯渇』『矛盾』『??』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。